1.5Mビット/秒からあっという間に12MになったADSLの最大速度。料金はそう変わらずスピードが上がるのだから,こんなにいい話はない。こういう状況だから,「また近いうちに高速化したサービスが出てくるんじゃないか」と期待したくなる。そんなユーザーにうれしいニュース。新しいADSL規格が相次いで登場し,2003年には最大24Mビット/秒のADSLサービスが始まる見込みが高くなっているのだ。

 新しいADSL規格は,ADSL+とADSL2の二つ。

 ADSL+とは最大24Mビット/秒のADSL規格で,ITU(国際電気通信連合)が今まさに仕様を煮詰めている真っ最中のもの。2003年の早い時期に標準化を完了させることを目標に,作業は最終段階に入っている。

 ADSL+の最大のポイントは,使う周波数帯域を現行の2倍に広げること。8メガ以上のADSLは26k~1.1MHz(約1MHz)の帯域を使っているが,ADSL+は26k~2.2MHz(約2MHz)と2倍も高い周波数まで幅広く使う。帯域が広がればそれだけたくさんのデータを一度に送れる。スピードも今の倍近く速くなるわけだ。

 ADSLモデムのチップを提供するベンダーの多くは,ADSL+対応の製品を開発中で,出荷を始めたところもある。ただ,ADSL+に対応するには新しいチップが必要なため,ADSL事業者がサービスを提供するには,電話局側とユーザー側両方のADSLモデムを入れ替えなければならない。しかし,「標準化が済んだら早々に新製品に入れ替えて24メガのサービスを提供したい」(イー・アクセス)という積極的な事業者もいる。24メガADSLの登場は時間の問題と見ていいだろう。

 もう一つの新規格であるADSL2は,すでに2002年9月にG.992.3とG.992.4としてITUで標準化が完了している。名前だけだと,ADSL+とは別の高速版ADSL仕様のように見えるかもしれないが,それはちょっと違う。G.992.3と同4は,今までの8メガ仕様(G.992.1)と1.5メガ仕様(G992.2)のいわば“安定化バージョン”と呼べるもの。結果的にADSLのスピードを速くするが,それは本来の狙いではない。具体的に言うと,回線のチェックに使うパイロット信号を複数の周波数から選べるようにしたり,ノイズに強い符号化方式を採用することで,ADSLを安定的に使えるようにする。これまで回線状況が悪くADSLを利用できなかったユーザーの救済策になりそうだ。

 ただし,ADSL2に採用された技術のいくつかは,すでに12メガADSLが先取りしている。12メガのADSLサービスがADSL2に対応しても,安定化の効果がどれほどアップするかはわからない。

高田 学也