PR

 Yahoo! BBの登場で,一気に火がついたADSLの8Mビット/秒サービス。1.5Mビット/秒のサービスに比べて料金は大差なく,速度が5倍強になるということで,多くのユーザーが使い始めている。しかし,なぜ速度の上限が8Mビット/秒なのか。そもそも,どうやってそんなに高速に伝送しているのか。よく考えると,疑問が残る。そこで,8Mビット/秒ADSLの本質に迫ってみた。

 8Mビット/秒のADSLの規格は,ITU-TのG.992.1で決められている。その規格をじっくり読むと,ADSLの高速化には,三つのポイントがあるのが分かる。つまり,(1)信号を乗せて運ぶ搬送波の数をたくさん用意し,(2)その搬送波に多くのビットを割り当て,(3)(1)と(2)の処理を高速に繰り返す。

 それぞれを具体的に見てみると,(1)は,4kHz間隔で分割した搬送波を,下りには最大223個,上りには最大32個使う。(2)は,その各搬送波に,最大15ビットの信号を乗せる。(3)は,こうした処理を1秒間に4000回繰り返す。つまり,ADSLの理論的な最大伝送速度は,搬送波223個×15ビット×4000回で,約13Mビット/秒ということになる。

 しかし,これだと計算が合わない。

 実は,先に述べた8Mビット/秒のADSL規格G.992.1にはもう一つ,速度の上限を決める条件がある。それは,ディジタル信号のレベルでフレームを作るための仕様だ。その仕様では,ADSLモデムが伝送できるフレームの最大サイズが255バイト,フレームを送出する頻度を4kHz(1秒間に4000回)と決めている。つまり,こちらのルールに従うと,1秒間当たりに送信できるビット数は,255バイト×8ビット×4000で,約8Mビットとなる。

 つまり,電気信号としては13Mビット/秒で送れるが,フレームとしては8Mビット/秒までしか送れないので,結局ADSLの上限速度は8Mビット/秒になっているのである。

高橋 健太郎

<日経NETWORK12月号では,ADSLのほか,DNSやウイルス対策ソフト,FTTHなどのネットワーク技術を解説した特集記事「押さえておきたいネットワークの10大技術」を掲載しています。ぜひ,ご覧下さい>