(David Chernicoff)

 これまでストレージの世界では,「信頼性がある」「安価な」「高性能な」といった要素は互いに相容れないものだった。あるストレージ関連製品を安価だといえる場合,高い信頼性を持たないか,または特に高速ではないと考えて差し支えない。高い信頼性と高速な性能を求める顧客は,SCSIに向かう必要があり,そしてSCSI対応のデバイスはこれまで安いことがなかった。

 先進的なハードウエアの開発者はATA RAID(独立ディスク冗長アレイ)コントローラときょう体を開発することで,この状態を救うことを試みた。しかし,ATA(IDE)技術の限界とは,性能の向上に比べて値段が高かったことだ。

 IT予算が厳しい状況で,特に中小企業ではSCSI機器のコストが大問題だった。彼らは,サーバーで使うSCSI機器には,合理的な理由を付けられたが,ワークステーションとデスクトップのユーザーは,SCSIディスクのコストを正当化するために,クリティカルでディスクの性能に依存するアプリケーションを稼働させておく必要があった。各アプリケーションが,たくさんのオンライン状態のストレージを必要とする場合には特にそうだった。SCSIディスクの容量が,それより安価なATAディスクの容量よりも小さかったので,ますますSCSIディスクを使いづらくしていた。

 ワークステーションや小さなサーバーを持つ人々にとって,「シリアルATA(SATA)」がディスクの性能対コストの問題への解答になりつつある。SATAは最大1mまで延長できる7芯のケーブルを使う。対するパラレルATAは最大40cmの40芯のケーブルを使う。150Mビット/秒の性能と,300Gバイト程度の大容量のディスクを入手できる。そして,極端な低コスト化(ギガバイト当たり約1ドル)を実現し,数多くのストレージの要求を満たしている。

 安価なSATA RAIDアダプタ製品を見てみよう。それらはRAID管理の負荷をオンカード・プロセッサに任せるうえに,300ドルをちょっと超えるくらいで買える。以前は実現できなかった高性能,高可用性,安価なディスク・サブシステムを構築できる。そして各ベンダーはこうした安価なコントローラ・カードに山ほど機能を追加している。

 米Broadcomは,オンボードRAIDとホットスワップ機能を400ドル以下で提供している(該当サイト)。オンボードRAID機能がないSATAカードは,100ドル以下の価値だけといえる。

 米Maxtorは最近,初めて300Gバイトの容量を持つSATAドライブを発表した。7200回転/分の「DiamondMax 10」ファミリのメンバーとして新しいドライブは16Mバイトのバッファとネイティブ・コマンド・キューイング機能をサポートしている。こうしたドライブ数台とBroadcomのコントローラ(8ポートまで接続できる)を組み合わせると,テラバイト級の容量を備え,高速でホットスワップ可能な比較的安価なRAID5ストレージを簡単に手に入れられる。それはワークステーションのアプリケーションや,ディスク性能に依存するアプリケーションを稼働している小規模からミッドレンジのサーバー向けの要件を満たすものだ。ただし,コストの比較では,似たようなSCSIシステムと同程度になる。

 そしてSATAの衝撃はこれに留まらない。ハイエンドのSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)やNAS(ネットワーク接続ストレージ)のベンダーたちは,各市場のエントリからミッドレンジ・レベルにおいて,価格競争する製品としてSATAドライブを提供している。

 8月初め,米Hewlett-Packard(HP)はSCSIとSATAディスクのどちらかをサポートする最初のストレージ・アレイを発表した。実際に米国シカゴで8月16~20日に開催された「HP World 2004」の大きな呼び物は「the Serial Storage Experience」だった。このイベントでは各ベンダーが自社のSATA製品をもっとずっと高価な「シリアル・アタッチトSCSI(SAS)」技術を使う製品と並べて展示したのである。

 シリアル・ストレージ技術は将来のストレージ技術になるように思える。SATAが小規模からミッドレンジの顧客の要求に合っている。また,SASがハイエンドの要求に対応している。両方ともIT管理者,特にストレージ担当の人々は今後熟知しておくべき技術である。

 HP Worldの記録はWebサイトで公開されている(該当サイト)。そのダウンロード可能なプレゼンテーションは,かなり有用な情報を提供する。ストレージ・トラックのプレゼンテーションは,SANのコスト適正化からマルチベンダーのスイッチ接続ファブリックの構築までカバーするトピックがあってとても面白い。