Windows 2000が2月18日(米国では2月17日)から全世界で発売された。この発売に合わせ,日米で記念イベントを開催。信頼性や拡張性といったWindows 2000の特徴を大々的にアピールした。

派手な演出でGates氏が発売を宣言

図1●基調講演でWindows 2000の発売を宣言するBill Gates氏

 まず,口火を切ったのは米国。米Microsoftの前CEOでChairman and Chief Software Architect(ソフトウエア開発責任者)のBill Gates氏が,米サンフランシスコで開催した「Windows 2000 Conference & Expo」の基調講演でWindows 2000の発売を宣言(図1[拡大表示])。「Windows 2000の登場によってユーザーはこれまでにない信頼性と拡張性を手にする」と,今後のインターネット・ビジネスの基盤となることを強調した。

 Gates氏は,Windows 2000製品のうち,Professionalを「Business PC」,Serverを「IT Infrastructure」,Advanced Serverを「E-Commerce」向けの製品と位置付け,それに沿って派手なデモを披露した。

 まず,Professionalでは,サーバー上のデータを外出先でも簡単に利用可能なオフラインファイルや赤外線通信,どのパソコンからも自分の作業環境を再現できるIntelliMirrorなどのデモを見せた。さらに,米Ziff-Davisのラボが実施したテスト(http://www.zdnet.com/zdlabs/reports/mswin2kr.pdf)を取り上げ,信頼性の高さを強調した。このテストでは,Windows 2000は90日以上も再起動なしで稼働しているのに対し,Windows 95では平均して2.1日,NT 4.0では5.2日で再起動が必要だったという。

 続いて,Windows 2000 ServerではSAP R/3のSDベンチマークの結果を基に,ERPプラットフォームとしての優位性をアピールした。平均応答時間2秒以内を保証できる同時ユーザー数が,NT 4.0とSQL Server 7.0の構成では最大4500までなのに対し,Windows 2000 ServerとSQL Server 2000だと最大6700ユーザーまで処理できる。

 Serverでは,Active Directoryとグループポリシーを使ったデモを見せた。企業のイントラネット・システムを模擬し,ある部門の社員が別の部署に異動になった際に,Active Directory上でユーザーを移動することにより,すぐに社内文書へのアクセス権限などが新しい部署のものに反映される様子を見せた。

 E-Commerceの基盤と位置付けるAdvanced Serverについては,データベースのトランザクション性能を示すTPC-Cテストで,UNIXサーバーを超える値を達成したことを明らかにした。Compaq Computerの8CPU機ProLiant8500×12台でSQL Server 2000を使って20万7079tpmCを記録(http://www.tpc.org/を参照)。トランザクション当たりのコストも19.12ドルと他を圧倒する。

図2●35台のPCサーバーを使った米国でのデモの様子

 さらにWindows 2000の拡張性の高さを,大がかりなセットでデモ。35台のDell PowerEdgeで構成したWebサーバーで,「CBS MarketWatch」のサイトへのアクセスを実演,1日当たり16億ヒットの処理を達成する様子を見せた。500台のデスクトップ機を,ステージ上と講演会場の両サイドに積み上げたのは壮観だった(図2[拡大表示])。

 まだ発売していないWindows 2000 Datacenter Serverについても,拡張性の高さをアピールするデモを実施した。16CPUを搭載するUnisysのES7000を使い,CPUの数を動的に増やすというもの。航空路線の料金を計算するシステムで,16CPUのうち8CPUを割り当てて稼働しているシステムに,CPUを追加で割り当て,12CPUおよび16CPUで稼働させ,処理の負荷分散の様子を見せた。

国内でも256台のPCをつないでデモ

 一方,日本でも2月18日の発売日に説明会を開催した。午前中の報道向け説明会では,「650の主要ビジネス・アプリケーションと約1万1000の周辺機器がWindows 2000に対応済み」(マイクロソフトの成毛真社長)と,すでに利用環境が整っていることを強調した。国内では,野村総合研究所,中部電力(pp.126-127参照),鹿島建設などがサーバーOSを含めWindows 2000の大規模な導入を決定している。

図3●256台のパソコンを使った日本でのデモの様子

 午後のユーザー向け説明会では,米国と同様に信頼性と拡張性のデモを披露。出席者256人全員の前にパソコンを置き,メリットを身近に実感できるよう工夫した(図3[拡大表示])。

 まずは,全員に配布したスマートカードを使ってログオンさせ,セキュリティの向上をアピール。続いて,デジタルダッシュボード2000を使った各ユーザーの初期ポータル画面をActive Directoryと連動して簡単に変更するデモを見せた。具体的には,初期状態では情報システム本部に所属させていた全員のアカウントを,Active Directoryの管理ツールで営業本部に移動。すると,各ユーザーの画面に,それまでとはまったく違う営業本部向けの画面を表示するというものだ。

 さらに,グループポリシーの設定を変更することでスタートメニューなどデスクトップをカスタマイズできるというIntelliMirrorのデモを続けて実施。管理のしやすさもアピールした。

 スケーラビリティのデモでは,クライアントのWebブラウザからWebサーバーを経由して,SQL Serverのデータベース(2Tバイト)を更新するという仮想インターネット書籍受注システムを例に取り上げた。中間に,今年中に出荷を予定しているWebアプリ開発・管理ソフトのApplication Center Server 2000を搭載したアプリケーション・サーバーを設置した多層型のシステムである。ハードとしては,Webサーバーとアプリケーション・サーバーに4CPU構成のサーバーを3台ずつ,データベース・サーバーに8CPU構成のサーバーを2台使用した。

 ここに,背後では仮想クライアント負荷ソフトで100トランザクション/秒の負荷をかけながら,会場中のクライアント256台から一斉に更新処理を実行し,処理が瞬時に終了することを見せた。さらに,Webサーバーとアプリケーション・サーバーへの接続を強制的に切断し,それでも速度に影響なく残りのサーバーだけで処理が継続できるという信頼性もデモした。

現実性を強調するが未提供の製品も

 マイクロソフトの成毛社長の説明によると,このシステム構成を具体的に実現する場合の費用はおおむね4億~5億円という。これで「全世界で5万8000人の従業員と3兆円の売り上げのあるMicrosoftの基幹システムも実現できる」とその現実性を強調した。

 ただし,気になるのは肝心のAdvanced ServerとApplication Center Serverがまだどちらも出荷されていないこと。とくに正式な発表さえないApplication Center Serverを使ったデモではいまひとつ説得力に欠ける印象があるのは否めない。

(森重 和春=morishig@nikkeibp.co.jp, 根本 浩之=nemoto@nikkeibp.co.jp)