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 NTTが夢のような光ファイバを開発した。曲げに強いうえ,従来の100~1000倍のペタ(1000兆)ビット/秒クラスのデータ伝送が可能になるという。名前は「ホーリー・ファイバ」。今回はこれがどんなファイバなのか見ていこう。

 ホーリー(holey)とは「穴空き」の意味。その名の通り,ファイバの芯(しん)を囲む形で多数の穴を空けてある。レンコンのような構造だ。こうすることで,曲げに強く,大容量のデータ伝送が可能になるという。どうしてなのだろうか?

 これを理解するために,まず光ファイバのしくみを復習しておこう。

 現在使われている光ファイバは,光信号の通り道になるコアと,それを取り囲むクラッドでできている。どちらも素材は石英ガラスだが,コアの部分には添加物を加えてクラッドより屈折率を高めている。

 コアの屈折率を高くしておくと,光はクラッドとの境界で全反射して,コア部分の中を進む。ただし,ファイバを曲げたりして境界面に光が当たる角度が深くなると,光は全反射しない。

 光が全反射する角度は,二つの物質の屈折率の差が大きくなればなるほど広がる。現在の光ファイバは,コアとクラッドの屈折率の差がわずかなので,光信号を封じ込める性質が弱く,10ミリ程度の半径で曲げると光信号が漏れて使いものにならなくなる。

 曲げても光信号が漏れないようにするには,ガラスより屈折率が大幅に小さな物質で囲めば良い。そこで,ファイバに穴を空けるのである。こうすれば,光信号はガラスより屈折率が大幅に小さい空気との境界で反射して封じ込められる。これにより,半径5ミリで曲げても光信号を伝送できるようになるという。

 さらに,光ファイバには,コアとクラッドの屈折率の差が大きくなればなるほど,伝送できる光信号の周波数帯も広くなるという性質がある。利用できる周波数帯が広がれば,たくさんの光信号を波長分割多重技術(WDM)で束ねられるようになり,ファイバ1本でペタ・ビット/秒クラスの伝送容量を実現可能になるのである。

阿蘇 和人