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(David Chernicoff)

 2005年1月に開催された「2005 International Consumer Electronics Show(CES)」において米M-Systemsと米SanDiskは,USBフラッシュ・メモリー・ドライブ向けの新規格「U3」プラットフォームを発表した。U3はハードウエアとソフトウエアの仕様であり,フラッシュ・メモリー・ドライブを単なる記憶装置以上のものに発展させるために,使用法を標準化する目的で開発された。

アプリの配布媒体に期待
 USBフラッシュ・メモリー・ドライブの売れ行きは日々伸びている。複数の予測が,2005年に7000万個は販売されるとしている。U3の背景にある考えは,標準化されたUSBアプリケーション・プラットフォームとAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)セットを提供するというものだ。U3には標準で「Launch Pad desktop UI」を含む。このユーザー・インターフェースは,エンドユーザーがフラッシュ・メモリー・ドライブ上にデータやアプリケーションを保管,起動,管理,閲覧できるようにするものだ。U3にはAPIセットも含む。これは開発者がU3の携帯性とセキュリティ上の特徴を生かしたアプリケーションを作成するために使用する。

 U3が提供する一番のメリットは,「機動性のある」アプリケーションのための標準技術になっていることである。各ベンダーと企業内の開発者は,USBフラッシュ・メモリー・ドライブから直接起動・稼働するアプリケーションを作成できる。理論的には,1人のユーザーの全作業環境を1つのフラッシュ・メモリー・ドライブ上に置ける。ユーザーがそのフラッシュ・メモリー・ドライブをPCに接続すると,そのコンピュータは通常の作業環境にアクセスできるようにするはずだ。

 もっと小さな尺度で見ると,U3対応のフラッシュ・メモリー・ドライブはアプリケーション配布用の標準プラットフォームになり得る。U3のAPIセットは,開発者がアプリケーションを安全に配布するための奇抜な仕組みを提供するだろう。そうした機能によって彼ら自身の仕事を守ることができ,彼らが配布するアプリケーションはウイルスに侵されず,かつエンドユーザーにきちんとライセンスされたものになる。

提供されるのはUI,API,文書,Webサイト
 現在のU3が提供するのは,(1)USBフラッシュ・メモリー・ドライブ上に記録されたアプリケーションにアクセスするためのユーザー・インターフェース「U3 Launch Pad」,(2)APIセットと文書の「U3 SDK」,(3)開発者たちが自分たちの認定済みアプリケーションを他の人が入手するためのWebサイト「U3 Web Portal」――の3つである。

様々なベンダーが支援を表明,2005年中ごろ製品が登場
 注目のベンダー・グループがU3標準をサポートするとCESで発表された。彼らの中には米Microsoftや米McAfee,米Zone Labs,米Check Point Software Technologies,米Mozilla Foundation,米MedicAlert Foundation――などが含まれている。U3対応のフラッシュ・メモリー・ドライブは,2005年中ごろに出荷が始まると予想される。

 U3は業務アプリケーションと標準的ビジネス・アプリケーションの双方に影響を与える可能性がある。この標準はまさに,既に自社内にUSBフラッシュ・メモリー・ドライブを使っている企業のIT快適度を上げるために必要なものかもしれない。U3標準では,デバイス内のデータのセキュリティとデバイスの管理機能も規定しているので,接続されたUSBフラッシュ・メモリー・ドライブを管理するツールもそのうち登場するだろう。

 USBフラッシュ・メモリー・ドライブの容量が増え続けるにつれて,どんなPCからでもユーザーが自分たちのアプリケーションを使えるようにするという以上に,ついにはユーザーが自分のまわりの全作業環境を持ち歩けるようになるということは,容易に想像できる。こうした可能性は,企業のデータに対するセキュリティ上の危険性をもたらす。一方,このリスクを逆にとらえれば,壊れたコンピュータを置き換えるときに,単純にUSBデバイスを新しいマシンにさし直すだけでよくなるともいえる。

 役に立つ安全なUSBフラッシュ・メモリー・ドライブからは,たくさんの恩恵を受けられる。しかし,業界はU3技術を企業向け市場に拡販する前に,そのセキュリティと管理に取り組み,明確に定義する必要があるだろう。