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・ネットワーク管理の第一歩は,ネットワークの状態を把握することである。
・ネットの状態調査には,特別なソフトを使わなくても,
 OS標準のコマンドで済むことが多い。
・特に相手とつながるかどうかを調査するpingは,
 プロも活用している基本的なコマンドである。

 ネットワーク管理というと,ネットワーク管理者が専用ソフトを使って行う難しいもの――というイメージがあるかもしれない。しかし,ネットワーク管理の目的は,「ネットワークの状態を知る」という単純なことだ。このための基本は,ネット管理者でもネット初心者でも同じである。

 WindowsやLinux(リナックス)などのOSには,ネットワークの状態を知るためのコマンドがいくつも標準で用意されている。これらのコマンドを使ってネットワークの状態を把握することが,ネット管理の第一歩となる。

Windowsでも使える簡単コマンド

 ネット管理のための代表的なコマンドがping(ピング)だ。目的のネットワーク機器がネットワークにつながっているかを調べるためのコマンドである。プロのネットワーク管理者も,ネット・トラブルの原因究明のときなどに最初に使うコマンドである。

 pingコマンドを実行すると,指定したコンピュータが稼働していれば,そのコンピュータから返答が返ってくる。これは,「いたら応答して下さい」と呼びかけ,相手が「はい応答します」と返事を返すようのものだ。相手がネットワーク上にいなければ返事は返って来ない。

 Windows98の場合は,MS-DOSプロンプトから実行する。「ping」と入力したあとに,目的コンピュータのIPアドレスまたはドメイン名を記述する。例えば,

ping 192.168.0.1

のように入力すればよい。

 このようにpingを実行することを「pingを打つ」と言う。

要求パケットを送って応答が返る

図 ネットワークの状態を把握するための基本コマンドpingのしくみ
pingは相手先ホストが正常に動作しているかを確認するコマンドである。ICMPと呼ぶプロトコルのエコー要求とエコー応答という二つのメッセージを使う。
 pingは,ICMPの「エコー要求」と「エコー応答」と呼ぶ二つのメッセージのやりとりで成り立っている。その流れは以下のようになる([拡大表示])。

 まずクライアントからpingコマンドを入力する(1)。すると目的のコンピュータにエコー要求パケットを送信(2)。パケットを受け取ったコンピュータは,ICMPのエコー要求だと判断して(3),エコー応答パケットをクライアントへ返信する(4)。そしてクライアントはその結果を画面に表示する(5)。

 画面に「Request timed out.」と表示された場合は,一定時間内にエコー応答が返って来なかったことを示している。目的のコンピュータ自体や,そのコンピュータまでの経路に障害がある可能性がある。

 エコー応答が返ってきたときには,「Reply from」に続いて,三つの内容が表示される。それは,送信データのバイト数,パケットの往復時間,パケットの存在期間である。

 ここで注目したいのは,パケットの往復時間。この数字でネットワークの混雑状況を判断できるからだ。ネットワークに障害がない普段の値を調べておけば,そこで調べた値を大きく超えているときは,なんらかの障害が発生している可能性がある。

ping以外にも便利なコマンドがある

 ネットワークの状態を知るための標準コマンドは,ping以外にもある。tracert(トレースルート),ipconfig(アイピーコンフィグ),netstat(ネットスタット)――などである。tracertコマンドは,

tracert 目的のコンピュータ

のように記述して使う。すると,目的のコンピュータまでに通過するルーターのIPアドレス(あるいはドメイン名)を列記してくれる。

 ipconfigは,パソコンのIP設定を確認するコマンドだ。Windows95/ 98/Meでは,グラフィカルなウインドウ表示が可能なwinipcfg.exeもあるが,表示内容は同じである。このコマンドにより,パソコンのIP設定が正しくセットされているか,DHCPサーバーから正しくIP設定が割り当てられているか,などが確認できる。

 netstatは,パソコンの経路設定や,送受信フレームの統計情報などを表示するコマンドである。

netstat -r

とコマンドを実行すれば,パソコンの経路設定が表示される。デフォルト・ゲートウエイに正しくパケットが届けられるようになっているか,複数枚のLANボードを備えたマシンでどのLANボードへパケットが送出されているかを確認する場合などに有効である。また,

netstat -e

とコマンドを実行すれば,イーサネットの統計情報が得られる。この統計情報で,エラーを起こした送受信フレーム数などもわかるので,LANケーブルやLANボードの障害を発見できる。

半沢 智