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まずはITコーディネータ補に

 「ITコーディネータ」になるには,その前段階である「ITコーディネータ補」試験を受けなければならない。試験は年2回,5月と11月に日本全国(2003年は9カ所)で実施される。試験時間は150分(2時間30分)で,すべてが多肢選択式の120問。ITの中でも経営と関連する部分を中心に,その知識と応用能力が問われる。問題[拡大表示]を見ていただくとわかるように,知識型もしくは判断式の問題で,1問を1分少々で解いていかないと間に合わないので,結構大変だ(サンプル問題は協会のWebサイトからダウンロード可能)。

 しかもこの試験に合格しただけではITコーディネータ補になれない。ケース研修と呼ばれる15日間の講習を受講しなければならないのだ。このケース研修は,2003年は4~7月,8~11月,12~翌年3月の3回の期間に,週末コースもしくは平日コースが開講される。試験費用の2万1000円と比べると,実に25倍の52万5000円がかかるが,厚生労働省の教育訓練給付金対象講座となっているので,これを利用することができる。もっとも,この制度も2003年5月以降は,補助金額などの条件が悪くなる予定なので要注意だ。

 晴れて両方をクリアすると,ITコーディネータ補として認定される。2001年から始まった制度で,まだ2年余りしか経っていないが,すでに全国に約900名のITコーディネータ補の資格認定者がいる。

 ITコーディネータ補からITコーディネータへの道も大変だ。ITコーディネータ補として活躍しながら,実務経験や継続学習などをこなして「ポイント」を貯めなければならない。マルチエントリーポイント制度と呼ばれるこのポイントは,例えばITコーディネータ協会が認めた研修を受講すると4時間につき1ポイントが,高度情報処理技術者試験などの資格を新たに取得するとその1資格につき20ポイントが,それぞれ加算される。これらの知識研修,知識取得などのポイントが100ポイントを超えると,晴れてITコーディネータに登録できるようになっている。

直接ITコーディネータになる裏技

 このように,ITコーディネータになるには長い道のりを経なければならないのだが,実は裏技があって,2004年3月まではいきなりITコーディネータ(補ではない!)に認定される「プロフェッショナル特別認定制度」という道がある。この制度は,すでに高度情報処理技術者,技術士,中小企業診断士,公認会計士,税理士などのプロフェッショナル資格の有資格者が対象。資格を得るためには3年以上の実務経験を自己申告し審査を受ける。そしてさらに,プロフェッショナル特別認定研修を受講する必要がある。

 2003年2月現在のITコーディネータである2130名は,全員この制度によって認定された方々だ。この特別認定は,試験制度が始まって3年間の期間限定の制度であり,2003年10月の審査が最終になる予定なので,対象資格所有者でITコーディネータに登録したければ,急いでITコーディネータ協会へ問い合わせていただきたい。

情報処理技術者試験とどう違う?

 ITコーディネータ資格で素朴な疑問といえば,国家資格となっている情報処理技術者試験とどう違うのか,という点だ。実はITコーディネータは,情報処理技術者試験のうち,高度情報処理技術者のシステムアナリストや上級システムアドミニストレータなどと,経営者と情報化戦略を策定する部分で重複している。とはいっても,システムアナリストや上級システムアドミニストレータを持っていれば,ITコーディネータが不要というわけではない。ITコーディネータの役割は経営者や情報化戦略担当役員などに近く,税理士や中小企業診断士などの経営系資格と,情報処理技術者試験などの情報系資格の中間的立場にあるようだ。

 さらに,ITコーディネータ,ITコーディネータ補は前述のマルチエントリーポイント制度を活用した更新が毎年必要な点も,情報処理技術者と異なる点だ。過去3年間のポイントがそれぞれ100ポイント以上,65ポイント以上で更新申請できる。継続的な学習や情報収集などが更新に必要というわけだ。このため,ITコーディネータは即戦力となる人材であると一般に認められている。各都道府県中小企業支援センターのIT化促進のための専門家派遣には,ITコーディネータ有資格者が多いという。民間資格といえども,公的な立場が与えられることが多いのは極めて珍しい。経済産業省が中心となって,ITコーディネータの活用も積極的に支援されている。

実は地道なITコーディネータへの道

 ITコーディネータという名称は派手な感じがあるが,実際には常にセミナーなどを受講するなどしてポイントを継続的に稼いでいないと更新できないように,かなり地道な努力が必要な資格である。ちなみに,ITコーディネータ補試験に関する情報は,協会のWebサイトで詳細に得られる。サンプル問題や出題傾向はもちろんのこと,これまでに合格された方々の合格体験記,さらにケース研修のスケジュールも公開されている。Webサイトからダウンロードできる「ITコーディネータ資格認定ガイドライン」はITコーディネータ補受験者には必須のコンテンツでもある。

 サンプル問題や市販のテキストで出題のおおまかな傾向をつかんだら,あとは専門雑誌や新聞などで情報を日頃から収集していれば,ITコーディネータ補試験の120問の7割程度が解けるはずだ。公開されている出題項目には,七つの大項目をはじめとして,試験に重要なキーワードが散りばめられている。完全にその意味を理解して,その応用を把握しておけば,心強い。出題問題や合格基準などは非公開だが,各分野まんべんなく7割できていれば合格は手堅いだろう。これまでのITコーディネータ補試験の合格率は約5割と高い。

 ケース研修は15日間をどのように確保するのかがカギだ。自由業であれば,平日コースも比較的受けやすいだろうが,会社勤めなどなら休日コースを選ぶのが無難だ。研修を通じて多くの業界ネットワークを広げられるのがITコーディネータ補制度の特徴でもある。

 日頃プログラミング関連の仕事をしている人の中にも,直接経営陣に提言したり,改善策を訴えてみたいという気持ちを持っている人が多いだろう。そのような人は,ぜひともITコーディネータになって,それを実践してほしい。将来情報系の仕事で独立してみたいと思っている人も,ITコーディネータという人的ネットワークや仕事の広がりを持つ利点に注目し,取得を考えてみてはどうだろうか。