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 次々と新しい機能が搭載される携帯電話。次の目玉になりそうなのが,テレビやラジオの受信機能だ。通信機器の展示会などではすでに試作機でデモが実施されており,年末までには市場に投入される。こうした新しい携帯電話機の機能とねらいを探ってみた。

 テレビ付き携帯電話を計画しているのがボーダフォンである。携帯電話機本体にテレビ・チューナを搭載し,現在放送中の地上波アナログ放送を受信できる。この12月に発表,出荷すると見られている。端末自体の機能や性能などの詳細は明らかにされていないが,携帯電話と小型テレビを合体させたイメージのものになる。これまで「通信」機器だった携帯電話に「放送」の機能が加わったわけだ。

 通信と放送の両機能の連携をさらに進めたのが,KDDIが2003年12月に発売するラジオ付き携帯電話「A5503SA」である。この端末は,単に携帯電話にFMラジオを聴く機能が加わっただけではない。FMラジオを聴いている最中に,現在流れている楽曲の名前や歌手名などを携帯電話の画面に表示する機能を持つ。FMの電波を受信しながら,携帯電話のパケット通信機能を使って放送局に用意された専用サーバーと通信するしくみである。端末の販売に合わせて,全国のFM放送局53社がサービスを始める。

 こうして見ると,携帯電話では,テレビよりラジオの方が進んでいるように見えるが,テレビには次なる期待の「一手」へ向けた準備が進んでいる。地上波ディジタル・テレビ放送を受信できる携帯電話機がそれだ。

 地上波ディジタル・テレビ放送は,単なる放送だけでなく,インターネットなど通信との連携も視野に入れた放送サービスである。そのため,例えば,携帯電話でテレビ番組を見ながら本体の通信機能を使ってショッピングをするなど,新しいサービスを実現できるインフラとして期待が集まっている。

 地上波ディジタル・テレビ放送が始まるのは2003年12月。ただし,このディジタル・テレビ放送がそのまま携帯電話機で見られるようになるわけではない。地上波ディジタル放送の場合,携帯電話機向けには家庭用のテレビ向けとは別のしくみで放送するからだ。

 12月に始まるのはもちろん,家庭用テレビ向けの放送である。携帯電話機向けの放送については,データの変調方式をはじめ,各種の規格がまだ標準化されていない。そのため,携帯電話機向けのディジタル・テレビ放送の実用化は早くても2005年くらいになりそうである。

 今後,携帯電話は,通信と放送の融合が新しい流れになるのは確実。この先,二つの機能を組み合わせてどのようなサービスが出てくるのかに注目が集まりそうだ。

半沢 智