Build 4051を検証する
Longhorn Build 4051は,Longhorn SDK(ソフトウエア開発キット),.NETベースのWinFS API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース),Avalonグラフィック・エンジン,Indigo Webサービス・フレームワーク,WinFSストレージ・エンジンなどといったLonghornで提供される機能を,独自に調査したいと考える開発者のためのものなのだ。 私はLonghornのテスト用マシンのすべてに,Visual Studio「Whidbey」のベータ版と,Longhorn SDKをインストールし,かなり掘り下げた調査をしてきた。何かをレポートできるまでにまだしばらくかかると思うが,調査を続けていくつもりだ。こんな目的でコーディングするのは,かなり久しぶりだ。
大抵の人にとって,プログラミングはあまり楽しいものではないと思う。しかし,以前のアルファ版とLonghorn 4051がいかに違うのかということに,興味を持っている人のために,そういった情報もここで公開していくことにする。Longhornはまだアルファ・リリースの初期段階にある未完成品にすぎない。向こう2年の間に,とりわけエンドユーザーが直接インタラクトする部分などは,大幅に変更されるはずだ。どのグラフィックスがよくて,どれが悪いかといったことに,一喜一憂しないでもらいたい。どれも最終版ではないのだから。
セットアップに1時間はかかる
デュアル・ブートの重要なステップであるインストール場所の変更を選択した場合( 図3),いくつかの新しいオプションが表示される。Windowsセットアップはパーティションの作成や削除に加え,パーティションの拡張もできるという粋な追加がなされている。その後,セットアップ・プログラムは情報を集めたり,セットアップに必要なファイルをコピーしたりし(図4),さらにハードウエアの検出にとんでもなく長い時間を使う(セットアップは作業が10分ほどで完了するというのだが,とてつもなく控えめな申告だ)。次にシステムの再起動が行われ,Longhornの起動画面(図5)と対面する運びとなる。
再起動では,ユーザーに有用なフィードバックが全くない,奇妙でナンセンスな技術注記の一覧に出迎えられる(「Waiting for Profiles...」「Waiting for DIMS...」「Waiting for GPClient...」などだ)。次にLonghornのデスクトップ( 図6)が表示され,またしても,いつ終わるのかと思うほどの待ち時間の後,タスクバーとSidebarが現れる(図7)。 だがこれで終わりではない。Longhorn Build 4051にはハードウエアの検出に関する重大な問題が存在している。そのため,使用するマシンによっては,さらに20~60分を,運がよければハードウエアの設定もしてくれるという自動ハードウエア検出に費やさなければならない。運が悪ければ,Longhornがほとんどのハードウエアを検出できず,ユーザー自らXPのドライバをインストールする羽目になる。
新しいウェルカム・スクリーン 新しいLonghornの壁紙(図9)と,デスクトップとタスクバーおよびSidebarに関しての変更はほとんどない。実際のところ,いくつか逆行したものがある。Sidebarがexplorer.exeでとてつもなくメモリーを消費しているため,Sidebarのタイルを作っているのでなければ,オフにしておいたほうがいい。Sidebarを無効にすることで失うものはあまりないといっていい。追加できるタイルは少ないし,実際に利用できる中で問題なく動くものはさらに少数だからだ。
面白いことに,このビルドで利用可能なタイルの数は以前に比べて少なくなっている。4051で新しくなったものといえば,「時計」(私は前のものに比べかなりよくなったと思う),「Classic Tray」(XPのトレイ・ノーティフィケーション・エリアの改良版だ),「Quick Launch」,写真のスライド・ショーを表示する「Slide Show」,まだ動作しないのだが元のSynchronize tileの更新版となる「Sync」である。 実際に動作するSidebarは,MSN Dashboard(図10)という形で現在MSN 8.xに実装されてて,Sidebarの背後にある意義は理解できるし,評価もできる。もちろんこの機能を使うには有料MSNメンバーでなければならないのだが,とにかくここでのSidebarはちゃんと機能するし,かなり具合もいい。今のLonghornに付いてきたSidebarが,ちゃんと動かないだけだ。
以前のビルドと同様に4051には,奇妙なスタート・メニューとタスクバーおよびSidebarのカスタマイズ・オプションがある。作りをしっかりと仕上げられない限り,一般ユーザーは混乱してしまうと思う。今のところ,「Taskbar and Start Menu Properties」(図11)から基本的なカスタマイズ機能にアクセスでき,Sidebarを自動的に隠すオプションを選択できる。新しく追加された[Positions]タブ(図12)を使って,様々なSidebarとタスクバーの位置やサイズにアクセスできるのだが,タスクバー・サイズ・オプションは動作しない。そのため,Sidebarをオフにした場合には,XPスタイルのタスクバーを使う羽目になってしまう。
デスクトップ上では,ロー・レベルでのファイル・システムの変更点にキラリと光るものがある。イメージやビデオといったマルチメディア・ファイルとフォルダは,小さなサムネイルとして表示されるので,Windows XPのノーマル・フォルダ・ビュー(デスクトップ上では無理だったが)のようにファイルを開かずにプレビューや中身の確認ができるようになっている(図13)。今はアイコンを[詳細]などに変更することはできないし,そういったことが可能になるようにも思えないのだが,デスクトップがちょっとした特殊なフォルダみたいなものであって,通常のフォルダのようにいろいろと融通の利くものだったら便利だろうと思う。
スタート・メニューを調べると未完成の新メニューがある [Documents]…システム内の全ドキュメントのライブラリもしくは特殊なシェル・ビュー。
[Computer]…Windows XPでは[マイコンピュータ]。 [Network Places]…Windows XPの[マイネットワークプレース]。デフォルトではオフ。 [Control Panel]…Windows XPと同じ。 [Connect To]…Windows XPと同じ。 [Hardware and Devices]…Windows XPと同じだが,ハードウエアとデバイスのコントロール・パネルはLonghornでは大々的に変更されている。 [Help and Support]…Windows XPと同じだが,このビルドのヘルプ・システムでは,Microsoftのヘルプ・システムに似たものになるように大幅に洗練された。私にとってこれは進歩といえるのだが,4051には現時点で機能が導入されていないため,まだ何ともいえない。 [Search]…WinFSベースのサーチ・ツールを起動する。[My ~]や[Contacts],電子メール,Help & Tasks(これの意味するものが何であれ),それにインターネットをサーチできる。今は動かない。
[Run command]…Windows XPと同じ。 [Set Program Access and Defaults]…Windows XPと同じ。このオプションはデフォルトでオフ。 [System Administrative Tools]…Windows XPと同じ。このオプションはデフォルトでオフ。 未完成であることは明白なので断言できないが,私が思うに[Photos]や[Videos]のような新しいライブラリが,そのうちに[My Pictures]といった古い特殊フォルダに取って代わることだろう。
Contactsのライブラリが機能した
機能しないのは,ドキュメント・フィルタリングだ。このビルドでは[マイドキュメント]に追加したドキュメントは,デフォルトでDocuments libraryに自動では追加されないことになっている。その代わりに,ユーザーが手動でDocumentsにドラッグする必要がある。以後のビルドではこれも機能するようになるはずである。都合がよいようだがLonghornの新しい目玉機能の1つであるWinFSベースのデータ・マイニングとフィルタリング能力については,それが機能するビルドが出るまで触れないでおくことにする。 まだまだある新機能
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Longhorn Build 4051のレビュー(パート1) p3
インストール体験とメニューの印象
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