(David Chernicoff)

 2つの興味深い企業買収が2004年7月にあり,ストレージ業界が進んでいる方向性が浮かび上がった。いずれの買収もかなり違った種類の製品を作る企業同士のものだったにもかかわらずである。

AdaptecがSnap Applianceを買収
ボード・ビジネスのみからの脱却を図る

 最初の買収は7月13日に発表されたもので,米Adaptecが米Snap Applianceへの買収を開始するという内容である(7月26日に買収が完了)。AdaptecはSCSIなどのホスト・バス・アダプタ(HBA)などボード・レベルのコンポーネント・ビジネスで知られるが,最近はそれとは別の市場でシエアを獲得することに非常に熱心である。HBAなどのコンポーネント市場は停滞しており,ストレージ機器市場のように成長していない。AdaptecはミッドレンジのSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)市場に,iSCSI(Internet SCSI)やファイバ・チャネル経由で接続するシリアルATA(SATA)のストレージ・アレイで進出しようと躍起になっている。Snap Applianceの買収は,中小規模システム向けのNAS(ネットワーク・アタッチト・ストレージ)市場へのAdaptecの進出を後押しする。

 Snap Applianceの製品は,システム・リソースを水道・電気・ガスなどのユーティリティ(公共事業)のように,自在に利用可能にする「ユーティリティ・コンピューティング」を実現するという。それを使うと,管理者はネットワークへストレージをプラグ&プレイで追加でき,SAN製品が必要とする独特の技術を利用しなくて済むようになる。今回の買収によってAdaptecは,著名なNASストレージ・ベンダー,例えば米EMCや米Network Applianceなどと対抗可能になる上,NAS市場におけるSnap Applianceの高い知名度を得られる。

 Adaptecのよく知られている技術力にSnap Applianceのブランド力が加われば,ストレージ製品のユーザーが良いイメージで持つのは間違いない。OEM(相手先ブランドによる供給)ベンダーとAdaptecの強力な関係も,Snap Applianceの製品群に新しい道を開くはずだ。OEMベンダーはSnap Applianceのストレージ技術に自身のブランドを付けたがるはずだ。それはOMEベンダーのユーザーが欲しがるものだからだ。さらに今回の買収によって,Adaptecは,HBAのコンポーネントからSANハードウエアまでを共通に管理するソフトウエア・ツールを提供する会社になる。こうしたエンド・ツー・エンドのストレージ・ソリューションを提供する会社はほんの数社しかなく,Adaptecはその1社になる。

VERITASがInvioを買収
一貫したストレージ管理を強化

 2番目の買収は7月14日に発表された。VERITAS SoftwareがITプロセス・オートメーション・ソフトウエアを作成しているInvio Softwareを買収したというものだ。Invioは既にVERITASのユーティリティ・ストレージへの進出の中核を担う会社になっており,VERITAS CommandCentral Service 4.0というツールにプロセス・オートメーション・エンジンを提供していた。VERITASはユーティリティ・コンピューティングのカギはソフトウエアにあると信じている。つまり,ユーザーがストレージ機器を1つのインターフェースで管理・準備・制御できるようにして,より効率的に作業可能にするのである。

 Invioの技術を使えば,VERITASのソフトウエアは,従来何時間もかかっていた作業をシンプルなポイント&クリック型インターフェースで実行できるようになる。ストレージ管理者はストレージ機器を選び,CommandCentral Serviceに組み込まれたInvioのプロセス・オートメーション技術で指示を与えればよい。後は,それが導入や準備の過程で一番時間がかかる部分,例えばストレージの構成,権限やアクセス権の割り当てなどをやってくれる。

 大きな違いはあるにせよ2つの買収は,IT部門が大量のストレージを利用可能にする技術をこの業界が重要視していることを鮮明にする動きだ。ユーティリティ・コンピューティングはまだ本当に成功したと言えるほど人々の心をつかんでいない。ユーティリティ・ストレージという考え方も関心がある人がほとんどいないし,関心があったとしても批判的な人ばかりだ。しかし,ユーティリティ・ストレージを企業ユーザー向けに現実感のあるものにしようという追い風はストレージ製品業界のあらゆるところから吹いてきている。