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 ATM(asynchronous transfer mode:非同期転送モード)は,音声,データ,画像など,どんなデータでも一つのネットワークで効率よく送れるように作られた転送方法です。このため,マルチメディアに適した方式と言えます。

セルの長さは53バイト固定

 ネットワークでやりとりするデータは種類がさまざまで,長さもいろいろです。ところがATMは,どんなデータでも長さが48バイトのブロックに分け,その一つひとつに5バイトのヘッダーを付けて,合計53バイトの固まりにして送ります。これを「セル」と呼びます。

 セルのヘッダーにはあて先のアドレス(回線番号)を入れておきます。こうすることで,データを多数のセルに分けて送ってもすべて相手まで届きます。

 このような送り方はパケット通信に似ています。しかし,異なる点がいくつかあります。

 その一つは,データを分ける長さです。パケット通信では,一つのパケットの長さが100バイト以上になることが普通で,数千バイトのものもあります。一方,ATMのセルは,ヘッダーを加えた長さが53バイトの1種類だけです。

 セルの長さが短いので,データをセルに詰め込む時間はパケットよりも短く済みます。このため,遅延が大きいと支障をきたす電話音声のようなデータを送るのに向いています(pict.1[拡大表示])。

 ATMがパケット通信と異なるもう一つの点は,データを高速で転送できることです。セルは長さが一定で決まっているので,ATMの交換機は送られてきたセルのヘッダーに書かれたアドレス(回線番号)を専用ハードウエアを利用してすぐさま読み取り,該当するポートへ送り出せます。

 一方,パケットの場合は,データの長さやアドレスを読み取る部分の長さが一定ではないので,専用ハードウエアで処理するのが比較的困難です。以前は,汎用のCPUで動かすソフトウエアでヘッダーのアドレスを解析し,転送する経路を決めていました。このため,高速でパケットを転送することが難しかったのです。