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「いつものサーバーが見えなくなった」,「共有ディスクにつながらない」――Windowsユーザーなら,こうした経験はだれにでもあるはず。しかも,しばらく待つとトラブルが自然と解決していることもあるから,なおさら混乱する。調べようとしても,よりどころになる仕様書があるのかどうかすら,よくわからない。デスクトップOSとしての圧倒的なシェアに乗って,こんなネットワークが世界中でなんとか動いていること自体,考えてみれば不思議である。だが物事には必ず理由がある。いっしょに仕様をひも解き,不思議の理由を探ってみよう。

 今から15年前,1985年に米IBMが発売したネットワーク・ソフト「PC Network」――。これがWindowsネットワークの起源である。このときに仕様が公開されたNetBIOS(ネットバイオス)というしくみは,今のWindowsネットワークでも重要な役割を果たしている。その一方で,インターネット標準のTCP/IPや,一時はパソコンLANの世界で一世(いっせい)を風靡(ふうび)したNetWare(ネットウエア)とつなぐためにIPX/SPXプロトコルが加わり,インターネットの普及に合わせてDNSなどのしくみまでもつぎたされた。この結果,現在のWindowsネットワークは,最初のPC Networkの機能を継承しつつも,比べものにならないほど複雑で巨大なものになってしまった。

 これほどまでに肥大化し,複雑になったWindowsネットワークだが,さほど問題が表面化せずに使われている。それもそのはず。Windows95の登場以降,複雑なネットワークのしくみをOS自体が覆い隠して,どんどんブラックボックス化してきたからだ。このこと自体は,歓迎するべきことではある。だれでも使える「家電製品」を目指した結果,素人でも比較的簡単にWindowsマシンをLANへつなぐことができる。

 とはいうものの,Windowsは完全な家電製品になりきれていないのも事実。「電源を入れればだれでも使える」というのは幻想で,使い続けていくとなんらかのトラブルに遭遇する。例えば,「いつもアクセスしていたサーバーが見えなくなる」,「見えているのにつながらない」といった原因不明の不思議なトラブルだ。だれでも一度は経験しているだろう。

 ひとたびトラブルに陥ると,ネットワークのしくみの複雑さと,それを隠していることが,逆に“アダ”となって返ってくる。本当の原因を探るのが難しいのだ。そのうえ,仕様書を調べて問題解決に当たろうとしても,情報が多すぎてどれを信用してよいのかわからない。イーサネットならIEEE(アイトリプルイー)の規格書,TCP/IPならRFCといった確固たるものがない。

 こうした事情を知れば知るほど,複雑怪奇なWindowsネットワークを一から理解しようという気は失せてしまうかもしれない。だが,今の世の中,Windowsネットワークを完全に無視するわけにはいかない。好き嫌いは別にして,みんなが経験するトラブルの基本的な原因は押さえておきたいものだ。ネットワーク技術に詳しくなりたい人なら,「なんとなくつながった」,「放っておいたら直った」と訳のわからない問題を見過ごすのは気持ちが悪いではないか――。まずは,だれでも経験する「見えない,つながらない」というWindowsネットの不思議な現象を解き明かそう。