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 この春からADSL回線を利用したIP電話サービスが続々始まる。IP電話ではYahoo!BBが先行しているが,それ以外のプロバイダのユーザーでも従来の電話と使い勝手が変わらないIP電話を利用できるようになる。でも,中には「ADSL回線の速度が遅いからIP電話が使えないんじゃないか」と心配しているユーザーもいるはず。IP電話の利用はADSL回線の速度に左右されるのだろうか。

 ADSL回線の速度が遅いとIP電話の音質に影響が出てしまう。その理由は,ADSLの回線速度が一定以上なければ,IP電話の音声パケットを必要なだけ通せないからだ。

 では,具体的にどの程度の速度があればいいのだろう。多くのIP電話サービスでは音声を64kビット/秒のディジタル信号に変換してやりとりしている。64kビット/秒というのは音声だけの情報量。実際には64kビット/秒のデータにIPヘッダーなどの情報が付く。さらに,呼制御プロトコル用の情報分なども加算して考えると,片道当たりだいたい100kビット/秒近くの速度が必要になる。

 ただし,100kビット/秒というのはIP電話しか使わない場合のギリギリの数値。あるプロバイダによれば,「実用上の安定性を考慮するなら,インターネットの通信分も含めて320kビット/秒程度が目安になる」という。

 それなら,「ADSLの速度が十分速いからIP電話の品質は問題ない」と安心したいところだが,実はそうもいかない。電話サービスに使うIPネットワークはもともと,特定のデータを優先させるといった処理をしないもの。したがって,パソコンによるデータ通信とIP電話を同時に使うと,音声パケットが処理できずに破棄されたり,処理が遅れたりして,品質が劣化する可能性が出てくる。

 製品によっては,音声パケットを優先して送り出すIP電話アダプタもある。このタイプのアダプタを使うサービスなら,自分が送り出す音声の品質は確保できる。ただその場合でも,相手側のアダプタに同じ機能がないと品質が劣化する可能性は残る。

 ひんぱんに大量のデータをダウンロードするようなユーザーはこうした点に注意が必要だ。

斉藤 栄太郎