競艇情報化センターは2003年3月20日,「即時会員投票システム」をカットオーバーした。同システムは,ジャパンネット銀行の口座振替システムと連携し,口座間の資金移動をほぼリアルタイムに実現するもの。システム間連携のデータ・フォーマットにはXML(Extensible Markup Language)を利用する。ところが,お互いに初めて連携を行うため,相手側のシステムがどのようなデータを受け取り,どのように処理するのか,という仕様の確認,調整作業に約3カ月もかかった。既存の投票システムを拡張するなどの作業も発生した。仕様の詰めには苦労したが,当初の予定である4カ月でシステム間連携を果たした。

口座振替をリアルタイムに指示

 即時会員投票システムは,あらかじめ登録した会員が,パソコンや携帯電話からインターネットを介して競艇の勝舟投票券(舟券)を購入するシステム。インターネットを利用した投票サービスは2001年7月から提供開始していたが,今回はジャパンネット銀行に口座を持つユーザーを対象に,(1)即時に入会,投票できる,(2)レース当日に投票資金を預け入れたり,配当金を引き出したりできる――ようにした(図1[拡大表示])。

図1●「即時会員投票システム」の概要
ジャパンネット銀行のシステムと連携することで,ユーザーが即座に入会できるだけでなく,レース当日に預け入れ/引き出しできるようにした。システム間のデータのやり取りにはXML(Extensible Markup Language)を利用する

 従来のシステムでは(1)と(2)ができなかったため,会員数の伸び悩みや投票機会の損失につながっていた。(1)は,指定の銀行に競艇専用口座を開設しなければならないほか,入会手続きが煩雑で会員になるまでに約1~2カ月かかった。「競艇がおもしろそう,投票してみたいと思っても手間がかかるので,入会をあきらめてしまう」(競艇情報化センター 情報システム部 情報管理課 係長 加藤正樹氏)。

 (2)は,レース当日に投票資金を追加することができず,あらかじめ前日までに専用口座に預金しておく必要があった。前日と言っても,土日や祝日は口座がロックされて入金できない。例えば土曜日にすべての投票資金を使ってしまうと,日曜日は投票できないので,機会損失が問題になっていた。

 新システムでは,ジャパンネット銀行のシステムと連携することで,この2つの問題を解決した。入会から投票までの手順は,以下のようになる。ユーザーがインターネット経由で入会手続きをすると,ジャパンネット銀行に口座の有無などを確認した上で,口座振替契約を結ぶ(図1の(1),(2))。「会員登録はすぐ終わり,5分後くらいには投票できるようになる」(加藤氏)。

 個人口座に投票資金を預金してあれば,すぐに投票できる。即時会員投票システムの画面上で個人口座から競艇側の口座への入金を指示すれば,入金した分だけ投票できる(同(3)~(6))。舟券が的中した場合は,同じ即時会員投票システムの画面上で競艇側の口座から個人口座への精算を指示する。ほぼリアルタイムに資金が移動するので即座に配当金を引き出せる(同(7),(8))。会員からの精算指示がなくても,1日のレースが終了すると自動的に精算され,資金は個人口座に戻される。

 実はこうしたアイデアは「5,6年前からあった」(加藤氏)。しかし,さまざまな事情でなかなか実現できなかった。例えば未成年や学生が投票することはできないので,会員登録の際に必ず住民票や免許証の写しを確認する必要がある。ジャパンネット銀行が口座開設の際に同様なことを実施しており,それを競艇側の確認作業の代わりに利用できる口座認証サービスを提供していたからできた。レース当日の預け入れや引き出しも,土日や祝日に振替処理を実施しているジャパンネット銀行なので実現できた。


(榊原 康=sakakiba@nikkeibp.co.jp)