●マイクロソフトはWindows NT Server 4.0のライセンス供給やサポート提供を段階的に縮小していくスケジュールを公表した。
●セキュリティ関連の修正プログラムの提供は当面続くので,小規模システムはハードウエアを入手できる限りほとんど問題なく使い続けられる。
●Windows 2000/.NET Serverへの移行に長い期間を要する中・大規模システムのユーザーは,次期システムの検討を開始すべき時期に来ている。

図1●Windows NT Server 4.0のサポート期間を告知するWebページ
2001年12月17日,Windows NT Server 4.0の製品やサポート提供を段階的に縮小していく方針がWindows NT Serverの製品情報サイトに公開された。

 いよいよWindows NT Server 4.0を使い続けることが難しくなりそうだ。マイクロソフトは2001年12月17日,「Windows NT Server 4.0の製品販売期間と製品サポート期間に関するガイドラインについて」という文書を公開し,ライセンス供給とサポート提供を段階的に縮小していく計画を明らかにした(図1[拡大表示])。サーバーOSの販売がWindows 2000 Serverにシフトしてきたことや,その次期版「Windows .NET Server」の姿が見えてきたためだ。

販売は2003年6月末まで
サポート情報も2005年以降は更新停止

 実はライセンス供給に関しては,NT Serverの約70%を占めていた「オープン」や「セレクト」などのボリューム・ライセンスによる提供が,2001年9月で既に終了している。今回の発表では,さらにマイクロソフトからサーバー・メーカー各社へのOEM供給と,パッケージ版の販売を2002年6月末で打ち切るという新事実が加わった。2002年7月以降は国内に数社ある「OEM正規販売代理店」経由で間接的なOEM供給を続けるが,これも2003年6月で終了する。この時点でNT Serverのライセンス供給はすべて終了することになる。

 サポート縮小も既に始まっている。Windows NT向けのService Pack(SP)は1999年12月にリリースしたSP6aを最後に新規の提供を終了している。今回明らかになったのは,「プレミア」や「プロフェッショナル」などの有償サポート・プログラムで提供しているホットフィクスについて,新規作成を2002年末で事実上終了し,2004年以降はサポート対象から外すこと。さらに12カ月以上の告知期間を設けた上で,2005年以降のいずれかの時点でサポート技術情報の更新も停止することである。以降はセキュリティ関連の修正プログラムの提供のみになる(図2[拡大表示])。

図2●Windows NT Server 4.0のライセンスやサポートの提供期間
デスクトップOSと異なり,ライセンスよりサポートの提供期間をやや長めに設定している。当分の間,ライセンスや技術情報は問題なく入手できる。セキュリティ関連の修正プログラムについてはサポート終了後も提供を続けていく。

 これはデスクトップOSにおける縮小スケジュールとほぼ同じ内容である。デスクトップOSでは,(1)全チャネルで製品/サポートを提供する「メインストリーム・フェーズ」(2)限定的に提供する「延長フェーズ」(3)サポート技術情報以外の提供を打ち切る「非サポート対象フェーズ」の3段階に分けられていた。NT Serverにおける特徴は,サーバー向けという製品の性質上,メイン・ストリームに相当する期間がより長いことと,サポート体制の縮小時期をライセンス提供形態の縮小時期より半年程度後ろにずらしていることの2点である。

それでも入手することは可能
セキュリティ面の修正も当面継続する

 「現在,稼働しているWindowsサーバー・システムの7~8割はNT 4.0ベース」(大塚商会 マーケティング本部 山口雄二次長)だという。NT Serverのサポート・スケジュールが確定したことで影響を受けるユーザーは少なくない。特に中・大規模システムのユーザーはすぐにでも次期システムの検討を始める時期に来ている。

 まず認識しておきたいのは,提供が終了した後も導入済みのシステムを利用する分にはライセンス上,何の問題もないということである。2005年以降もセキュリティ関連の修正プログラムは提供されるので,現在問題なく稼働している構成で使い続ける限り,新たな不具合が生じる可能性は小さい。

 OSの入手経路も確保されている。Windows 2000 Serverのライセンスを使ってNT Serverを利用する「ライセンスのダウングレード」が可能なためだ。インストールに必要なCD-ROMなどのメディアは,ライセンス供給が停止した後も当分継続する。

ハードとアプリの対応が焦点に

 しかし,NT Serverのシステムはいずれ行き詰まる。NT Serverをサポートしたハードウエアやアプリケーションの調達が少しずつ難しくなるためである。例えばコンパックコンピュータでは「サポートするサーバーOSは,原則として最新のバージョンを含めて2世代分まで」(コンパックコンピュータ エンタープライズビジネス統括本部 IAサーバ製品本部 ビジネス企画部 大内剛部長)である。「NT Serverについては普及の度合いなどを勘案して例外的にサポートを延長することもあり得る」(大内氏)としているが,原則に従えば .NET Serverがリリースされた時点でNT Serverはサポート対象外となる。

 それでも部門サーバーやシングル・ドメイン程度の小規模なシステムならば,半ば消耗品としてサーバー・マシンを置き換えられるので,当面使い続けても大きな問題にはならない。しかし,中・大規模システムでは時間の面でも予算の面でもおいそれとは済まされない。しかも「経営環境が良くないためか,単にOSのサポートが終わるというだけでは,現時点で問題なく動いているシステムを置き換えるような予算を取れないケースが増えているようだ」(大塚商会 テクニカルソリューションセンター BackOfficeソリューショングループ 清水達哉SEマネージャー)という。

 このため新規にシステムを構築するにあたっては,なるべく2000 Serverや .NET Serverならではの機能を用いることになる。ところが,設計から導入まである程度の期間がかかる。例えばActive Directoryを用いたシステムなら設計を含めて最低でも1年は必要だ。クライアント環境の整備などまで考えると2年から3年かけて取り組む例も珍しくない。今すぐに取り組み始めても,プロジェクトが終わるまで既存のNT Serverベースのシステムを安定して使い続けていられるかどうか微妙な線なのである。2002年前半中には2000 Serverのサポート縮小スケジュールも明らかになる見込みだ。次期システム構築にあたってはソリューションの寿命を見越した計画が一層重要になるだろう。

(斉藤 国博=kuni@nikkeibp.co.jp)