サブネット・マスクにより
IPアドレスは主にネットワークの規模に応じて,クラスA,クラスB,クラスCの3つに分類される(図6)。まずクラスによって,IPアドレスのネットワーク部とホスト部がどの部分に当たるかが決められている。 クラスAは,最初の1ビットが「0」で,2ビット目から8ビット目までをネットワーク部,残り24ビットをホスト部として使用している。10進数で表すと「0.0.0.0」~「127.0.0.0」までがクラスAのネットワーク・アドレスである。1つのネットワークの中で割り当てられるホスト・アドレスは,1677万7214個になる。クラスAは非常な大規模なネットワークである。 クラスBは,最初の2ビットが「10」で,3ビット目から16ビット目までをネットワーク部,残り16ビットをホスト部として使用する。これを10進数に直すと「128.0.0.0」~「191.255.0.0」までがネットワーク・アドレスになる。1つのネットワーク当たりのホスト・アドレスは,6万5534個になる。 クラスCは,最初の3ビットが「110」,4ビット目から24ビット目までがネットワーク部,残り8ビットがホスト部になる。10進数に直すと,「192.0.0.0」~「223.255.255.0」までがネットワーク・アドレスで,1つのネットワーク・アドレス当たりのホスト・アドレスは254個になる。 このようにクラスの種類によってネットワーク部とホスト部が基本的に決まるが,より明確にどこまでがネットワーク部分であるかを示すためにサブネット・マスクという設定がある。サブネット・マスクの表記方法は,IPアドレスと同じで,32ビットのビット列を8ビットずつ「.」で分けて10進数で表現する。
IPアドレスとサブネット・マスクの2進数のAND演算の結果がネットワーク・アドレスになる(図7)。クラスAのIPアドレスは8ビット目までがネットワーク部分として使われるので,サブネット・マスクは「255.0.0.0」である。クラスBのIPアドレスは16ビット目までがネットワーク部なので,サブネット・マスクは「255.255.0.0」になる。さらにクラスCのIPアドレスは24ビット目までがネットワーク部なので,サブネット・マスクは「255.255.255.0」になる。 ただし,100人~1000人ぐらいの企業にとって,1つのネットワークで1677万7214個(クラスA)や6万5534個(クラスB)のホストを利用するケースはほとんどない。しかも,1つのネットワークにたくさんのコンピュータを接続すると,ネットワークが混んでしまう。つまり,クラスAやクラスBをそのまま使うのは非常に無駄だ。そこで現在はクラスに縛られずにサブネット・マスクを利用するようになった。つまり,ネットワーク部とホスト部の切れ目は今ではクラスではなく,サブネット・マスクが決めているといえるだろう。 デフォルト・ゲートウエイはルーターのIP
別々のネットワークに属するPC同士で通信を行うときにはルーターがデータを転送してくれる(図8)。ルーターが郵便で言う集配センターの役割を果たすといえばイメージしやすいだろう。また,ルーターはネットワークの情報をルーター同士が交換することで,目的のネットワークに接続するための経路情報を作成して保持している。 逆にいえば各ホストは同じネットワークに属するホストに対してしか直接接続できないため,別のネットワーク上にあるホストへ接続するときには,最初にどのルーターに接続するかを指定しないといけない。TCP/IPネットワークでは,各ホストにおいて,自分のネットワーク以外の接続先が指定されたときにデータを転送する既定(標準)のルーターを登録できる。これを既定(デフォルト)のルーター(ゲートウエイ)という意味で「デフォルト・ゲートウエイ」と呼ぶ。 冒頭で紹介したトラブルが生じたネットワークでは,別フロアにある目的のサーバーが接続元のPCと異なるネットワークに所属していた。にもかかわらず,PCのTCP/IP設定でデフォルト・ゲートウエイが正常に登録されていなかったため,データ転送がうまくいかなかったのである。 IPアドレスにも2種類ある これらのアドレスについては,インターネット側でルーティングしないことになっているが,現在はプライベート・アドレスをインターネット上のアドレスに変換して通信できる仕組みがあるため,インターネット上のコンピュータと通信することも可能である。 |
Windowsネットワークに強くなる(第1回) 別フロアのサーバーへアクセスできないのは? p2
まずはTCP/IPの設定を確認
デフォルト・ゲートウエイの入力ミスを疑え
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