(Elliot King)

 市場調査会社の米IDCが発表した最新のストレージ関連製品市場シェア調査の数字は,市場が依然低調で,主要ベンダー間の激しい競合が続いていることを示している(関連記事)。IDCは,2003年第3四半期には世界のディスク・ストレージ・システムの製造段階での売上高は48億ドルに達したが,2002年同期比では0.3%減少したと報告した。

ディスク容量の増加が鈍い
 業績が低迷している理由は明らかだ。2003年第3四半期に出荷したストレージ容量は197ペタ・バイトと,前年同期比36%増の鈍い増加ペースのままで,ストレージのMバイト単価が下がり続けているからだ。しかし,これはMckinsey & Companyのようなアナリストが2001年当時予測していた年間の(総合)成長率である76%のほぼ半分でしかない。ディスク容量の増加が予測より鈍い一方,出荷時のMバイト単価は,IDCによれば過去2四半期にわたり平均30%の幅の下落にとどまっている。

(訳注:日本国内に関しては,IDC Japanの11月発表によれば,2003年のストレージ・システム市場の規模は4704億円と前年比8.8%減。同社によれば,マクロ経済の回復に伴い2004年以降はIT投資が増加し,2003年から2007年にかけて平均0.7%で成長すると予測している。)

 全体像としては低調なままだが,最大手のストレージ・ベンダーたちは彼らの得意とする分野で明るい見通しを立てている。

ベンダー各社はそれぞれに躍進を強調
 米Network Appliance(NetApp)は,生産高ベースで37%のシェア,出荷された全テラ・バイト数の42.8%のシェアを持ち,NAS(ネットワーク・アタッチト・ストレージ)装置の分野でリーダーの地位を守った。NetAppはiSCSI(インターネットSCSI)対応のストレージ・システムの出荷でも頂点に立ったと主張した。NetAppのiSCSI装置は,その分野の全売上高の49.5%に当たり,出荷された全テラ・バイト数の63.6%を占めた。

 米EMCの主張によれば,外部RAIDシステムでは全売上高の21.4%(2002年の第3四半期は全収益の18.8%)を同社が獲得し,米IBMと米Hewlett-Packardを抜いてトップ・プロバイダになったという。外部RAIDシステムには,サーバー内に組み込まれないコントローラ付きのディスク・ストレージ・システムすべてを含む。EMCは,外部RAIDシステムの売上高が年20.5%と飛躍的に伸びているという。ストレージ市場全体が年5.8%しか成長していないのに比べると驚異的な伸びだ。つまり,NetAppがNAS製品で頂点に立ったと主張したのに対し,EMCはNAS製品とオープンなSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)製品を合わせると同社がトップであり,それらの市場の全売上高の28.9%を同社が生み出した(前年は27.8%)という。

 IBMは,2002年4月の日立との大規模な提携に続き,過去1年にわたりストレージ事業を再編成した。同社は,ディスク・ストレージ市場でEMCに対しさらに差を広げたと主張している。IBMは,その市場で今や全売上高の21.1%のシェアを握っており,EMCの12.9%のシェアに比べて高いという。

 HPは,売り上げが2.4%下落したが,IDCによると市場全体ではリーダーだったと報告している。HPは2003年第3四半期,オープンなSAN製品の分野では,売上高で31.2%のシェアを占めてトップだったという。オープンなSAN市場は急速に成長しており,HPは5期四半期連続でトップになった。IBMや米Dellとの連携でSANユニットの出荷を増やしたのである。さらにHPは,NAS市場でシェアを増やした2社のうちの1社であり,その売上高がこの1年で28%伸びた。2002年第3四半期も22%伸びていた。

ストレージ市場の調査結果が示す3つの基調
 これらすべての主張やその反論は,ディスク・ストレージ市場での3つの基調を裏打ちするものだ。

 第1に,各社はもはや特定のニッチな市場での繁栄にあぐらをかいていられない。主要なメーカーは,ストレージの全領域で互いに競合する。例えば,NetAppはiSCSIを追い風にSAN市場に参入しており,EMCはDellとの連携を通じて新しい市場に手を伸ばしている。実際にDellは主にEMC向けのOEMのおかげで第4位に上った。そして主要ベンダーすべてが自社の製品系列を広げ続けている。

 第2に,サーバー・ベンダーが市場で重要な役割を演じ続けている。上位4社つまりDell,HP,IBM,Sun Microsystemsは強いOEMの関係をフルに活用して,全ストレージ市場の48%を握った。同時に,SANやNAS製品はDAS(ダイレクト・アタッチト・ストレージ)を食って急速に成長している。DASのシェアは全外部ディスク・ストレージ市場で2003年に41%と,2002年の46%に比べて減少している。NASは現在,市場の54%を占める。ネットワーク・ベースのストレージへのシフトが今後数年の市場全体の力学を変える可能性がある。

 最後に,主要な会社は市場の中で最も動きの大きな分野を独占し続ける。EMCとHPとIBMは,ネットワーク・ストレージ市場全般で自社のシェアを拡大した。そしてNetAppとEMCは,NASの分野ですさまじい戦いを今後も続ける。

 経済が回復すれば,ストレージ分野の長期低迷は必ず終わるはずだ。しかし,次の成長の波は,容量を追加するだけではない。競争はさらにストレージ・ネットワークの効果的な統合と管理を巡って起きるだろう。