(Elliot King)

 11月上旬,3回目にして最後の「シリアルSCSI(SAS)プラグフェスト(相互接続検証実験)」がニュー・ハンプシャー大学で開催された。これで,「SASプロトコル」対応製品の市場への登場が,さらに近づいたことが明らかになった。実際,米LSI Logicの産業マーケティング担当ディレクタで,SCSI Trade Association(STA)会長であるHenry Mason氏は,「SAS製品が2004年内に間接販売ルートで流通し始め,2005年第1四半期には大手のOEMベンダーからも出荷されるだろう」と予想した。

 Mason氏の予測が正しいならば,最近のILM(情報ライフサイクル管理)にぴったり当てはまる選択肢が提供されることになり,3年間の努力が実を結ぶことになる。さらに,それと同様に重要なことがある。SASの標準化プロセスは,将来の標準化作業に1つのモデルを提供するだろうということだ。

シリアルATA(SATA)プロトコルの拡張として開発
 SCSIプロトコルは長期にわたり確固かつ支配的だった。しかし,STAの標準化グループは,次の進化がSASであると考え,それを企業のデータ・センターが要求する高い性能を満たすように設計した。

 SASの一番際立った特徴は,それが「シリアルATA(SATA)プロトコル」の拡張だということだ。このため,高性能なストレージ・デバイスと,低価格なATAハードディスク(IDEハードディスク)の次世代機の両方が,同じプロトコルを使えるようになる。過去何年もの間,ATAハードディスクは人気を博しており,ディスク・パックアップのようなニアラインという用途向けで特に成長した。米Maxtorのインターフェース設計担当者で,STAの副会長でもあるMarty Czekalski氏は,SASを利用すれば,管理者は高性能なストレージ技術を使った製品と,それより低い性能の製品の両方を同じツールとプロトコル・スタックで管理できるようになるという。

 この機能は最近急速に発展しているILMにほぼ適合している。ILMでは,ストレージ管理者が,価値の重要性に応じて,技術的に異なる層にデータを配置する。SASがあれば,管理者はハードウエアの投資を効率的に行える。例えば,複数種類の装置を混在させて接続し,ハードウエアの数を減らせるだろう。その結果としてCzekalski氏はサポート・コストが下がるに違いない,という。

標準化のプロセスは模範的に進められた
 SASというプロトコルの登場は非常に重要だが,それと同じくらいその標準化のプロセスが成功したことが重要だ。

 SASの開発作業は3年前に始まった。そしてプロトコルを搭載した製品は,早まることはないものの,ほぼスケジュール通りに登場するだろう。時刻表は非常にきちんと守られており,プラン全体が軌道に乗り続けている。Mason氏によると成功の要因はいくつかあるという。多分最も重要なことは標準化団体の目標が非常にはっきりしていたことだ。

 第1に,シリアルATA用に決まっていたロードマップに,SASの作業を合わせることが決められた。これによりSAS策定グループは,シリアルATAから技術を借用して互換性を確保した。

 第2に,同グループには事前に決められた強い目的があった。SCSIベースの古いソフトウエア資産を引き続き利用できることが必須とされていたのだ。

 第3に,同グループは,OEMベンダーから強く支持されていた。ベンダー各社が新製品の投入を望み,支持したことが,合理的な期間内に仕様を決めるための刺激になったのである。安易に新しい仕様を作り出さず,借りられる技術は,ファイバ・チャネルとシリアルATAなどから借りた。

 最後に,異なるクラスのドライブにわたって,共通に使えるプラットフォームとインフラへの要望が,業界に共感を呼んだ。これまでは,いろいろなストレージ製品が異なる技術を採用していたため,サポート・コストが急速に負担になっていた。

プラグフェストを開発プロセスに組み込み成功
 しかし,明快な目的と広範な業界からの支持は,成功した条件の一部に過ぎない。SASプロトコルの支持者の多くは,以前にも標準化作業を経験したことがある。彼らがやった大きな変更の1つは,複数のプラグフェストの採用にあった。

 あらゆる標準化作業において,プラグフェストは,開発が完全なのに製品がうまく動作しない原因を見極める重要な役割を果たす。今回の標準化作業では,複数のプラグフェストが開発プロセスの一部として,開発作業に組み込まれた。問題点は開発の最終段階ではなく,もっと早い時期に分かっていたのである。

 直近のプラグフェストには,21社が参加し,自社の装置と他社の装置との相互運用性をテストした。結果は非公開だが,リーダーのMason氏やCzekalski氏が,予定を変更しなければならないと思うようなことは何もなかった。2人は,製品が出荷されれば,採用が予想以上に早いと考えている。その一方で,彼らは次のように注意を促している。この技術を買う人々は,それが予想した通りに動き,自分たちのニーズを満たすかどうかを,よく見守らなければならない――と。

 結局のところ,SASを採用した製品の登場は,ストレージ産業の中で大きなトピックになるだろう。その技術は現在ストレージが向かっている方向に適している。また,将来も再び繰り返せる成功した標準化プロセスを反映しているからだ。