(Elliot King)

 米国アリゾナ州フェニックスで4月に「Storage Networking World Conference」が開催された。このコンファレンスで,ストレージ業界団体のSNIA(Storage Networking Industry Association)は,「SMI-S(Storage Management Initiative Specification)」というストレージ管理の標準規格に関するテストに,14のベンダーの100以上の製品が合格したと発表した。

 Brocade Communications SystemsやEMC,Hitachi Data Systems,Hewlett-Packard,IBMなどストレージ・ベンダー大手はすべて,SMI-S対応の認定を受けた製品がある。同時に「SMI-S 1.0.2」は,INCITS(InterNational Committee for Information Technology Standards)の優先協議プロセスに入っており,早ければ今夏にANSI(米国規格協会)標準になるはずである。このようにSMI-Sの最近の成果はめざましい。

ストレージ・ネットワークのマルチベンダ管理を簡素化
 SMI-Sは異なるベンダーの製品が混在するような,ストレージ・ネットワークの管理を簡素化することを目指している。潜在的には1カ所から全ネットワークを集中管理できるようになる。SNIAは2002年からSMI-Sの策定を始めていた。

 この標準規格の目的は広範囲で,相互運用性のあるストレージ管理の技術を開発・標準化することにある。これにより,開発者はもっと簡単に異なるベンダーの製品をサポートできるようになる。さらにストレージ装置に共通の管理インターフェースが備われば,ストレージ・ネットワークのマルチベンダ環境の管理が劇的に簡素化する。SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)にSMI-S対応の製品を導入すると,その存在と機能が他の装置に通知され,その製品は自分の資源を(他の装置から)適切に共有できるようになる。

標準管理インターフェースWBEMに基づいている
 SMI-Sには普及の可能性を感じさせる点がいくつかある。第1に,それはWBEM(Web-Based Enterprise Management)という標準管理インターフェースに基づいていることだ。WBEMを策定したのは,企業情報システムの管理に関して評価を得ているDMTF(Distributed Management Task Force)という標準化団体だ。WBEMは,管理データを記録するためにCIM(Common Information Model)というモデルを採用する。つまり,SMI-Sは原理的に,基盤がしっかりしており,応用がきく技術であるといえる。

 第2に,この標準はベンダーとユーザーの両方に利益をもたらす。ベンダーは,他社製品が自社製品にアクセスするときのインターフェースを,開発する時間と金に投資しなくても済む。共通化された標準インターフェースを使うことで,各ベンダーはユーザーにとって本当に価値のある特徴と機能の追加に全力を注げる。より優れた,より革新的な製品を素早く市場に投入できる上に,ベンダーはより広い市場に参入できるようになる。SMI-Sに対応した製品は,すべてほかの対応製品とともに動作可能だからだ。

用途に応じて最良のソリューションを使える
 ユーザーの利点も明らかだ。SMI-Sは多くの異なるベンダーのSANを同時に管理する複雑さを劇的に減らすに違いない。最近の企業は複数のOSを使い,しかも各OS上で異なるアプリケーションを走らせる。そのため,大抵の企業には複数のベンダーのストレージ・ネットワークがあり,それを整理・統合したいはずだ。相互運用性に関する不満は,ベンダーが自社のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の仕様を他社に開示しないことが原因である。

 一方,Yankee Groupのシニア・アナリストであるJamie Gruener氏が,最近Web放送で指摘したように,異なるベンダーの製品が混在するSANの管理は,あまりうまくいかない。ユーザーは困った挙句に,複数ベンダー製品の相互運用を以前ほど求めなくなった。しかし,SMI-Sは複数のベンダーによるSAN管理の複雑さを減らす上に,各製品が実際に相互運用可能になることを,ユーザーに確信させる。

 標準インターフェースがユーザーにもたらす利益はほかにもある。会社は単一のベンダーに縛られることなく,用途に応じて最良のソリューションを使ったり,新しい技術をもっと簡単に導入したりできるようになる。最終的には,ネットワーク管理が効率化され,ダウンタイムが減るだろう。

移行で必要になることは
完全には明らかになっていない

 数々の問題があるにもかかわらず,企業がいまだにストレージ・ネットワーク管理の統合に非常に興味を持っているのは驚くことではない。Yankee Groupが実施したストレージの導入決定者の意識調査によれば,2003年は37%の人が集中化されたストレージ管理ソリューションを導入または計画していたという。それ以外にも,ストレージ管理の統合に高い優先順位を与えていると回答した人が35%いた。

 しかし,これらSMI-Sを後押しする背景にもかかわらず,この標準がうまく機能するかどうかには疑問が残る。

 何人かのオブザーバは,各ベンダーがSMI-Sを重点的には採用しないと思っている。さらに,企業がレガシー・システムからSMI-S対応システムへ移行するために,必要なことは完全には明らかになっていない。互換性保証の基礎になるAPI仕様の開示方法も,将来はSMI-Sに追加される予定だが,現時点では不明確だ。このようにSMI-Sという標準は,普及に向けスタート・ラインを越えたところにいるが,ゴールに達する道のりはまだ長いのである。