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日本国内の製品と主な海外製品を中心に,Windows 2000への対応状況を調べた。製品の多くは,パッチやリリース・アップによって動作保証を得られる。ただし,デスクトップ製品は,動作保証があっても制限事項があるなど,注意が必要だ。サーバー製品は最新版への移行が前提になる。

 Windows 2000の正式出荷が始まって約1カ月。Windows95/98やWindows NTからWindows 2000 Professionalや同Serverに移行すべきかを考えている企業ユーザーにとって,現在利用しているアプリケーションがWindows 2000で動作するかどうかは,最も関心のあるテーマの一つだろう。

図1●日本製ソフトおよび主な海外製ソフト製品のWindows 2000対応状況
日本製ソフトおよび海外の主なソフト製品のWindows 2000対応を調べた。Windows 2000上で動作するソフト製品としては,(1)既存製品がそのまま動作するもの,(2)パッチが必要なもの,(3)新たなリリースで動作させるもの,がある。動作保証を得るには,ほとんどの製品が,最新バージョンを利用する必要がある

 「Win32 APIレベルで互換性があるのだから大丈夫」といった楽観的な見方もある。しかし企業システムで使う場合には,ベンダーがはっきりと動作保証をしていなければ,事実上は動かないに等しい。「恐らく動くが,Windows 2000のバグなど,どんな問題があるか分からない。動作保証をするとなると膨大なテストが必要」(あるソフト・ベンダー)なため,動作保証には消極的なベンダーもある。

 今回,日本国内の製品と主な海外製品を中心に,動作保証をするかどうかという面のWindows 2000への対応状況を調べた。総じて言えば,多くはパッチやリリース・アップが必要だ(図1[拡大表示])。さらに,特にデスクトップ製品では,動作保証はしても制限事項が残るなど,保証のレベルは一様ではない。パッチやリリース・アップで対応する製品でも,対象は最新バージョンに限られることが多い。マイクロソフト製品でも,Visual Basic 5.0以下,MS SQL Server6.0以下などはサポートされない。旧バージョンの場合は最新版へのアップデートが必要不可欠となる。

 以下,デスクトップ製品,サーバー製品の順に対応状況を見ていこう。さらに,動作しない場合の問題点を明らかにし,自社製アプリケーションの移植などにおける注意点も探る。

旧版も保証するOfficeは制限に注意

 既存製品がそのまま動作するデスクトップ製品には,Microsoft(MS) Office,駅すぱあと,Seagate Crystal Reports 7などがある。駅すぱあとはWindows3.1版は動作しないが,Windows95版以降は動作確認済みだ。MS Officeは,Word,Excel,Accessなどで最新版だけでなく,旧バージョンにわたって動作保証する。

 ただしMS Officeでは,約20点の制限事項がある*1。例えば,Access2000でデータ・アクセス・ページを削除した場合にエラー・メッセージが表示されるが,削除はきちんとできている*2などだ。使える機能に制限がかかる場合もある。制限事項が必要になる原因は,「10%がWindows 2000に関わるもので,残りはOfficeのバグ」(マイクロソフト)だと言う。同社は,このレベルの問題は動作保証の範囲内とし,これまでのバグ修正と同様に修正モジュールで対応していく*3

 一太郎10は,そのまま動かしては重大な問題が発生するため,パッチで対応する。問題とは,サーバー上のフォルダに対するショートカット「ネットワークプレイス」の利用時に,「マイネットワーク」内に置くショートカットを一太郎のファイル操作ダイアログから削除すると,サーバー上のフォルダそのものが削除されてしまうというもの。ジャストシステムのホームページで無償提供される「Windows 2000対応モジュール」パッチを導入すると,上記ショートカットは表示されない。ただし,Windows 2000のユーザー権限が「PowerUsers」以上でなければ起動しないといった制限事項は残る。この制限事項には,6月に対応する予定である。

 現在のリリースでは動作保証しない製品もある。ただ,ロータス ノーツR5のように「動作はするが,現状のリビジョン(R5.0.2)では動作保証はしない」(ロータス)や,Visual Basic 5.0以下のように,「動作保証はないが,基本的には動く。ユーザーがリスクを負うなら利用できる」(マイクロソフト)など,動作保証を別にすれば動くケースは多そうだ。しかしこの際,ユーザー自身が制限事項やリスクを把握して利用する必要がある。

図2●既存アプリケーションをWindows 2000で動作させる場合の問題点
Windows9xおよびWindows NTからWindows 2000への互換性があるものの,“完全”ではない。Windows 2000における機能改善が原因でアプリケーションの作り方によっては問題を引き起こすことがあるなど,30点以上が報告されている。そのまま動作しないアプリケーションは,こうした細かな問題に触れていると想定される

サーバー製品は新版への移行が必要

 一方のサーバー製品は,Windows 2000をにらみながら開発されたMS SQL Server7.0は当然ながら,SymfoWare Server V2.0やFreeWay,Seagate Info7など,既存製品でそのまま動作保証している製品はある(図1[拡大表示]参照)。ただ,日立製作所の動作テストでは「(そのまま動作するものは)1割以下だった」という報告もある。マイクロソフト製品でも,MS SQL Server6.5やMS Exchange5.5などは最新のサービス・パックが必要だ*4

 サーバー製品ではデスクトップ製品以上に,動作しそうかどうかよりも動作保証の有無が重要である。その点,日本オラクル,ロータス,ノベル,日立製作所など多くのベンダーが,現行リリースは動作保証せず,新たなリリースでWindows 2000に対応していく。「まず,新リリース(4月下旬に発売予定のOracle8i R8.1.6)における動作検証に注力し,その結果によって既存製品への対応を決める」(日本オラクル)といった姿勢だ。

 リリース・アップは最新版ユーザーや保守契約ユーザーには無償で提供されるケースが多い。ロータス ドミノR5は次リビジョンのR5.0.3で動作保証し,既存のドミノR5ユーザーには無料でリビジョン・アップを提供する予定だ。日立製作所もHiRDBやCosminexusといったシステム・ソフト製品のほとんどを3月末にリビジョン・アップの形式で対応し,サポート・サービス契約者は無料で新リビジョンを入手できる。

 ただ,旧バージョンへの対応は期待できない。例えばOracle7は,2000年12月末でフルサポート期限が切れるため,新たなパッチはそれ以降提供されないはずだ。ロータスは「ドミノR4は動作テストの環境からはずす予定」だし,日立製作所のリビジョン・アップも,最新版にしか対応しない。

 旧版を利用しているユーザー企業は,Windows 2000の導入はサーバー・ソフト製品のバージョン・アップも伴う覚悟が必要である。

“完全”互換ではない

 実はマイクロソフト自身,「(Windows95/98/NTとWindows 2000は)互換性はあるが,完全ではない」と認めている。機能改善のための変更や,過去のバージョンでは問題があった部分を修正したために制限がきつくなった部分,挙動が変わった部分などがあるからだ(図2[拡大表示])。バージョンが変わったため,バージョン・チェックをしているソフトはインストールできないといった,ソフトの作りに依るケースもある*5

図3●Windows2000の新機能に対応するアプリケーションによるメリット
デスクトップ・アプリケーションではWindows Installer機能への対応,サーバー・アプリケーションではActive Directoryへの対応が,注目される。Windows Installer対応によって,IntelliMirrorを使った自動インストールなどにより,管理作業が軽減される。Active Directory対応では,ユーザーは一度ログオンすれば,Active Directory対応データベースなどに再度ログオンしなくても済むようになる

 これらの問題は,パッケージ製品だけでなく,ユーザー企業がVisual Basicなどで自社開発したアプリケーションにも当てはまる。

 例えば,システム ファイル保護機能*の追加によって,インストール時にシステムDLL(Dynamic Link Library)を置き換えるアプリケーションは,インストールできない。また,ローミング・ユーザー*のサポートでシステム・フォルダの位置を変更したため,フォルダの位置を決め打ちしたコーディングをしているアプリケーションは動作しないケースがある。移行では,チェックが必要だ*6

新機能はインストーラ対応が目玉

 リリース・アップによるWindows 2000対応は,既存ソフトの置き換えが必要といった欠点があるものの,Windows 2000の新機能を利用した機能も提供されるという利点がある。例えばOracle8iの次リリースであるR8.1.6はディレクトリ・サービスActive Directoryに対応する予定であり,その後,Windows 2000 Advanced Serverのクラスタリング機能などにも対応していく(図3[拡大表示])。

 ただし,Oracle8iのActive Directory対応は,すでにNovell Directory Serviceで実施していた内容と同じ。ユーザーのメリットは,Windows2000へのログオンによって,Oracleへのログオンが必要なくなる“シングル・サインオン”のみである。MS SQL Serverでは,Active Directoryを装備しないNTの環境でも同様な仕組みを用意していた。

 Windows 2000の新機能対応によるメリットは,サーバーよりむしろデスクトップ・アプリケーションの方が大きそうだ。MS Office2000ではすでに対応しているWindows Installer*が注目される。Windows Installerに対応していれば,サーバー側にアプリケーションのインストール用ファイルをあらかじめ用意することで,その設定に従ってアプリケーションを各ユーザーのパソコンに自動インストールできる。

(森側 真一=morigawa@nikkeibp.co.jp