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(Elliot King)

 米国の市場調査会社のIDCとGartner Dataquestが,2004年第4四半期の企業向けストレージ市場の調査結果を発表した。その指標は,長期的に成長する傾向があり,堅実なものだとはっきり示している。しかし,同時に採算が取れる経営が依然重要なことも示している。

ディスク・ストレージ市場の販売収入が伸び悩む
 Gartner Dataquestによると,2004年の外付けコントローラ・ベースのディスク・ストレージの販売収入は,わずか5.1%の成長だった。第4四半期に限るとさらに低く,同社によると2003年同期と比較して1.2%ほどの成長だったいう。同様に,IDCのレポートでは,この四半期はハードウエアの面では1%足らずの成長だという。ディスク・ストレージ市場全体,つまり内蔵型と外付け型のディスク・ストレージ・システム両方を含めると,2004年の成長はたった3.2%だったという。現実に内蔵型ストレージ市場の成長は,ユーザーが年末にサーバーの能力を増強した2004年第4四半期に見られただけである。

 ストレージ・ハードウエア・ベンダーたちの販売収入は,ごくわずかな成長かほぼ横ばいだったが,ストレージ容量に対する顧客の需要は増え続けている。IDCによれば,ペタバイト級の容量を持つストレージは,第4四半期で57.7%,年単位では63%も急増した。もちろんこれは,古くから続いている話である。ペタバイト当たりのコストが急激に低下したので,全販売収入の成長は,容量に対する需要が強くても地味なものになっている。メインフレーム・コンピュータの世界は,何年も同じような難題を抱えてきた。MIPS(ミリオン・インストラクション・パー・セコンド)当たりのコストが急に低下したときには,MIPSで測った処理能力への需要は急激に増大したものだ。

ネットワーク・ストレージは好調
 他にもストレージの容量単価が下がった原因の多くはよく知られている。第1に,ストレージ・ベンダーたちは小規模から中規模のビジネス市場を積極的に攻めており,自社製品の価格もその狙いに沿って付けている。業界を見ている人たちは,次のように言っている。実質的に大手ストレージ・ベンダーは,2004年中にすべて自社の製品系列を中小規模の領域に拡大した。しかも,以前はもっと高価な機器にしかなかった機能も一緒に提供することもあった。第2に,ユーザーはSATA(シリアルATA)ディスク・ドライブのような新しく高容量で低価格な技術を暖かく迎えている。

 より低価格で,日用品に近いソリューションへ移ろうとする動きは,ストレージ・ネットワーキングの分野で一番顕著に見られる。その世界では,2004年第4四半期にiSCSIやSAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)機器を提供する会社の販売収入は第3四半期に比べ32%も急増した。比較すると,ストレージ・ネットワーキング市場は前年比11.6%,NAS(ネットワーク接続ストレージ)は同14.7%増えた。

ストレージ・ベンダーの6社中4社が減収
 しかし,ハードウエアにおける長期的な傾向と自然な発展は2004年を説明するストーリの一部に過ぎない。ショッキングなことに,企業向けストレージの6大ベンダーのうち4社は減収を経験したのだ。米IBMの販売収入は8.7%も急減し,米Hewlett-Packard(HP)や米Hitachi Data Systems,米Sun Microsystemsも減収だった。2004年にはEMCとDellだけが増益で,それぞれ13.4%増と15.8%増だった。

 経営問題が企業向けストレージ・ベンダーの減収の背後にいる犯人である。IBMもHitachi Data Systemsも2004年にエキサイティングな企業向けストレージ・サブシステム を発表はしたが,その製品をタイムリーに供給できなかった。アナリストたちは,第4四半期の実績が好調になるというIBMの伝統的なパターンを,新技術の将来性が崩したとレポートした。アナリストによると,例えばHitachiの新製品が搭載している新機能の中で,特に仮想化の価値を顧客が理解するまで,以前よりも長い販売サイクルがかかると推測されるという。HPも製品を一新するまっただ中にあり,さらによく知られた経営上の問題を抱えている。

 一方で,ハードウエアの販売収入が伸び悩んだのと同じ時期に,ストレージ・ソフトウエアの売り上げは,好調そのものだった。IDCは,ストレージ・ソフトウエアが2004年に16.1%成長し,前年同期比で15%成長したと報じている。ストレージ・リソース・マネジメントの分野は一番の強さを見せて,前年同期比で19.7%と急増した。ストレージ・レプリケーション市場は17.2%,ファイル・システム・ソフトウエアは14.2%,そしてバックアップとアーカイブ用のソフトウエアというカテゴリは相変わらず全ソフトウエアの中でも最大だが9.5%成長した。

ハード/ソフトで成功したEMCに学ぶ
 面白いことにEMCは,ハードウエアでもソフトウエアでも大成功した会社になった。同社は第4四半期の外付けディスク・コントローラ市場でのシェアを19.6%から22%に拡大した。同時期にストレージ・ソフトウエア市場でのシェアも,25.1%から31.7%に増やした。

 EMCの実績から学べる,あるいは再び学べる教訓がある。メインフレーム市場でMIPS当たりのコストが急落し始めたときに,IBMのビジネス全体が大きな不振に陥った。同社は,最終的にはサービスとソフトウエアを提供することで自社を再構築した。しかし,それまでは不安定でビジネスを成長させられなかった。IBMは,いまだにその販売収入の多くをハードウエアから得ているが,ハードウエアはより大きな製品の一部に過ぎない。EMCは,ストレージの世界で同じ戦略を取っている。そして,それは明らかにうまく行っているのだ。