●2003年春に発売が予定されているサーバーOS「Windows .NET Server 2003」で実現する新機能を,日本語製品候補版(RC1)を使っていち早く紹介している。
●第4回ではストレージ関連の機能強化を取り上げる。新機能のボリューム・シャドウ・コピー・サービスは,管理者にサーバー・アプリケーションのデータに対するオンライン・バックアップを,エンドユーザーには共有フォルダで削除したファイルの復元を可能にする。
●新機能の仮想ディスク・サービスは,ハードディスクだけでなく,これまでメーカーごとにばらばらだったSANやハードウエアRAIDを含めた,すべてのディスク装置を同じ管理ツールやAPIで扱えるようにする。

表1●Windows .NET Srever 2003で追加/拡張されたストレージ管理機能の例
 Windows .NET Server 2003のストレージ管理では,Windows 2000 Serverに比べ,表1[拡大表示]に示したようないくつかの強化を実施している。

 この中で,最も多くのユーザーに便利なのがボリューム・シャドウ・コピー・サービス(VSS:Volume Shadow copy Service)であろう。VSSを使うと,ディスクの内容を瞬間的にコピーできるため,これまでは難しかった稼働中のアプリケーションで利用しているデータのバックアップや,削除した共有フォルダ内のファイルのエンドユーザーによる復活が可能になる。

ディスク上のデータに対して瞬間的に疑似コピーを作成

図1●ボリューム・シャドウ・コピー・サービスの仕組み
ファイルの削除や変更があった場合に,元のファイルを消去せずに,新たな領域に保存する。これは,あらかじめ確保しておいたキャッシュ容量まで対応できる。

 VSSは,一部のNAS(Network Attached Storage)などが備えている,ディスク情報のコピーを瞬間的に作成する,いわゆる「スナップショット」と呼ばれる機能である(図1[拡大表示])。スナップショットを作成することで,アプリケーションの利用状況とは関係なくバックアップなどの作業が自由に実行できるようになる。

 このコピーは疑似的に作成され,実際のディスク上ではそれまでと同じデータ領域を使い続けている。スナップショットとして扱っているファイルなどに対して削除や変更の要求があった場合には,新しいデータ領域に書き込んで管理領域についてのみ整合性を保つよう修正する。修正前のデータ領域についても破棄せずに保管しておくことで,管理領域がスナップショットとして扱っている内容には影響がない。

利用中のデータについてもバックアップが可能に

 このVSSがユーザーに与えるメリットは大きい。まず,それまで標準では不可能だったサーバー・アプリケーションを運用しながらのバックアップが容易になる。

 従来は,バックアップ中にファイルが更新されるとデータの不整合が生じたり,そもそも作業中のファイルに対してはバックアップ作業ができないことが多かった。このため,夜間や休日など運用を止められる時間を利用するか,サーバー・アプリが備える独自のAPIを使ったサード・パーティのバックアップ製品を導入する必要があった。

 しかし,.NET ServerではVSSで作成したスナップショットを一般のファイルと同様にバックアップすればよく,アプリケーションの運用を続けながらでもバックアップが可能になる。ただし,スナップショットを作成するには短い時間だが作業を中断する必要があるため,アプリケーション側でその運用に対応しておく必要がある。

 もちろん,バックアップ・ソフト側もVSS向けの修正が必要となる。.NET Serverに標準で付属する「NTBackup」は出荷時点で対応済みで,米VERITAS Softwareや米Computer Associatesといった主要なサード・パーティの製品も対応を進めており,.NET Serverの出荷後比較的速やかに使えるようになる見込み。

(茂木 龍太=mogi@nikkeibp.co.jp)