★Windows 2000の出荷がついに始まった。プラットフォームを提供するPCサーバー・ベンダーはこの新しいOSをどう見ているのか。ベンダーがどんな立ち上がりを予測しているのかを知っておくことは,導入の判断に役立つはずだ。
★Windows 2000 Serverはファイル/プリント・サーバーなど単純な用途から入り始め,今年秋以降に出荷比率でNT 4.0を超えると見るベンダーが多い。関連して,導入指針をWindows 2000 Magazineの記事から紹介する。

 「Windows 2000は今年の事業の大きな柱」(日本ユニシスの天野順一社長)という声に代表されるように,サーバー・ベンダー各社がWindows 2000 Server にかける期待は大きい。

表1●PCサーバー・ベンダー各社のWindows 2000への対応方針と今後の市場予測

 だが期待とは裏腹に,市場での立ち上がりについては各社とも慎重な見方をとる。「Windows 2000 Serverが出荷比率でNT Server 4.0を超えるのは,NT Server 3.51から同4.0への切り替わりのときを考えると,2000年末ごろではないか」。コンパックコンピュータの青木則昭エンタープライズビジネス統括本部PCサーバ製品部マネージャーはこう予測する。なかにはNECのように,6月にはWindows 2000の比率が上回ると見るところもあるが,ほとんどのベンダーは早くても秋以降と見ている(表1[拡大表示])。

 Windows 2000 Server の用途として共通するのは,「まずファイル/プリント・サーバーとして使われる」という点だ。たとえば,すでにあるNTドメインにメンバー・サーバーとして導入する。こうしたニーズを見越して,Windows 2000のプリインストール・モデルは,エントリ・クラスから提供するというベンダーが大半だ。

Active Directoryのハードルは高い

 Windows 2000 Server の新機能というとActive Directoryが真っ先に浮かぶ。だが,Active Directoryを導入するためには,NTドメインの再構築やDNS(Domain Name System)の統合など,高いハードルが待ち構えている(別掲記事)。そのため,本誌1月号特集でも取り上げたように,NT Server 4.0の“機能改善版”として使い,障害対策やディスク管理など身近なメリットから享受するユーザーが多そうだ。もちろん,実環境で使って評価する意味合いもあるだろう。

 次に立ち上がる分野としては,IIS(Internet Information Services)を使ったインターネット・サーバーを各社は挙げる。Windows 2000に付属しているIIS 5.0は,高負荷時のプロセス調整機能など,大規模Webサイト向けの機能が強化された(本誌1月号pp.19-21プロダクトレポート参照)。

ミドルウエアの対応には時間がかかる

 グループウエアやデータベースなどを使うアプリケーション用サーバーをWindows 2000 Server に移すためには,アプリケーションの動作検証が済んでからになる。問題はその時期だ。NECは「OracleやARCServeなど主要ソフトの動作が保証されるのは4月以降だろう」(第二コンピュータ事業本部ワークステーション・サーバ販売推進本部Expressサーバービジネス推進部の泓 宏優主任)と見る。

 富士通は自社のミドルウエアのほとんどで動作を保証できるのは,夏以降になるという。単純にWindows 2000上で動作するだけでなく,Active Directoryなど新機能に対応するのはさらに後ろにずれこむ。 ERPパッケージなど業務アプリケーションの対応もしかりだ。また,ユーザー固有のアプリケーションもOSが変わってもすぐには追随できない。
 これらの点が,Windows 2000 Serverの立ち上がりに時間がかかる主な理由である。

期待されるDatacenter Server

 時期は遅くなるものの,各社は大規模な基幹システム構築向けの用途にも期待している。メインフレームやUNIXサーバーの牙城になっており,NTではなかなか突き崩せなかった分野だ。その大きな鍵を握るのが,Windows 2000 Datacenter Serverである。最大で32CPU,64Gバイト・メモリーをサポートするほか,4台のクラスタ構成を採れる。サーバー・ベンダーにとっては,ハードウエアで違いを打ち出せる点も魅力に映る。

 ただ,出荷が早くても5月中旬ということもあり,対応予定はあるがどのような機種で動かすかは各社とも検討中だ。日本IBMだけはすでに,既存の8CPU機のNetfinity8500Rで対応する方針を表明している。

 また,基幹システムで使うとなると,OSの信頼性が気になるところだ。米Microsoftは品質を高めるために,製品の出荷が遅れたと強調してきたが,不安は拭えない。実際,「Service Pack 1が提供されるまでWindows 2000の導入は待つと話すユーザーもいる(日立製作所の赤羽雅之PC事業部マーケティング部課長代理)という。

Linuxのシェア拡大には懐疑的

 PCサーバー・ベンダーの多くは現在,Linuxにも力を入れている。別掲記事にもあるように,ユーザーはWindows 2000ではなくLinuxに移行するという選択肢もあるはずだ。

 しかし,この点については各社とも否定的だ。Linuxに対して積極的な姿勢をとるNEC,コンパック,日本HP,日立あたりでも,「2000年末時点でOSの出荷比率を見たときに,せいぜい10%に行くか行かないかだろう」と予測する。ただし,NT 4.0からWindows 2000への移行につまずく事例が出てきたりすると,勢力地図が大きく変わる可能性はありそうだ。

(桔梗原 富夫=kikyouba@nikkeibp.co.jp)