マシン・グループを作成して特定マシンだけ管理する 実際の運用に当たっては,「マシン・グループ」を作成することをお勧めする。マシン・グループとは管理されるマシンをグループ化する機能である。マシン・グループに対するスキャンでは定時スキャンをはじめ,スキャン・ユーザーの指定も行える。Active Directoryの組織単位(OU)などもここで登録するとよいだろう。 マシン・グループを作成するには,「HFNetChkPro4ホームページ」(管理コンソール)の左側の[新しいマシングループ]をクリックする。 すると,図21のような[新しいマシングループの作成]画面が開くので,マシン・グループの名称などを入力して,[保存]ボタンをクリックする。空のマシン・グループが作成されたら,そこにマシンを追加する(図22)。[ネットワークの参照]をクリックすることで,あとは直感的な操作で追加が可能である。
マシン・グループの定時スキャン設定 スケジュールはWindowsの「タスク」として実行される。スケジュールが作成できたら,HFNetChkPro4は終了しても構わない。作成されたタスクを修正することで,スケジュールを変更することもできる。[スキャン実行]画面のスケジュール部分の表記は少し分かりづらいので,作成されたタスクで確認することをお勧めする。
管理者権限ユーザーのパスワードについて
マシン・グループに画面を切り替えて,右側のマシン名リストにある“鍵のマーク”をクリックすると,[セキュリティ属性の設定]画面が開く(図24)。ここで,「\\(管理されるマシン名)\(管理者ユーザー名)」の形式でユーザー名を入力し,パスワードを入力すればよい。
この設定はマイドメインのスキャンには使用されない。マイドメインのスキャンにおいて,Administratorのパスワードが統一できないマシンに対しても,スキャンを有効にするには次のようにするといいだろう。まず,管理コンソールと管理対象マシンの双方で,新しく管理者権限ユーザーを作成し,パスワードを共通にしておく。次にこのユーザー名で管理コンソールにログオンし,スキャンを行うように設定する。新しいユーザーでログオンして,HFNetChkPro4を起動すると,セットアップ・ウィザードが起動するので,ここでパスワードを指定する(図25)。
マイドメインの定時スキャン
マシン・グループの定時スキャンを作成すると,「HFNetChkPro4ホームページ」の左ペインの[お気に入り]にその設定が保管される。この設定を編集することで,マイドメインの定時スキャンが実現できる。まず,作成した[お気に入り]を選択し,[編集]をクリックする(図26)。 すると[お気に入り]画面が開くので,スキャン対象をマイドメインに変更すればよい(図27)。
仮想マシン・ソフトを使ったOSも管理できる 筆者は,Virtual PC 2004を使い,ゲストOSがスキャン対象となり得るかを試してみた。スキャンもパッチ適用も問題なく行われた。そのため,事前評価用にVirtual PCを使用できる。これはテストを十分に行いたいユーザーにとって朗報であろう。
HFNetChkPro4の利点は導入が簡単で使いやすいこと 一方,スキャンを行うという性格上,管理対象マシンがスキャン時に稼働状態でなければならない。また標準設定では,再起動を伴う。そのため,事前にエンドユーザーに対して,パソコンの電源が入っていて,Windowsが起動していること,そして再起動によって,アプリケーションなどで作業途中の場合は,中断される可能性があることを周知徹底しておく必要があるだろう。
使用方法の提案 各マシンの電源が入っていて,稼働率が低いと思われる昼休みに定時スキャンを行い,午後1時ごろにパッチの不足状況を調査する。不足しているパッチの緊急度が高い場合は,各マシンに電子メールや社内の電子掲示板などで告知をする。そのとき,パッチ適用後は再起動することを理解させる(同報メッセージ機能は,HFNetChkPro4に含まれていない)。 不足しているパッチの緊急度が低いと判断した場合,パッチ適用は夜間にスケジューリングして,エンドユーザーには,電源をオンにした状態で帰宅してもらう。筆者の環境では,管理対象マシンをログオフ状態で放置した場合,パッチ適用は成功したが,再起動が行われなかった。これは,Shavlikによると,「サービス・パックを当てていないWindows XP」と「Service Pack 1が適用されているWindows XP」にだけ起こる不具合である。従って,これらはログオフはせずに,アプリケーションだけを終了した状態にして放置しておくことをお勧めする。 このほか,緊急度の高いパッチがリリースされたときは,就業時間でも手動スキャンを行い,上記のような対応を検討する。 この使用法なら,管理クライアントはサーバーでなくてもシステム管理者が常に使用しているクライアント・マシンでも問題ない。むしろ,サーバーの負荷を増やさないという意味からクライアント・マシンのほうがお薦めである。
おわりに HFNetChkPro4は多機能で,パッチ適用は様々な方法で行える。まだ,紹介しきれていない適用方法がある。このツールに興味を持った方は,評価版をダウンロードして実際に触ってみてほしい。 筆者が試した範囲で,ドキュメントやソフトの表記の不具合と思われる点は見受けられた。ただし,これらは販売元のネットワールドも把握しているので,改善が期待される。 |
パッチ管理ツール「HFNetChkPro4」レビュー(第4回=最終回)
導入が手軽,管理しやすいプッシュ型
(山田健一)
あなたにお薦め
注目のイベント
日経クロステック Special
What's New
総合
- 4K大型提示装置が拓く新たな学びの世界
- DXを加速させるクラウド型コールセンター
- ものづくりと経営をデータでつなぐ試みとは
- 企業をまたいでERPを連携? 何が起こる
- 全方位DXを推進する意義。カバー範囲は
- DXを内製で実現する「3ステップ」
- 平等より特別の方がビジネスに有利な理由は
- 「データのサイロ化」の原因とその解決法
- 中小企業がDXで効果を上げるには?
- 深い業務理解で顧客を支援≫キヤノンMJ
- ソフトバンクの本気のクラウド事業のすごさ
- 5Gは産業界に大きなインパクトをもたらす
- セブン銀行のATM事業を支えるIT環境
- シチズン時計:クラウド・運用委託でDXへ
- 製造業DXを成功に導くための3つの勘所
- 世界に羽ばたく地域発スタートアップを支援
- 個性派の次代の主役たちがピッチに登場
- クラウド化を見据えたオンプレミスのあり方
- サポート業務にもBCP対策を!
- クラウドを軸に描くハイブリッドIT
- 変革を遂げる日本の製造業、次なる一手
- モバイルセキュリティの最前線は何処に?
- 富士通と日本IBMがローカル5Gで協業
- PPAP禁止!安全なファイル送信手段とは
- Kubernetes管理を圧倒的に簡便化
- コロナ禍のデジタル活用=DXではない理由
- IT企業が満足度1位に選んだクラウドとは
- 必須になるNW増強≫いま選ぶべき製品は?
- 経営層に求められるDXの船“進水”のコツ
- DX時代はヒト、「データ」、モノ、カネ?
- 少量の学習データでもAI活用が可能に!?
- 今後の開発は世界の優秀なギグの活用が必須
- つなぐポイントシステムが地域を盛り上げる
- 時代が変化、今こそ積極的適応が試される
- 有望なBtoBスタートアップが集結!
- 2021年は「MESH」が花開く時
- IT人財の真価を発揮する人を軸とした戦略
- バッテリ性能を高めるアクティブ・バランス
- 導入事例/AMDサーバー向けプロセッサー
- DX先進企業は何を考えているか?
- 府中に開設された大規模データセンターとは
- 製造業DXの効果的なセキュリティ対策とは
- 顧客の再来店と常連化を実現した施策を探る
- コロナ禍を勝ち抜くITインフラとは
- マルチクラウドを安全に使う≫最新CSPM
- 組織を守る「アイデンティティ管理」の極意
- サイバーエージェントを支えるITインフラ
- IBM、ビジネスパートナー14社を表彰
- 第3世代EPYC搭載サーバー利用メリット
- サイバー攻撃事例とFIDO2認証の重要性