水野 忠則 静岡大学情報学部情報科学科教授
井手口 哲夫 愛知県立大学情報科学部教授

 LANにおけるIPの通信では,3種類のアドレスが使われます。

 一つはLANに属するそれぞれの機器の物理アドレスです。イーサネットでは機器がそれぞれMAC(メディアアクセス制御)アドレスと呼ばれる物理アドレスを持ちます。二つ目がIPデータグラムに記されたIPアドレス。三つ目はユーザーが通信相手の指定に使うホスト名です。

 通常のIP通信では,ユーザーはホスト名を指定することで相手と通信します。ただし,これが可能なのは,ホスト名からIPアドレスを調べるしくみと,IPアドレスからMACアドレスを調べるしくみが働いているからです。一般に,前者を名前解決,後者をアドレス解決と呼びます。

IPアドレスからMACアドレスを調べるARP

 まずはアドレス解決から説明しましょう。

 IPデータグラムには送り先を示すあて先IPアドレスと送信元のIPアドレスが付いています。しかし,LANを使ってIPデータグラムを相手マシンに送るには,あて先IPアドレスから相手の装置に割り当てられたMACアドレスを調べる必要があります。IPアドレスからMACアドレスを知るために用意されているのが,ARP(address resolution protocol)です。

 ARPの手順は次のようなものです。まず送信元のコンピュータは,あて先IPアドレスを含んだパケット(MACフレーム)をLANに所属するすべてのコンピュータにブロードキャストします。あて先IPアドレスを持つコンピュータはこのパケットを受け取ったら,送信元のコンピュータへ自分のMACアドレスを知らせるパケットを送り返します(pict.1[拡大表示])。