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 FTTH(fiber to the home)サービスが始まり,光ファイバ通信が身近になってきた。光ファイバは高速に通信できるというイメージはあるが,その具体的なポテンシャルはどれほどなのだろうか。

 ディジタル通信の最大容量には理論的な限界があって,使える周波数の範囲(帯域)でおおむね上限が決まる。この理論はシャノンの定理と呼ばれ,一般的な通信システムに当てはめると,帯域のだいたい7~10倍が理論限界になる。

 実際の光ファイバ通信で使われているレーザーの波長は,1300nm(ナノメートル;1000nm=1ミクロン)付近と1550nm付近の2種類だけである。さらに長距離通信になると,後者のうち1530n~1562nm(Cバンド)と1570n~1602nm(Lバンド)という二つの範囲の光しか使っていない。光全体から見ればほんのちょっと。しかしその帯域は桁違いに広い。

 Cバンドの帯域は4T(テラ=1000ギガ)Hz。シャノンの定理を当てはめると,Cバンドだけで40Tビット/秒のポテンシャルがある計算になる。また,米国のベル研究所が2001年6月に公開した試算によると,現行技術の延長線上で100Tビット/秒まで伝送できるという。

 ちなみに電話線に使われるツイストペア線の帯域は数km伝送するときで1.5MHz程度。シャノンの定理に当てはめると10M~15Mビット/秒が理論限界になる。技術的な難しさを考えると,ADSLが実現する8Mビット/秒はかなりいいセンといえる。

 もっとも,人類は光ファイバのポテンシャルをまだまだ引き出せていない。「一つの波長の光で送る技術では実験レベルで1.28Tビット/秒が現状の最高値。実用レベルでは40Gビット/秒の製品化がようやく始まったところ」(NTT未来ねっと研究所の川西悟基グループリーダ)。理論限界に近い速度を引き出せる銅線の通信技術に比べると,光ファイバ通信の技術はまだ発展途上といえる。

 そうした理由もあって現在,長距離・大容量通信では,少しずつ波長が異なるたくさんの光にそれぞれデータを載せて通信する「DWDM」(dence wavelength division multiplexing=高密度波長分割多重)が主流になっている。最新のDWDM装置は,CバンドとLバンドにそれぞれ80波ずつ,合計160波を詰め込む。このそれぞれに10Gビット/秒の信号を載せてトータル1.6Tビット/秒の伝送能力を叩き出す。また,研究レベルでは,273の波それぞれに40Gビット/秒を載せ,10.9Tビット/秒を実現するDWDM装置も登場している。

<日経NETWORK8月号では,光ファイバ通信の最高速度について,理論的な限界値と製品・研究レベルの最新動向を掲載しています。ぜひ,ご覧下さい>

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ベル研究所は光ファイバ通信の理論上の最大速度を試算した