(Elliot King)

 Gartnerが最近公表したレポートによると,ストレージ産業は全般には強い調子で2003年を終えた。ストレージ・システムの売上高は,2003年第4四半期に引き続き18%跳ね上がった。一方ディスク・ドライブ市場は2003年に6%増大した。IDCの「Worldwide Disk Storage Systems Quarterly Tracker」によると,メーカーの利益は2003年の第4四半期に37億ドルと,年率換算で8.4%成長した。業界のアナリストは華々しい成長とまではいわず,復調の見込みと報じている。

スーパー・テープ・ドライブが好調
 データ・ストレージ産業専門の分析機関であるFreeman Reportsの調査データによると,テープ・ドライブ市場のある特定の分野が明らかにホットになっている。実際に米QuantumのSuper DLT(SDLT)のテープ・ドライブの売上高は,年率で36%増と跳ね上がっており,スーパー・テープ・ドライブ分野全体の成長率は35%を超えた,とFreeman ReportsのBob Abraham社長はいう。

 Abraham氏は,テープ市場を容量/速度/形状/用途によっていくつかの区分に分けている。最上位から最下位までの分類は,(1)メインフレーム向けのテープ・ドライブ,(2)ミッドレンジの分散型システムとローエンドの企業向けシステムに使われているスーパー・ドライブ,(3)より小規模なネットワーク用のミッドレンジのテープ・ドライブ,(4)デスクトップとエントリ・レベル・サーバー向けのテープ・ドライブ――である。

 Abraham氏の事前の予測によれば,メインフレーム・エリア向けのテープ・ドライブ市場は好調を維持してきたが,その市場はほとんど競合するものがなく,IBMのEnterprise Tape System 3590ドライブの独壇場である。デスクトップとエントリ・レベル・サーバー向けのテープ・ドライブは,企業がネットワーク・レベルでのバックアップにますます移行し,個人ユーザーもバックアップ用に光メディアを使うようになったことで続落する。CD-RWドライブは今や大抵のパソコンで標準的な装備だ。

先行したLTO,後を追うSDLT
 結果としてスーパー・ドライブの区分は,テープ・ドライブ全体の中で最も活力のある競争が激しい分野になることが明らかだ。この市場の活力は,部分的には3つの競合する技術の間の激しい競争で火が着いた。つまり,SDLTと,IBMとHPが主導するコンソーシアムが普及を狙うフォーマットであるLinear Tape-Open(LTO)と,ソニーが担ぐスーパー・ドライブ用フォーマットであるSuper AIT(SAIT)である。Abraham氏が話してくれたところでは,LTOは市場に登場した最初のスーパー・ドライブ用フォーマットで,すでにQuantumが開拓していた大きな市場に進出した。一方のQuantumは,LTOの出荷開始の約6カ月後にSDLTを登場させ,精力的に対応した。SAITはこの市場では一番の後発である。

 Abraham氏によると全体的には,LTOがSDLTのほぼ2倍の市場シェアを握っている。SAITの販売は,最初に出荷された年に急速に伸びたが,まだ市場全体では小さなシェアを持っているに過ぎない。そして,スーパー・ドライブの分野の6社の主要プレーヤのうち,Quantumが市場リーダーの地位を保っている。

スーパー・テープ・ドライブ3つの潮流
 スーパー・ドライブ分野の競合は,3つの大きな流れで形作られている。第1に,企業が自社の稼働中のテープ・ドライブ技術を置き換えることはめったにない。「彼らは技術を置き換えるよりそのまま使うほうがましなのだ。廃棄や置き換えは非常に少ない」とAbraham氏は書いている。企業がよりたくさんの容量のテープを必要とすれば,普通は既存の技術を使ったものをアップグレードする。従って,主要ベンダー間の競争は,普通は新しい用途を巡って起きる。

 第2に,テープの役割は劇的に変化している。バックアップと復旧用のメディアとしてのテープは,多くの人々が嫌がってもそれ無くして生きられなかった技術だった。バックアップの失敗や回復時間がすさまじく長かったという恐ろしい話はこれまでもたくさんあった。

 しかし,だんだん多くの企業がバックアップと回復用としてディスク・ベースの媒体に眼を向けつつある。そうはいっても企業の現状としては,テープがメインの記録保存技術として使われており,保存する必要があるデータの量は急速に増えつつある。ディスク・ベースのソリューションは,バックアップと特にリストアについては,ほかのものより適している。それに対してテープは,記録保存に関して費用対効果が非常に高い。さらに,中間のディスク層を加えれば,テープ・ドライブに対するより安定したデータ・ストリーム転送を実現できるし,性能も改善する。

 第3に,テープはストレージ・インフラの中での新しい役割を見い出して,テープ・ドライブはよりインテリジェントな振る舞いができるようになっている。管理しやすくなったことで企業の引き合いも多いという。

 今後もテープは,ネットワーク・ベースのコンピュータ・インフラにおいて,将来も重要な役目を果たし続けるだろう。他のIT技術とは異なり,企業はみずからが採用しているテープ技術に忠実である。しかし,より新しい技術は,性能向上と使いやすさを加速しながら,活発な競争を引き起こしているのだ。