PR
(Elliot King)

 米Datacoreは2004年11月,接続にiSCSI(Internet SCSI)という標準技術を使ったSPC(Storage Performance Council) SP-1ベンチマークの初めての詳細なテスト結果を発表した(該当サイト)。

 同社は創業7年目のストレージ・ソフトウエア会社で,ストレージ制御・管理・集中化を専門とする。同社はファイバ・チャネルと比較した結果を示しており,iSCSIはファイバ・チャネルのほぼ半分の価格で,ほぼ半分の性能を出したという。これにより同社は,iSCSIのコスト・パフォーマンスは「有名ブランドの」ファイバ・チャネルの多くに匹敵すると主張した。

 この発表はストレージ管理者の興味を引いた。一番大事な点は,この発表がストレージ関係者に,ベンチマークへの関心を高めたということだ。ベンチマークがさらに広く使われてもっと理解されるようになれば,より小規模な企業がストレージ業界に参入しやすくなる。

SPC SP-1ベンチマークは唯一で客観的なテスト
 業界はSPC SP-1ベンチマークを,企業向けのストレージ・サブシステムに対する唯一で客観的なテストだと見ている。このテストは4年の開発期間を経て,2001年12月のComputer Measurement Groupで発表され,2002年に利用できるようになった。

 今ではストレージ・ベンダーや付加価値再販業者(VAR)やユーザーのIT管理者が,ストレージ・サブシステムの性能を測定し,比較するための,標準的で独立した方法だとの評価を得ている。標準的な測定方法に対するニーズは,ストレージ・ネットワークが普及するにつれて高まっていた。ストレージ・ネットワークは多数の異なるコンポーネントで構成されており,1つのコンポーネントの性能を積み上げるだけでは,システム全体の性能を予測できないからだ。

 このSPCのテストは,データベース・システムの性能を測るTPC(Transaction Processing Performance Council)ベンチマークをモデルにして作られており,2つの基礎的な数値が結果として出される。1つ目は1秒当たりの入出力処理量で,負荷をかけたときにストレージ・インフラが処理できる最大量を示す。2つ目は最小応答時間である。これはI/Oリクエストを出す複数の処理(例えばバックアップとリストアの操作や,大きなデータベースの再構築など)を完了するために必要な時間だ。

 TPCベンチマークの場合と同様に,このテストの値はシステムの規模とコストで比較できる。これにより企業ユーザーはストレージ・インフラを同じ土俵で評価可能になる。

SPCベンチマーク・テストの定着は長く困難な道のり
 SPCベンチマーク・テストの定着は,長く困難な道のりだったが,ようやく普及したところだ。2003年の1年間に16のテストが評価のために提出された。ストレージ・ベンダー各社がベンチマーク・テストを実施し,そのテスト結果をSPCが公開前に監査する仕組みだ。既にストレージ業界の大手である富士通,Hewlett-Packard,IBM,StorageTek,Sun Microsystemsは2004年にSPC-1ベンチマークの結果を公表した。例外は,業界最大手のEMCで,まだこのベンチマークの結果を発表していない。

 Datacoreの技術担当役員兼会長のZiya Aral氏によれば,ストレージ・ベンチマークはこれまでいくつかの試練に直面したという。まず標準テストは軽率には行えなかった。さらに,ストレージが独立してテストされるべきインフラと考えられるようになったのは,つい最近だと主張する。つまり,かなりハイエンドな企業を除けば,ストレージ・ベンチマークの知識はストレージ専門家の間でもそう広くは浸透していなかった。

 今日,ストレージ・インフラはIT環境の中でますます重要な部分を占めるようになっている。そして,コンピュータの処理能力が18カ月ごとにほぼ倍増するのに対し,ストレージの性能向上ペースはそれほど速くない。従って,ストレージ・インフラはシステムのボトルネックになる可能性があると,Aral氏はいう。

小規模企業の革新的な技術が,信頼された方法で評価できる
 DatacoreのAral氏は,前述したベンチマーク・テストによってiSCSI技術を採用したSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)製品のコスト・パフォーマンスは,十分競争力があることが示されたと主張する。同氏はこのテストが,ありふれたコンポーネントで作ったネットワークで実施されたと強調する。このベンチマーク・テストを使えば,大規模ベンダーが独占している領域においても,小規模企業が作った革新的な技術が,信頼された方法で評価できるようになるという。

 ベンチマークはもちろん万能薬ではない。ご存じのようにTPCベンチマーク・テストの環境を一般企業が使うことはまずない。データベースの世界ではベンチマークは評価プロセスの第1段階に過ぎず,それで終わりではない。そしてSPCがSPC-2の作業にかかっている間にTPCは異なるアプリケーション環境に対応する多様な複数のベンチマークを開発してきた。だからストレージでやるべきことはまだある。

 しかし,業界が認めたベンチマークを使うことは大きな前進である。新しいストレージ技術が認められるには,正当に性能を評価するための方法があることが非常に重要である。