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 ADSLやFTTHが台頭する前から,メガ級のスピードを出していたブロードバンドの先駆者CATVインターネット。今では最大30Mビット/秒のスピード をうたうサービスもある。今回は,ADSLなどと比較しながら,CATVインターネットで数十メガもの高速伝送を実現するしくみを見ていこう。

 CATVインターネットでは,テレビ番組放送用のインフラを使ってデータをやりとりする。最近のCATVでは全体で0~770MHzの信号を使うが,そのうちテレビ放送用は90M~600MHz。CATVインターネットには,上り方向(ユーザーからCATV局方向)に10M~55MHzの間から任意の1.6M~6.4MHz帯,下り方向(CATV局からユーザー方向)は600M~770MHzの間にある6MHz帯をそれぞれ切り出して使う。

 上り方向と下り方向で別々の周波数帯を利用するのはADSLと同じだが,極端に違うのはその帯域幅。ADSLは上りに約100kHz帯,下りに約1MHz帯の信号を使う。つまり,CATVインターネットはADSLに比べて下りで6倍,上りだと60倍も広い帯域を使ってデータを流すのである。

 広い帯域を使うとそれだけ大量のデータを送れる。CATVネットでデータを送るのはケーブル・モデムの仕事である。そのしくみは,実は加入電話回線で使うモデムとまったく同じ。下り方向の場合,QAM(quadrature amplitude modulation)という方式を使って,最大8ビットのデータを割り当てたアナログ信号を毎秒500万回以上も送り出している。8ビットだと約42.9Mビット/秒,6ビットでも30Mビット/秒以上の高速でデータを伝送できることになる。各CATV事業者は,こうした仕様のモデムを使って,30Mビット/秒のインターネット接続サービスを提供しているのだ。

 高い周波数の信号を使ってこんなに速く変調処理ができるのは,ケーブルに理由がある。ADSLは電話局からユーザー宅まで細い銅線でできた電話線を使うため,低い周波数帯域で1秒間に4000回の変調しかできない。一方CATVでは,局からユーザー宅の近くまで光ファイバで伝送し,そこからユーザー宅までは電話線よりも太い同軸ケーブルを利用している。光ファイバや同軸ケーブルを使うことで高い周波数の信号まで伝送できるようにしていることが,CATVインターネットの高速化を可能にしているのだ。

高田 学也