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長谷川 泰右 NTTデータ関西テクシス 技術部 技術支援担当

32ビットを4つの10進数で表現

 写真1で見た通り,IPアドレスは4つの数字で表現される。では,「999.999.999.999」や「1234.5678.4321.98765」といったIPアドレスは存在するのだろうか。答えは,Noである。

図2●IPアドレスの表記方法
写真2●ダイアログ
WindowsパソコンのIPアドレスの設定で0~255以外の値を指定すると出てくるメッセージ
 実はIPアドレスは,コンピュータ内部では32ビットの数値として保持される(図2[拡大表示]上)。しかし,このままでは人間にとっては理解し難く,覚えることも難しい。そこで,この数値を人間が理解しやすい形式に変換して表記するのである。32ビットの数値を8ビットごとに区切って4つに分け,区切りにはピリオドを入れる。さらに,それぞれの8ビットの値を10進数に変換する(図2参照)。

 8ビットで表現できる最大の数「11111111」を10進数に直すと「255」になる。よって,0~255の値が各けたに設定可能である。試しに自分のパソコンでネットワーク設定のIPアドレス部分に256以上の値を入力し,「適用」ボタンをクリックしてみてほしい。写真2[拡大表示]のようなメッセージが表示され,エラーとなってしまう。ちなみに,4けた以上の数値は入力できないようになっている。

図3●IPアドレスはネットワーク・アドレスとホスト・アドレスから構成される

ネットワーク・アドレスとホスト・アドレス

 4つの数字で表されているIPアドレスは,実は2つの意味を内包している。IPアドレスは「ネットワーク・アドレス」と「ホスト・アドレス」という2つの部分で構成され,それぞれが意味を持っているのである(図3[拡大表示])。

 先ほどIPアドレスは手紙における住所のようなものだと述べたが,ネットワーク・アドレスとホスト・アドレスの役割も住所に例えて説明することができる。

 住所は現在,郵便番号で町のレベルまで特定することが可能である。例えば郵便番号「530-0001」は,「大阪府大阪市北区梅田」が対応付けられている。この郵便番号を記載し,丁目,番地,号,ビル名までを含めた住所と,あて名を書いた手紙を投函したケースを考えてみてほしい。郵便局の集配センターでは郵便番号を基にして,あて先地域の配送センターに向けて届けられる。その配送センターからは郵便配達員が手紙に記された細かい住所とあて名を基に,あて先まで届ける。

図4●インターネットや企業内ネットワークはルーターで接続され,ルーターがIPアドレスを基に効率的にデータを転送している
 TCP/IPの世界でも郵便に似た仕組みでデータが相手に届けられる。今,「インターネット」と一言で片付けられているものは,実は,ISP(Internet Service Provider)や各種組織,大学などのネットワークが相互に接続される形で構成している(図4[拡大表示])。それぞれのネットワークを接続しているのが「ルーター」と呼ばれる機器であり,各ネットワークの中にも数多くのルーターが存在している。企業ネットワークも同様で,各部署,各支社間のネットワークをルーターによって相互接続し,それが,やはりルーターでインターネットに接続されている(図4参照)。

 そしてデータはルーターによって,網の目のように接続されたネットワーク上でも効率的に伝送されている。郵便の集配センターに当たる最初のルーターは,あて先ホストがぶら下がっているルーター(郵便の配送センターに当たる)にデータが効率的に届くように,中継局となるルーターにデータを受け渡していくのである。この動作を「ルーティング」と呼ぶ。このとき,ネットワーク・アドレスは郵便番号,ホスト・アドレスは△△丁目以下の情報に相当する*3

 ただ,郵便番号は7けたと決まっているが,IPアドレスのうちの先頭からどこまでがネットワーク・アドレスかは,決まっていない。ルーターで接続されている各ネットワークごとに異なっており,その情報は各ルーターが備えている*4

 図3の例の場合,ホスト・アドレスで指定できる値の範囲は,0~255となる。ここで0と255は特別な意味を持っているため,ホスト・アドレスとしては使えない。つまり,このネットワークには,256-2=254台のホストしか接続できないことになる。