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写真2 マサチューセッツ州モールトンにある旧BBNの本社
BBNは1997年にGTEに買収された。右の新社屋と左の旧社屋(左下の木に隠れて見える小さな白い建物)の間に平屋があり,そこにIMPを持ち込んで調整作業を行なった。

IMP開発するも商機逃したBBN

 ARPAは,IMPの開発を民間企業に任せることにした。開発を任されたのは米BBN(写真2)。BBNはIMPを独占的に供給する権利を得た。最初のIMPを納入したのは1969年の春である。

 のちの話だが,1983年にARPANETがTCP/IPに移行したのを機に,IMPはどんどんルーターに置き換わることになる。80年代後半になるとARPANET以外のTCP/IPネットも増え,ルーターを求めるニーズも強くなり始めた。このとき,ルーター開発で最も有利な立場にあったのがBBNだった。

 BBNの技術者で,ARPANETの運用の責任者だったアレックス・マッケンジーは1980年前半,上司にルーター市場への参入を申し出た。

 しかし,上司の答えは「ノー」。検討の余地もなかったという。

 「上司に先見性がなかったということだ」と残念がるマッケンジーだが,当時は彼自身,ルーター市場がどの程度広がるのか予測できていなかった。「上司を説得できる数字をはじけなかったんだ。私自身,これほどインターネットが大きくなるとは,まったく予想していなかったからね」。

アレックス・マッケンジー
BBN内にあるARPANETを運用するNCC(Network Control Center)のセンター長を務めた。29年間BBNに勤務し,現在は引退している。
  結局ルーターの登場は,米シスコシステムズなどのルーター専業メーカーが生まれる80年代半ばまで待たされることになる。