Windowsネットワークに強くなる(第1回) 続き

サブネット・マスクにより
ネットワーク・アドレスなどが決まる

 IPアドレスはネットワーク・アドレス(ネットワーク部)とホスト・アドレス(ホスト部)によって構成されることを解説したが,どのようなルールでネットワーク部とホスト部が分かるのだろうか。



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図6●ネットワーク・アドレスとホスト・アドレスのビット数はクラスによって異なる

 IPアドレスは主にネットワークの規模に応じて,クラスA,クラスB,クラスCの3つに分類される(図6)。まずクラスによって,IPアドレスのネットワーク部とホスト部がどの部分に当たるかが決められている。

 クラスAは,最初の1ビットが「0」で,2ビット目から8ビット目までをネットワーク部,残り24ビットをホスト部として使用している。10進数で表すと「0.0.0.0」~「127.0.0.0」までがクラスAのネットワーク・アドレスである。1つのネットワークの中で割り当てられるホスト・アドレスは,1677万7214個になる。クラスAは非常な大規模なネットワークである。

 クラスBは,最初の2ビットが「10」で,3ビット目から16ビット目までをネットワーク部,残り16ビットをホスト部として使用する。これを10進数に直すと「128.0.0.0」~「191.255.0.0」までがネットワーク・アドレスになる。1つのネットワーク当たりのホスト・アドレスは,6万5534個になる。

 クラスCは,最初の3ビットが「110」,4ビット目から24ビット目までがネットワーク部,残り8ビットがホスト部になる。10進数に直すと,「192.0.0.0」~「223.255.255.0」までがネットワーク・アドレスで,1つのネットワーク・アドレス当たりのホスト・アドレスは254個になる。

 このようにクラスの種類によってネットワーク部とホスト部が基本的に決まるが,より明確にどこまでがネットワーク部分であるかを示すためにサブネット・マスクという設定がある。サブネット・マスクの表記方法は,IPアドレスと同じで,32ビットのビット列を8ビットずつ「.」で分けて10進数で表現する。



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図7●ホスト・アドレスとネットワーク・アドレスの計算法

 IPアドレスとサブネット・マスクの2進数のAND演算の結果がネットワーク・アドレスになる(図7)。クラスAのIPアドレスは8ビット目までがネットワーク部分として使われるので,サブネット・マスクは「255.0.0.0」である。クラスBのIPアドレスは16ビット目までがネットワーク部なので,サブネット・マスクは「255.255.0.0」になる。さらにクラスCのIPアドレスは24ビット目までがネットワーク部なので,サブネット・マスクは「255.255.255.0」になる。

 ただし,100人~1000人ぐらいの企業にとって,1つのネットワークで1677万7214個(クラスA)や6万5534個(クラスB)のホストを利用するケースはほとんどない。しかも,1つのネットワークにたくさんのコンピュータを接続すると,ネットワークが混んでしまう。つまり,クラスAやクラスBをそのまま使うのは非常に無駄だ。そこで現在はクラスに縛られずにサブネット・マスクを利用するようになった。つまり,ネットワーク部とホスト部の切れ目は今ではクラスではなく,サブネット・マスクが決めているといえるだろう。

デフォルト・ゲートウエイはルーターのIP
 異なるネットワーク・セグメントは,ルーターあるいはゲートウエイと呼ばれる機器で接続することで相互に通信できるようになる。現在はほとんどルーターという機器で接続されている。



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図8●デフォルト・ゲートウエイはルーターのIPアドレス

 別々のネットワークに属するPC同士で通信を行うときにはルーターがデータを転送してくれる(図8)。ルーターが郵便で言う集配センターの役割を果たすといえばイメージしやすいだろう。また,ルーターはネットワークの情報をルーター同士が交換することで,目的のネットワークに接続するための経路情報を作成して保持している。

 逆にいえば各ホストは同じネットワークに属するホストに対してしか直接接続できないため,別のネットワーク上にあるホストへ接続するときには,最初にどのルーターに接続するかを指定しないといけない。TCP/IPネットワークでは,各ホストにおいて,自分のネットワーク以外の接続先が指定されたときにデータを転送する既定(標準)のルーターを登録できる。これを既定(デフォルト)のルーター(ゲートウエイ)という意味で「デフォルト・ゲートウエイ」と呼ぶ。

 冒頭で紹介したトラブルが生じたネットワークでは,別フロアにある目的のサーバーが接続元のPCと異なるネットワークに所属していた。にもかかわらず,PCのTCP/IP設定でデフォルト・ゲートウエイが正常に登録されていなかったため,データ転送がうまくいかなかったのである。

IPアドレスにも2種類ある
 最後に,IPアドレスにはインターネット用と社内用があることを説明しよう。IPアドレスは32ビットの数値であるため,最大でも42億9496万7296個で全世界に展開されるすべてのホストを登録すると,いずれ足りなくなると言われている。このため,企業などの組織内部で展開するネットワークでは予約されたIPアドレスを利用することで,インターネット上で利用可能なアドレスの利用を最小限にとどめるようにした。組織内部で利用するIPアドレスを「プライベート・アドレス」あるいは「ローカル・アドレス」と呼ぶ。インターネットの各種プロトコルに関する標準化仕様を策定する団体IETFが発行するRFC(Request For Comments)というドキュメントにて,プライベート・アドレスの範囲が規定されている。クラスAは「10.0.0.0」~「10.255.255.255」,クラスBは「172.16.0.0」~「172.31.255.255」,クラスCは「192.168.0.0」~「192.168.255.255」である。

 これらのアドレスについては,インターネット側でルーティングしないことになっているが,現在はプライベート・アドレスをインターネット上のアドレスに変換して通信できる仕組みがあるため,インターネット上のコンピュータと通信することも可能である。