PR
(David Chernicoff)

 今回のコラムは確かにストレージの話題だが,いつもとはちょっと毛色の変わった話だ。筆者は最近,ストレージに関する問題を経験したのだが,ユニークなソリューションでそれを解決した。この方法をぜひ,みなさんに知らせたいと思ったのだ。

 最近,私はNPOが実施している比較的大規模なコンピュータ関連プロジェクトにボランティアとして参加している。このプロジェクトの資料は12Gバイトもあり,それが30枚のCD-Rディスクに収められてオフィスに届いた。私はまず,これを処理するところから仕事を始める必要があった。

12Gバイトのデータの受け渡し方に困る
 このプロジェクトの自分の担当分をやり終えたときに,それを送る相手の人たちと話をした。すると,その人たちはDLTテープを使ったことがないという。つまり,データをこれ以上小さく分割することができないので,この12Gバイトのデータを送る方法を考えなければいけないのだ。私は最初,DVD-RWディスクにこのプロジェクトのデータをバックアップしようとした。私が使っているバックアップ用ソフトウエアと同じものを相手が持っていると思い込んでいたのだ。しかし,その人たちと長い時間電話した後,彼らにバックアップをうまく書き戻してもらう操作の説明を試みるのはあきらめた。

 その人たちはDVD-RWの代わりにCD-Rを使ってくれればうまくいくと言い張ったので,私は振り出しに戻って,そのプロジェクトをCD-Rメディアにバックアップした。これはその人たちにとってはDVD-RWを使ったバックアップよりもうまく動かないものだ。実際に,より悪い結果になった。リストア作業は成功したと言ってきたのだが,彼らはそのプロジェクトを正しく動かすことができなかった。最終版のプロジェクトを実行しようとすると,壊れたデータがあるというレポートが返ってきた。どちらのケースでも,私はそのディスクを送る前に手元で試したが,きちんとリストアできた。

 そこで私は,自分のFTPサイトにそのプロジェクトのデータをアップロードすることを検討した。しかし,帯域幅が384Kビット/秒の回線を使いそんな大量のデータを送るとか,アップロードが終わるまで何時間もインターネット接続を有効にしておくのは,いくらなんでもやりたいとは思わなかった。

 そのころ,私は自分が取り組んでいた最終的なデータが,私の外付けのハードディスク以外の,いつも使っているリムーバブル・メディアにはうまく収まらないことに気がついた。つまり私は自分では欲しくもないし,必要もないハードディスクをもう1台買わなければならないようだ。それは,たいした出費ではない。私は有名ブランドの60Gまたは80GバイトのUSB 2.0インターフェースの外付けドライブを100ドル以下で,簡単にオンラインで注文することができる。時間の制約があっても,近くのコンピュータ専門店で120ドルプラス税金で買うことができる。一方で,無用なドライブの購入を押しつけられたのも事実だった。現在,私が使用している外付けハードディスクは,全て200Gバイト以上の製品である。本音を言えば,自分のどのコンピュータにも小さな容量のUSBドライブを追加したいとは思わなかったのだ。

130ドルのMP3プレーヤを利用する
 あきらめて外付けドライブを買いに出かけようとしたとき,私はこの問題の解決策が自分の机の上にころがっているのに気がついた。それは,娘のために買っておいた小さなMP3プレーヤである。彼女はよく物を失くすので,300ドルの「iPod」や250ドルの「Dell DJ」を渡すのは気が進まなかった。しかし,米Entempo製の容量が20GバイトあるMP3プレーヤ「Spirit」が130ドルで出ているのを見たときに,これは調べてみる価値があると思った。Spritは競合製品より大きいが,非常に安いのである。私が一番いいと思ったのは,Windows XPがこのデバイスをリムーバル・ディスクとして認識し,ドライバ・ソフトをインストールする必要がないことだった。ハイエンドのミュージック・プレーヤでは,OSがそのデバイスを認識するために専用ドライバをインストールする必要がある。

 自分のマシンにこのSpritを接続して,くだんのプロジェクトをそれにコピーして,本体とUSBケーブルを一緒にエアー・キャップ(“プチプチ”とも呼ばれるこん包材)でくるみ,定額料金の宅配便のシールを張り付けて窓口に出してきた。ソフトやACアダプタを送る必要はなかった。なぜなら,ドライバ・ソフトは不要だし,内蔵バッテリだけでそのユニットは10時間ほど動くからだ。NPOは,プロジェクトのデータをそのままの形で入手して,サーバーへインストールした。私はそのMP3プレーヤを2日後に送り返してもらい,不要なハードウエアにお金を使わずに済んだ。ちなみに,この団体でやはりボランティアで仕事をしているIT担当者は,このソリューションの単純さを非常に喜んでいた。

 ハードディスク・ドライブ・ベンダーたちは,より効率的でサイズの小さな製品をリリースし続けているし,ポータブル・メディア・プレーヤの価格は毎日下がっている。これにより複数のメディアに混在した情報(データ・ファイル)を受け渡しするという,ニッチな市場が出現しているように思える。業務で使うデータベースやプレゼンテーション・ビデオ,大事なデータなどを営業部隊へ渡すのにこのような方法を使えば,コンテンツ制作担当者は自分たちが作っている配布物にもっと高い柔軟性を与えられるかもしれない。というのは,CD-ROMやDVDなどメディアの容量が,彼らが作成するコンテンツに対して制限を加えているからだ。メディア・プレーヤの潜在的な可能性は,その販売担当者や一般の人々が今想像している用途を遥かに超えているのだ。