★マイクロソフトがサポート技術情報でMicrosoft Office各製品がWindows 2000上で起こす障害情報を続々と公開している。
★条件によりファイルが破損するという障害もある。自分の環境が該当しないか調べ,本格導入時には修正モジュールなどを適用すべきだ。
★ただし,サポート技術情報は検索機能が不調だったり表現が難解だったりする。ここでは主なトラブルをピックアップして解説したい。

図1●Webサイト上のMS Officeの各OS対応表
Office 2000/97/95とOffice 4.3/4.2は,基本的に「Windows 2000に対応している」とするが,「注意点がある」という趣旨の注釈がついている。ユーザーは具体的な制限の内容をサポート技術情報を調べるようにしたい。
 マイクロソフトの「サポート技術情報(パーソナル)」で公開されているMicrosoft OfficeのWindows 2000上での障害情報が増加している。Windows 2000がベータ版のころから少しずつ提供されていたが,2月18日のWindows 2000発売前後にピークに達した。

 MS Officeは最新のOffice 2000からOffice 4.3/4.2まで基本的にWindows 2000上で動作保証される。対応情報は「Microsoft Office製品の各OSでの対応表」( http://www.asia.microsoft.com/
Japan/Office/Productinfo/
Platform/default.htm
)というWebページにまとめられた(図1[拡大表示])。

 しかし,このページでは同時に多くの製品でなんらかの障害や制限があることにも触れられている。MS Office 2000のように最新の製品でも「動作します」を意味する「○」印の隣に「注意点」があることを示す注釈が必ずつく。Windows 2000上でMS Officeを利用するユーザーは障害内容まで調べておきたい。

 具体的な障害の内容はサポート技術情報というWebページで調べる(http://support.microsoft.com/intl/japan/personal/)。従来,マイクロソフトは障害情報をここで検索するように促してきた。製品を指定して,簡単なキーワードを入れるだけでその単語を含む技術情報を表示する。

 とはいえ,最近このサポート技術情報の検索が不調だ。たとえば,Access 2000には「関数を使ったデータベースでエラーが出る」障害が出る。これを検索しようとしても,「Access」や「Windows 2000」などのキーワードではヒットしない。

 マイクロソフトもこの状況を認識しており,「Office製品の障害情報をまとめたページを作成した」(エンタープライズ・シナリオマーケティング統括部の横井伸好Officeシニアプロダクトマネージャー)。「Windows 2000 上での Office アプリケーションに関する問題」(http://www.microsoft.com/japan/support/kb/articles/J052/2/73.htm)というページがこれに該当する。前述した注釈でも,このページへのリンクが張られている。まずはここを見て概要をつかむとよい。

表1●MS OfficeがWindows 2000上で起こす障害の例(2月末~3月15日時点)
総合案内ページにアクセスすると主なものがわかる。*印の障害は3月15日時点では総合ページに入っていたもの

 ただ,編集部で調べたところ,そこに載っていないがOfficeユーザーが知っておくべき障害が別途いくつかあることがわかった。サポート技術情報には表現に難解な部分も多い。そこで,それらを含めてWindows 2000発売前後に出た情報を中心に主なトラブルと対策を解説したい(表1[拡大表示])。

ファイルが消える重大な問題は2件

 まず,最も重大と思われるファイルが消失する障害について説明しよう。マイクロソフトはこれらをWindows 2000側の問題としており,Officeの障害をまとめたページに載せていないので注意したい。

 1つは,Word 2000やExcel 2000などの文書をHTML(HyperText Markup Language)形式にしてWebフォルダという機能から保存するとHTMLファイルが破損するという障害である。Internet Explorerでサーバー上のHTMLファイルを閲覧したあとに,Wordなどで編集し,保存するとHTMLファイルが破損することがある。

 マイクロソフトはこの障害を重く見て,専用の修正モジュールを提供して対処している(http://www.microsoft.com/japan/windows2000/setup_faq.htm)。必ず適用しておこう。ただ,発生率は低いようだ。編集部で試した限りでは一度もこの現象は起きなかった。

 かな漢字変換ソフトIME 2000があるNT 4.0をWindows 2000にアップグレードすると,単語登録したユーザー辞書が消えるというトラブルもある。IME 98からアップグレードしたIME 2000で発生することがある。

 やはりWindows 2000側の問題とされるが,IME 98からIME 2000へのアップグレードは,Office 2000を導入するとき行われる。ユーザーはOfficeの問題と考えて,対処すべきだ。HTMLファイル破損防止用モジュールと同じ場所にこの問題専用の修正モジュールがある。対策はアップグレード前にこれを適用する,アップグレード時にユーザー辞書をバックアップするなどになる。

図2●Access 2000では特定の関数を使うデータベースでエラーが発生

機能が使えなくなる障害は多数

 次に注意したいのは「エラーなどが出て,機能が使えなくなる」,「インストールに失敗する」というレベルの障害である。件数としてはこれが多い。

 たとえば,Access 2000では前述したように特定の関数を使ったデータベースでエラーが発生する(図2[拡大表示])。サポート技術情報の該当ページに回避策は書かれているが,マイクロソフトによると「MDAC(Microsoft Data Access Components) 3.5の問題らしい。修正モジュールで対処する予定」という。

図3●Outlook 97はUsersのメンバーで起動できない

 仕様が変わったUsersグループのメンバーで発生する障害も複数ある。たとえば,Outlook 97は,Usersのメンバーが起動できない(図3[拡大表示])。Outlook 98は,インターネット・メールのみのモードでセットアップするとウイザード後に起動できない。これらは動作保証範囲外の制限事項で,ユーザー・アカウントにPower Users以上の権限を与えて回避する。

日本語ユーザー名は避ける

 「田中」,「お父さん」など2バイト文字のユーザー名で発生する障害も見つかった。たとえば「Outlook 2000が正常にセットアップできない」が報告されている(図4[拡大表示])。エラー・メッセージが途中で発生するものの最後は「正常に終了しました」というメッセージが出る。実際には失敗しているので注意が必要だ。

図4●Outlook 2000は2バイト文字を使うユーザー名でセットアップに失敗

 「Administrator」など英語のユーザー名の管理者アカウントでログオンして,セットアップし直して対処する。一度正しく導入すれば,2バイトのユーザーでログオンしても正常に利用できる。ただ,2バイト文字ユーザー名は,Windows 2000本体でも「インターネットの設定が行われない(J052493)」障害がある。基本的には2バイト文字の利用は避けたい。

 Windows 2000 Professionalは,セットアップ時に自動ログオンを行う設定にすると,ライセンス登録用の氏名を流用して管理者アカウントを自動作成・利用する。氏名を漢字で記入すると,意図せず問題の出るユーザー名の管理者ができるので注意したい。

Active Directory環境でも障害

 Windows 2000 Serverの新機能であるActive DirectoryでOffice 2000をインストールしたり,設定したりすると発生する障害もある。

図5●Office 2000はActive Directoryでインストールするとクリップ・アートが挿入不可

 Active Directoryのグループポリシーにある「ソフトウェア インストール」という機能では,特定のコンピュータやユーザーに対して,Office 2000を自動インストールする設定が可能である。ユーザーが,マシンを変えても,それを追いかけるようにOfficeを自動インストールして利用させるには「ユーザーの設定」を使う。しかし,その場合,Officeではクリップアートが挿入できなくなる(図5[拡大表示])。サポート技術情報では,通常の方法でOffice 2000をインストールすることが回避策として挙げられている。

 編集部のテストでは,グループポリシーの「コンピュータの設定」でOfficeを配布すると発生しなかったので,それを試してもよい。マイクロソフトによると「修正モジュールが予定されている」ので,それを待つのもよいだろう。

 まとまった修正モジュールの第1段は,「Office 2000 Service Release 1」という名前で提供される。Office 2000が他のOSでも起こす問題に総合的に対処するとともに,Windows 2000上で発生するOffice 2000の問題への対策を含むものになる。Webサイトから無償でダウンロードできるようにする。解決する障害の詳細な内容は不明だが,日本では4月中の提供が期待できそうだ。

 このほか,3月号13ページのレポートで説明したようにWindows 2000のCDにある「リリースノート」という文書には,Office製品に関する障害が含まれている。「ロータスノーツがインストールされたコンピュータでOffice 2000がインストールを続行できない」,「Windows 95/98からWindows 2000にアップグレードするとOutlook 2000の再インストールが必要」などがある。ノーツの障害解決に要する修正モジュールは,リリースノートにある「Err2343.exe」から変更され,Office 2000 SR1による対処になるというので注意したい。

 Office製品の障害情報公開は3月上旬には一段落したようだ。しかし,まだすべてが出尽くしたとはいえず,今後も追加される可能性がある。ユーザーは定期的にサポート技術情報をチェックしよう。

(干場 一彦=hoshiba@nikkeibp.co.jp)

FATとNTFSで変わるUsersの障害

 Windows 2000ではUsersグループの権限が,NT 4.0より制限され,起動できないなどの障害がアプリケーションに出ている。MS Office製品でも,「Excel 2000などで組織図が挿入できない」,「Outlook 97が起動できない」が発生しているのは本文で説明したとおり。

表A●NTFSとFATで変わるUsersのトラブル
Users権限の変更が原因で生じるトラブルは,ディスクがNTFSのときとFATのときで現象が変わることがある。
○:可能,×:不可,△:起動するがレジストリの更新に失敗

 ただ,OSのシステムを導入するディスクがNTFSでフォーマットしたものかFATでフォーマットしたものかで生じる障害の内容に違いがある(表A[拡大表示])。たとえば,組織図の挿入は,NTFSの場合のみ不可でFATの場合は可能だ。Outlook 97の起動はNTFSでもFATでも不可能だ。

 マイクロソフト以外のアプリケーションでもこうした違いが出ている。たとえば一太郎10は,NTFSでもFATでもUsersでは起動できない。一方,Netscape Communicator 4.7の起動は,NTFSでは失敗する。しかし,FATでは起動自体は成功し「システムレジストリの更新に失敗しました」というメッセージが出る。

原因はレジストリのアクセス権変更

 これはWindows NTから2000になったときに,レジストリのアクセス権が変更されたことが影響している。Windows NT 4.0では,HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWAREという部分をUsersグループのメンバーが更新することは許されていた。これがWindows 2000では読み取りだけになった。

 Windows NT/2000では,権限は「ユーザーの権利」と「NTFSアクセス権」に加えて,この「レジストリのアクセス権」で決まる。Windows 2000で行われたNTFSアクセス権によるシステム・フォルダの制限強化は,システムを導入するドライブをFATにすると影響がなくなるが,レジストリのアクセス権は,FATでも有効である。そこで,アプリケーションの作りによって,障害の現象が違ってくるようだ。