PlayStation2(PS2)のゲームや音楽を,インターネットを介して配信するサービスが今春,相次ぎ登場する。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は,ハード・ディスクとイーサネット・ポートを備えた外部ユニットを提供。PS2のハードとソフトの組み合わせを特定して不正利用を防止する機器認証システム「DNAS」の本格運用も開始する。ISPやコンテンツ配信業者など5社がSCEIと提携し,PS2向けのコンテンツ配信を開始する。

(山崎 洋一=yyamazak@nikkeibp.co.jp)

図1●PlayStation2をブロードバンドに対応
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は,ハード・ディスクとイーサネット・ポートを備えたPS2用のブロードバンドユニットを開発した。エー・アイ・アイ,NTT-BB,So-net,ヤフー/ソフトバンク・グループ,有線ブロードネットワークスの各社はSCEIと提携し,ブロードバンドユニットをユーザーに販売またはレンタルして,PS2のゲームや音楽などを配信する。

 PlayStation2(PS2)をインターネットに接続し,ゲームなどのコンテンツをネットを介して購入できるようになる。エー・アイ・アイ(AII),NTTブロードバンドイニシアティブ(NTT-BB),ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net),ヤフーとソフトバンク・グループ,有線ブロードネットワークスが相次ぎ,PS2用ゲームなどの有料コンテンツの配信を始める。開始予定時期は,NTT-BB,So-net,AIIが4月,残る2社は今春から。

 こうした新サービスを可能にするため,PS2を販売するソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は,ハード・ディスクとネットワーク・ポートを備えた装置,およびネットから購入したコンテンツの不正利用を防ぐ基本的な仕組みを提供する(後述)。

PS2ソフトの流通に変化

 インターネットとつながることで,PS2用ソフトの新たな流通が可能になる。例えば,ゲームの追加データを販売したり,インターネット接続機能だけを組み込んだソフトを提供して音楽やビデオをネットから購入するきっかけとするなどである。支払った料金分だけオンライン・ゲームで遊ぶといった使い方もできる(図1[拡大表示])。

 ヤフーとソフトバンク・グループは,雑誌に体験版ソフトを同梱し,気に入ったら正式版のデータをインターネットから購入できるようにするなど,メディア・ミックスのサービスを予定している。PS2をSTB(セットトップ・ボックス)として使うアイデアもある。テレビでの視聴に向いたコンテンツを配信するサービスで,例えばSo-netは,会員向けに音楽やビデオの配信サービスを予定している。

 コンテンツが大容量になることも多いため,CDN(コンテンツ・デリバリ・ネットワーク)を使うと効果がある。NTT-BBとAIIはCDNを使ってPS2のゲームなどを配信する。ヤフーとソフトバンク・グループは100Tバイトの容量を持つ配信サーバーを用意する。

接続機器と機器認証を提供

 PS2のインターネット接続には,SCEIが開発した「ブロードバンドユニット」(BBユニット)を使う。ハードはSCEIが2001年7月から販売している「ハードディスクドライブユニット」(40Gバイトのハード・ディスクとイーサネット・ポートを搭載)と同じで,ここにブラウザとメール・ソフトを加えた。サービス提供会社は,BBユニットに独自のアプリケーションをインストールするなどしてユーザーに提供する。インターネットとの接続機能は,SCEIが提供するライブラリを使ってゲーム・ソフトなどに組み込むことになる。

 ただし,これだけではコンテンツ流通ビジネスは成立しない。配信したコンテンツの不正利用を防ぐための仕組みが欠かせないからである。

図2●DNASを用いたコンテンツ配信の仕組み
PS2本体のID,ブロードバンドユニット内のハード・ディスクのID,PS2ソフトのディスクに記録されたIDなどから新たなIDを生成し,それを用いて正規のハード,ソフトの組み合わせかどうかを認証する(この技術を「DNAS」と呼ぶ)。コンテンツ販売サイトは,DNASと課金,ライセンス管理などを組み合わせてPS2のユーザーにコンテンツを販売する。

 そのために,SCEIは「DNAS(Dynamic Network Authentication System)」と呼ぶ機器認証システムを開発した(図2[拡大表示])。PS2やBBユニット,ソフトの組み合わせから,利用者を特定するシステムである。利用している機器やソフトからIDを生成し,それを登録してもらうことで,利用者の機器環境を特定する。ソフトをその環境でしか使えないようにすれば不正利用を防げる。SCEIは2001年9月から,スクウェアのオンライン・ゲーム・サービス「PlayOnline」でDNASのベータ・テストを実施している。

 DNASで利用するIDは,PS2本体のID,BBユニットのハード・ディスクのID,2001年4月以降に発売されたPS2ソフトのディスクに付けられたID,PS2のメモリー・カードのIDなどを組み合わせたもの(どの機器/ソフトが変わると全体のIDが変わるかは未公開)。2回目以降にソフトを使う場合も,あらかじめ登録したIDと同じかどうかをDNASのサーバーに照会する。

 ただしDNASは,登録された機器環境と実際の利用環境が同じかどうかを認証をするだけ。SCEIはDNASサーバーを運用してこの機器認証サービスを提供するが,IDは外部には出さない。したがって,コンテンツ配信業者はDNASサーバーにアクセスしてユーザー管理やライセンス管理を行うシステムを独自に構築する必要がある。