水野 忠則 静岡大学情報学部情報科学科教授
井手口 哲夫 愛知県立大学情報科学部教授

 これまでは,もっとも普及しているLAN方式であるイーサネットについて,技術的に解説してきました。今回はイーサネット以外のLAN方式を説明しましょう。

LAN標準を作るIEEE802委員会

 LANの標準規格を決めているのはIEEEアイトリプルイー(米国電気電子技術者協会)傘下のIEEE802委員会です。1979年に生まれたイーサネットを標準規格にすることを目的に80年2月に設立され,これまで数多くのLAN技術を標準化してきました。代表的なLAN規格としては,IEEE802.3「CSMA/CD」,IEEE802.4「トークンバス」,IEEE802.5「トークンリング」があります。このうちIEEE802.3は,イーサネットをベースに作られたLAN規格です。

 後者の二つは,どちらも「トークン」と呼ぶ特別なビット列をやりとりすることで伝送制御を実施します。違いは,LANを構成するコンピュータの配置方法にあります。IEEE802.4はコンピュータが直線状に並ぶバス型を,IEEE802.5は円環状に並ぶリング型を採用しています。

 LANは一つの伝送媒体を複数のコンピュータで共有して通信する技術です。同時に送信できるコンピュータは1台なので,どのコンピュータに利用権を与えるかを決める技術が必要になります。これをメディア・アクセス制御(MAC)と呼び,その方式の違いからLAN技術を分類できます。イーサネットはMACにCSMA/CD方式(連載第8回参照)を使い,IEEE802.4とIEEE802.5はMACにトークンを使います。

 IEEE802では,LANを三つの階層構造型プロトコルからなるものとして標準化を進めています。物理層とMAC副層と論理リンク制御(LLC)副層です(pict.1[拡大表示])。LLCがMACの違いを吸収して,コンピュータ側にMACの違いを見せないようにしているのです。また,通常は物理層とMAC副層の下位2層をセットにしてLANの技術を開発します。