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 さて次はシーン2だ。シーン2は,メーラーに適切な設定を施し,メールを書き終わった次のタイミングである。メーラーの送信ボタンを押すことで,あらかじめメーラーに設定してあるメール・サーバーへメールを届ける。

 ここで注意が必要なのは,メーラーは,シーン1で設定したホスト名だけでは実際にはメール・サーバーにメールを届けられないこと。というのは,ホスト名は人間が便宜的に付けた仮想的な住所に過ぎず,実住所はまた別にあるからだ。ここでいう実住所とは,インターネットを支えるルーター・ネットワークが理解できる「IPアドレス」のこと。IPアドレスは,「192.168.0.1」のように,数字と「.」を組み合わせて記述される。

 そこでシーン2では,仮想的な住所であるドメイン名を実住所であるIPアドレスにまず変換する必要が出てくる。この役割を担うのが,DNSと呼ぶ仕組みである。インターネット上にはいくつものDNSサーバーが設置されている。いずれかのDNSサーバーにホスト名を送信すると,該当するIPアドレスを返信してくれる。メーラーは,メール・サーバーにアクセスする直前に,DNSサーバーからメール・サーバーのIPアドレスを教えてもらうのだ。

対話のように手順を踏む

 メール・サーバーのIPアドレスが分かったら,いよいよメールの送信をスタートする。メーラーとメール・サーバーは,SMTPの手順に従いながらメールのやり取りを開始する。

図4  解剖「シーン2:メーラーからメール・サーバーに送信」
送信用のプロトコルのSMTPを用いて,メールを送信する。手順は,人間の会話に近い。
 メーラーからメール・サーバーへメールを運ぶ仕組みは,人間同士の対話に似ている(図4[拡大表示])。メーラーからメール・サーバーに声をかけて,OKの返事を受け取ったら次の会話に移る。例えばまず最初にあいさつを交わす場合,メーラーから「こんにちは」と送信すると,メール・サーバーから「こんにちは」と返答を受け取ってから次の「Xさんがメールを送りたいのですが」の会話を始める。

 SMTPは具体的に,コマンド文と返信コードを表す数字で会話する。図中の(5)の「Yさんあてです」は,コマンド文では「RCPT from:y@nikkei bp.co.jp」のように送信する。RCPTというコマンドは,英語のrecipient(受取人)の略語。後半の「from:...」がコマンドの引数で,あて先のメール・アドレスを挿入する。返信コードの「はい」は,「250」と表記する。

一斉同報でも送信するのは一通だけ

 郵便ではできないインターネット・メールならではの特徴の一つに,一斉同報機能がある。同じ文面のメールを1回送るだけで,実際には何人にもコピーを送信できる機能だ。

 一斉同報する場合,ヘッダーの「To」行に複数のメール・アドレスを記述しておく。このメールを送信すると,図中の(5)のRCPTコマンドを人数分だけ繰り返し,その後に(6)の本文の送信に移行する手順を取る。

 なお「Cc行」(カーボン・コピー)や「Bcc行」(ブラインド・カーボン・コピー)といった専用のヘッダーを活用しても一斉同報できる。RCPTコマンドを繰り返すという手順に変わりないが,ヘッダーのTo行に受け取った相手のメール・アドレスが記述されない。受信側はそのメールが,自分あてではなくコピーであることが分かる。

 CcとBccの違いは,相手のメール・アドレスをヘッダーに残しておくか残さないかにある。Ccの場合は,一斉同報の対象となる全メール・アドレスをヘッダー中のCc行に含んだままメールを送信する。Bccでは,メーラーが(5)のRCPTコマンドを送出し終わった時点でヘッダーからBccの行を削除し,それから(6)の本文の送信を始める。同報したあて先をあえて知らせたくない場合に有効である。