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(David Chernicoff)

 ストレージ市場でEMCが最大手であることに異議を唱えるものはいないだろう。広範囲な製品を提供し,メインフレームからPCまであらゆるベンダーと提携することで,同社は影響力のある製品をIT市場に提供するという素晴らしい仕事をしてきた。その道のりでほんの少し間違いも犯したが,ストレージ産業におけるトップの地位を何とか保ち続けている(一番目立ったのは,テープ・バックアップが死んだと宣言したことだ。昔からあるテープ・バックアップの開発会社ADICを買収したとき,同社はその意見を完全に翻した)。

 そうはいってもEMCの品ぞろえには,重大な欠陥がある。どの製品もストレージの仮想化をサポートしないのだ。同社は2004年半ばに,仮想化機能を内蔵したストレージ・ルーター製品を作ると発表した。しかし,この記事が書かれた2月の時点では,仮想化を含むエンドユーザー向けの製品をEMCは出していない。

ストレージ仮想化とは利用度を上げる最良の方策の1つ
 ストレージ仮想化とは,ストレージ管理者がネットワークで接続されたストレージをまとめて管理する技術である。ストレージ・プールを作ってそこから必要なストレージを割り当てたり,企業内のストレージ容量を1台の端末で把握したりできるようになる。ストレージ仮想化は管理テクニックの一種に過ぎないと思われるかもしれない。しかし,大企業が所有するネットワーク・ストレージへの巨大な投資に対して,その利用度を上げてROI(投資回収率)を改善する最良の方策の1つである。

 当然のことだがEMCの製品にストレージ仮想化がないことは,他の大手ストレージ・ベンダーにとって大きな恩恵である。IBMは既にIBM TotalStorage SAN File SystemとIBM TotalStorage SAN Volume Controllerというストレージ管理ソフトがEMC製ハードウエアをサポートすることで,この好機を最大限に利用している。このサポートによってIBMの顧客は,EMC製のストレージをIBMのハードウエア制御環境にシームレスに統合できるようになった。

日立やIBMのほうがサポートが進んでいる
 EMCの立場をさらに悪くするニュースもある。Hitachi Data Systemsは「Hitachi TagmaStore Universal Storage Platform」というストレージ管理ソフトの最新版で,「Symmetrix」と「Symmetrix DMX」シリーズの即時サポートと,「CLARiiON DX」製品の将来のサポートを発表した。日立のストレージ管理ソフトは非常に広範囲なサポートを実現する。なぜならすべての日立製品と前述したEMC製品に加えて,他の有名なストレージ製品,例えばIBMの「TotalStorage Enterprise Storage Server」やHewlett-Packardの「StorageWorks XP」ディスク・アレイやSun Microsystemsの「Sun StorEdge」システムなどをサポートするからだ。

 日立は今後もサポートするサード・パーティ製品を増やすつもりで,追加の発表を予定している。Sunの製品をサポートすることは驚くべきことではない。Sunは日立から「StoreEdge 9900」システムのOEM供給を受けている(日立では「HDS Lightning 9900」と呼ばれている)。従ってStoreEdge 9900はTagmaStoreの仮想化技術を利用できる。

 EMCはSunとIBMの顧客に非常に熱心に売り込みをかけている。そうした顧客は,サーバーのハードウエア・ベンダーが出しているストレージ製品にも気づいているだろう。こうした中でEMCは,顧客に情報ライフサイクル管理(ILM)機能を売り込んでいる。ILMは将来のストレージ・モデルのための業界全体が選択したものである。しかし,仮想化技術を持たないことによってEMCは次第にこれまでと違う立場に追い込まれつつある。つまり最先端の技術を率先する代わりに,その技術を採用した他社を後追いすることになるのだ。