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 FTTHは,高速通信が容易な光ファイバを使うことで,家庭とインターネットを高速につなぐ技術である。

 まず,家庭のパソコンからインターネットまで,どのようにデータを送るのかを簡単に見てみよう。

 パソコンのLANインタフェースから出た電気信号は,「メディア・コンバータ」と呼ぶ装置につながっている。これはFTTHの要となる装置で,電気信号を光信号に変換する。光信号は,家庭まで引き込まれた光ファイバを通して,事業者の集線局(NTTの場合は収容局)まで送られる。

 集線局では,光信号はメディア・コンバータを使って電気信号に変換される。ただし,メディア・コンバータはレイヤー3スイッチに内蔵されていることが多い。ここでほかの家庭から送られてきたデータを束ねる。そのあとは事業者によってさまざまだ。

 例えば,有線ブロードネットワークスの場合,再び光信号に変換して中央局まで送り,そこからインターネットに接続するといった具合だ。

1心式では波長で送受信を分ける

 では,要のメディア・コンバータでは,どのような機能を持っているのだろうか。しくみをもう少し詳しく見てみよう。

図9 FTTHサービスの構成例と光通信のしくみ
家庭と集線局のそれぞれにメディア・コンバータを置き,その間を光ファイバでつなぐ。
 メディア・コンバータの内部には,「ダイオード」と呼ばれる半導体素子が内蔵されている。電気信号を光信号に変換する「レーザー・ダイオード」と光信号を電気信号に変換する「フォト・ダイオード」の2種類がある(図9[拡大表示])。

 光の送信には,レーザー・ダイオードを使う。これは電圧を加えるとレーザーを出す性質がある。これを利用して,電圧の高低(電気パルス)を光の点滅(光パルス)に変えるのである。光っている状態を1,光っていない状態を0とすれば,ディジタル・データを送れるわけだ。

 受信にはフォト・ダイオードを使う。ふるまいはレーザー・ダイオードと逆で,受光すると電流が発生する。この原理を使って,光パルスを電気パルスに変換する。

 光ファイバの使い方は2種類ある。送信と受信にそれぞれ別の光ファイバを使う「2心式」と,送受信を1本で済ませる「1心式」である。

 2心式の場合は簡単だが,1心式では信号が混ざってしまわないかという疑問が湧く。こうした疑問を払拭する技術が,「WDM」(波長分割多重)である。これは,送信と受信にそれぞれ別の波長の光を使うのである。具体的には,1310nm(ナノメートル:1nm=10cm-9)と1550nmの波長の光を利用する。こうすれば,光ファイバの中で送受信の光が混ざっていても,波長によって信号を選り分けることができる。