(Mark Smith)

 ネットワークに関するユーザー会の「San Francisco Networking Technologies Users Group(SFNTUG)」は毎月,Windows Server関連のハードウエア/ソフトウエアの導入と設定に関して,メンバーの勉強のため,トップクラスの専門家を呼んで「実演会(loadfest)」を催している。このような催し物は,最先端の技術を習得できるので,参加者が数多い。10月に開催された7日間のトレーニング・セッションでは,8ノードのWindows Server 2003クラスタを構成する作業と,35台のWindowsサーバーをiSCSI(Internet SCSI)のSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)に接続する作業を実施した。

iSCSI SANをみんなで構築
 「われわれは既成のコンポーネントを使った安価なSANソリューションを必要としており,iSCSIをテーマに採用した」とSFNTUG代表のDoug Spindler氏はいう。参加したメンバーは自分のサーバーを持ってきた。このサーバーには,2枚のNIC(ネットワーク・インターフェース・カード)とWindows 2003,Enterprise Editionがインストールされていた。1枚のNICは,イーサネットにつながれ,もう1枚のNICは,米StoneFly Networksが提供したiSCSI対応のストレージ集線装置(iSCSIゲートウエイ)につながれ,設定された。

 今回の実演会では,米Microsoftが無償で提供しているデバイス・ドライバである「Microsoft iSCSI Software Initiator Version 1.01」が使われた。

 このドライバの動作方法はこうだ。まず,最初にiSCSI Software Initiatorはファイル・システムのコマンドをトラップして,それをTCP/IPパケット内のiSCSIコマンドにカプセル化する。InitiatorはこのパケットをNIC経由でネットワークの向こう側にリダイレクトする。StoneFlyのiSCSIゲートウエイは,そのTCP/IPパケットを受け取り,カプセル化されているiSCSIコマンドを読み取って,そのデータ・パケットをiSCSIゲートウエイに接続されているSCSIディスク装置に送る。

 iSCSIゲートウエイを使う前に,まずStoneFly Networksの管理用ユーザー・インターフェースを使って設定しておかなくてはならない。基本的な考え方は,接続されたサーバー群にSCSIディスク装置を割り当てることである。「われわれは,30分もしないうちに接続された35台のすべてのサーバーに,ディスク装置を割り当てた。StoneFlyのツールはとても分かりやすい」とSpindler氏はいう。StoneFlyのiSCSIゲートウエイの設定が終われば,データを受け取る準備はもうできている。

クラスタリングも構築して実用度を試す
 StoneFlyは,ディスク・アレイのあらゆるRAIDレベルをサポートするので,非常に冗長性の高いディスク装置を作れる。さらに,35台のサーバーそれぞれにWindows Server 2003, Enterprise Editionがインストールされているので,SFNTUGのメンバーは標準のクラスタ機能を使って,8ノードのクラスタを構築できた。

 「われわれは自分たちのクラスタを準備してから,1台ずつサーバーをネットワークから外していき,クラスタの残りのサーバーが負荷を受けられるかどうかを見た。各サーバーはWindows Media Playerを起動して,MP3のプレイ・リストを演奏していた。データが引き継がれなければ,再生が途中で止まってはっきり分かる。クラスタのデモでよく使う例だ。サーバーを外すたびに,同一グループ内のフェイル・オーバー・サーバーがその負荷を引き受けて,適切な曲を演奏し始めた」とSpindler氏はいう。

企業は早期導入の段階に入った
 Spindler氏によると,最高の性能を達成することが実演会の目的ではなかったという。この訓練の大きな目的は,SFNTUGメンバーにWindowsのクラスタ技術とiSCSIによるSAN技術に慣れ親しんでもらうことにあった。iSCSIの性能を向上させるためには,iSCSIゲートウエイがTOE(TCP/IPオフロード・エンジン)を搭載していることを確認する必要がある。さらにiSCSIによるSANは,ネットワーク全体を通るデータ・トラフィックのバランスを取るために,複数のNICを必要とする。

 ユーザー会がiSCSI技術を学習しているということは,企業が技術認知の段階から,早期導入の段階へ移っていることを示している。この段階は,iSCSIが主流になるか,ニッチになるかを決定する重要なテスト段階なのである。