(Elliot King)

 ストレージ業界の革新は止まりそうにない。新しい標準技術や新しい管理手法が次々と生まれている。例えば,2004年10月末には業界団体SNIA(Storage Networking Industry Association)とINCITS(InterNational Committee for Information Technology Standards)が,「SMI-S(Storage Management Initiative Specification)」というストレージ管理インターフェースの仕様を新たなINCITS標準として承認したと発表した。同じころ「SAS(シリアル接続ストレージ)」の仕様が最終案に近づき,それに準拠した製品が遅くとも2005年の第1四半期に登場する予想される。

 このほか,新しいハードウエア製品がストレージ・インフラのあらゆるレベルで投入されている。それは,ハイエンドの企業向けストレージからUSBフラッシュ・メモリーに至るまで幅広い。そして,Microsoftの存在感が大きくなったことが事態を面白くしている。それにも増して大きいのは,「情報ライフサイクル管理(ILM)」という概念だ。説得力が出てきた新しい重要な概念で,急速に注目を集めている。

見かけ倒しを本物と区別することは,しばしば困難
 そんな変革の中にいて,ストレージ管理者は,今後数年間にわたり,自分たちの業務にとって,何が看板倒れで,何が本当に影響を与えるものかを判断しなければならない。見かけ倒しを本物と区別することは,しばしば困難である。ベンダーは新製品の投入によって市場を作ろうとしている。また,ベンチャー・キャピタリストは新技術が期待通りの成果を上げると期待している。そして,市場調査担当者は,市場の未来を決定したがる。

 もちろん,予測には,前向きな考え方が必要である。ここでは,米ニューヨーク市に本拠を置く独立系の市場調査会社TheInfoProが出した最近の企業ユーザー動向調査と,同社が2003年に発表した同様の調査と比べてみよう。ストレージ管理者の状況をうまく考察し,近い将来どの技術が重要になるかを考えるヒントを与えてくれる。

SRM(ストレージ資源管理)が勢いを持ち始めた
 まず,直近の調査を見よう。これは,SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)を導入している主要大手企業250社にいる管理者を対象に実施されており,SRM(ストレージ資源管理)がとうとう勢いを持ち始めたことを示している。回答者の約51%は既にSRM技術を導入しており,2003年の34%から非常に増加した。

 さらにSRMはTheInfoProが示す「Technology Heat Index」という表のトップになった。これは管理者が一定期間内に購入する計画を立てている技術のランキングである。SRMはそこで100点(「非常に重要」)という評価になっている。それに続くのは,ディスク・ツー・ディスク型バックアップとストレージ容量予測でともに90点だ。

 SRMの利用は明らかに増えているが,ちょっと補足しよう。TheInfoProの2003年の調査では回答者の22%が来年以降SRMを実装する計画だった。つまり実際の数字は予測を少し下回ったのだ。

管理ツールの改良に対する要望は減少
 続けよう。実は2003年の調査では,ストレージ・ベンダーが今後1年に提供する新しい機能やサービスなどの中で最も重視する2項目の1つとして「管理ツールの改良」を挙げた回答者が54%いた。実際,管理ツールの改良は2003年の要望リストのトップになった。この結果はほかの調査とも矛盾がない。2003年の調査では,「管理の改善に対する必要性」が,今後1年間でストレージに関する出費を増やす「問題点」の上位2項目のうちの1つだった。これが,2004年の調査では減少している。要望リストのトップとして「管理ツールの改良」を挙げた回答者は22%である。今や「コスト削減と値下げ」が一番望む改善点だ。

製品購入を左右する「問題点」は相互運用性
 2つの調査を比較すると,ほかにも興味深い変化が明らかになる。2003年には回答者の35%が,相互運用性の改良をベンダーに期待したいもののトップに挙げた。この数字は2004年には21%に減り,全体では2位から3位に落ちた。それにもかかわらず,製品購入を左右する「問題点」として相互運用性を挙げた回答者の数が2003年の9%から2004年は21%に増えている。

 最後に新しい標準技術の潜在的な影響力に関して面白いデータがあったので紹介しよう。2003年の調査では回答者の89%が,「ストレージ管理の標準」が重要または非常に重要だと感じていた。これが2004年には激減した。ストレージ管理の要望の上位2項目のうちの1つが「標準技術のサポート」だと感じる回答者はわずか7%である。

 結局,何が本物で,何が看板倒れの技術なのだろうか。ストレージ管理者はストレージ資源管理の問題には体系立ったやり方で対処している。しかし,SRMの採用はすんなりと進んでおらず,むしろ進んでは止まっているようだ。相互運用性の確保と標準技術のサポートはともに管理者の悩みだ。しかも,それらの影響は,時がたつにつれて強くなるだろう。つまり,技術革新の波にも関わらず,ストレージ分野の変化は,今後数年間にわたり,劇的というよりは段階的なものになる。