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表2 キーワード・サービスと国際化ドメイン名の比較

キーワード・サービスの方が合理的

 最後に,DNSを守るという視点から国際化ドメイン名とキーワード・サービスを比べてみよう(表2[拡大表示])。

 国際化ドメイン名が利用可能になると,DNSが扱うべきデータ量が急増するのは間違いない。さらに,表記のあいまいさも登録ドメイン名数を増やす方向に働くだろう。例えば,日本語には「サーバ」か「サーバー」といった表記の揺れがあるため,キーワードとしてドメイン名を取得するときには両方を登録しなければならなくなるかもしれない。

 一方のキーワード・サービスは,DNSとは無関係に稼働するので,DNSへの影響はまったくない。もちろん,キーワード・サービスでもキーワードの登録数が増えれば増えるほど,キーワード・データベースは膨れ上がる。しかし,キーワード・サービスが破綻しても,DNSは影響を受けず,ドメイン名による通信は確保される。

 次に一意性についてはどうだろうか。もし,キーワード・サービスを提供する会社が複数現れたとする。この状況では,A社に登録されたあるキーワードはページXを指し,B社に登録された同じキーワードはページYを指すというようなあいまいさが生じる可能性がある。これを防ぐには,複数のキーワード・サービス会社に対して,同じキーワードを登録するしかない。

 ただ,国際化ドメイン名でも状況はさほど変わらない。トップ・レベル・ドメインが複数あるからだ。例えば,「○×△.com」と「○×△.jp」は共存できるので,どちらを使用すべきか不明瞭である。結局は,複数のドメイン名を取得しなければならないかもしれない。

 このほか,両者ともに登録・購入は可能であり,これらの価格に顕著な優劣はない。しかし,利用可能かという点では,キーワード・サービスが一歩リードしている。現時点でもIE5.0以上で使用できるのに対して,国際化ドメイン名が利用できるようになるのは当分先のことである

 対応アプリケーションの視点から見れば,キーワード・サービスは必要なアプリケーションが対応すればよいだけである。一方の国際化ドメイン名は,アプリケーションが対応しようにもそのやり方が確立されていない。

 国際化ドメイン名にしかない優位性としては,電子メールのアドレスとしても利用できる可能性があることくらいだ。しかし,国際化ドメイン名を本当にメール・アドレスに利用したいだろうか。

 例えば,私は「yamamoto@IIJ技術研究所.jp」というメール・アドレスを利用したいとは思わない。それよりも,「IIJ技術研究所の山本」という素直な表現でメールを送れる方が嬉しい。実際多くの電子メール・クライアント・ソフトには,これを実現するためのアドレス帳という機能がある。アドレス帳の更新を自動化する技術を開発する方が,方向性として正しいように思う。

 まとめよう。国際化ドメイン名に対するキーワード・サービスの優位性は明らかであり,キーワード・サービスの唯一の課題は知名度の向上である。この記事がキーワード・サービス普及の一助となれば幸いである。また,キーワード・サービス普及に触発されて,新たな水先案内サービスが生まれてくるかもしれない。この分野の可能性に期待したい。