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 NECは11月4日,Linux推進センターを設立した。2年後には,Linux技術者を現在の3倍の約3000人,システム構築実績を累計3000システムという目標を掲げて,Linux事業を強化する方針だ(関連記事)。同センターのセンター長であるNEC コンピュータソフトウェア事業本部 堀健一氏に,設立の狙いと,取り組みを聞いた(聞き手は日経システム構築 高橋 信頼)

---Linuxの現状をどう見ていますか。

 今年度に入って,Linuxの市場での受け入れられ方が,量的にも質的にも拡大してきています。NECでは,2002年度,Linux搭載サーバーはサーバー全体の約1割でしたが,2003年度は前年度の2倍近くなる見込みです。サーバー市場全体としてはシュリンクする中で,非常に高い伸びを示している。

NEC Linux推進センター
堀健一センター長
 適用領域という面でも,今まで汎用サーバーとして,インターネット・サーバーとして使用されることが多かったのですが,それに留まらない用途が出てきています。1つはエンタープライズ・サーバーとして基幹システムへの適用が増えている。DBサーバーとしての利用が増えています。

 さらにLinux推進センター設立のきっかけの1つでもある通信事業者向けのキャリア・グレードLinux。あるいはグリッド・コンピューティング,ストレージ・サーバーへの適用,携帯電話のOS。こういった応用が2003年度に入っていっせいに拡大してきいる,というのが我々の認識です。

◆キャリア・グレードLinuxは1000億円規模の市場

---キャリア・グレードLinuxとは。

 キャリア・グレードLinuxは通信業者向けのLinuxのことですが,ここに非常に大きな市場が生まれようとしていると考えています。Linuxが担うのは従来の交換機をリプレースしていくような流れです。どこまでを市場に含めるか,通信事業者さんがネットワークをどこまでIP化するかで変わりますが,日本国内だけでも1000億円程度の市場になるのではないでしょうか。

 オープンソースを推進する非営利団体OSDL(Open Sourec Development Labs)が,通信事業者が必要とする機能をキャリア・グレードLinuxという要求仕様として定義しており,それを満たしたLinuxのことをキャリア・グレードLinuxと呼びます。

 すでにこの秋,NTTドコモに,パケット網のノードとなるLinux搭載機を納入しました。現在のところは,トライアルのために納めたという位置付けです。今後,NTTドコモが試験をされる予定です。

---Linux推進センターを設立した経緯は。

 2年前に,オープンソースのアプリケーションを担当するOSSソリューション・センターと,技術を担当するLinux技術センターという2つの組織を設立しました。窓口を1つにして,Linux,オープンソースの技術を強化して,Linuxのビジネスを拡大することが狙いです。

 センター設立と同時に,新しいサービスとして,クラスタリング・システムの24時間サポートなどを開始しました。エンタープライズ領域には,クラスタリング・システムが非常に重要になりますが,NECは「CLUSTER PRO for Linux」というクラスタリング・ソフトウエアを持っており,高いシェアを占めていると自負しています。

---2年後にLinux技術者を現在の3倍,約3000人にするとのことですが,UNIX技術者との比率は。

 数え方によりますが,UNIX技術者と同じくらいになるかもしれません。

◆課題はミッション・クリティカル領域でのサポート

---今,Linuxの課題はどこにありますか。

 我々自体の課題でもありますが,サポートをきちんと提供する仕組みをきちんと確立して,お客様に納得していただくという点で,UNIXに比べて努力すべき部分があります。

 本当のミッション・クリティカルな用途に向けたサポートができているかというと,まだできていない。明日の朝までに障害を解決しなきゃいけない,というようなサポートができるかというと,我々のOSの技術力や,ミドルウエアのベンダーとの連携など,改善すべき課題があると考えています。

 Linuxでも,かなりの部分はサポートできていますが,本当に超ハイエンドなシステムは,現状はUNIXで提案しています。

 また,米SCO Groupによる訴訟のような問題(関連記事一覧)も,早く解決する必要があると考えています。

 ただ,実感として,SCO問題が何らかのビジネスの障害になったということはありません。積極的にNECとしてアクションをとっているということもありません。

 お客様からの問い合わせがあった時は,現実に訴訟が進行中なので,その状況を注視していると答えています。

◆必要が出てくれば法的リスクの保証も検討する

---SCOの主張が正当かどうかは疑問ですが,今後特許などで他の団体から訴訟を起こされる可能性も皆無ではありません。

 最終的には,お客様に迷惑をかからないように,ベンダーが保証をしていくというのが唯一のやり方ではないかなと思っています。

 米HPが,ユーザーに対しSCO問題に関する免責補償を提供していますが,本当にそういう危機感が出てくれば,基金を作るなど,ベンダーとして責任を取ることも含めて検討しないといけないでしょう。ただ,まだそういう段階ではないと思っています。

---オープンソース・コミュニティにはどのように参加していますか。

 IA-64上のLinuxについては2001年初頭から米IntelやIBMなどとAtlas Projectと呼ぶプロジェクトを立ち上げ,大規模システム向けの機能を開発,成果はLinuxカーネルに取り込まれました。

 NECのNAS(Netowrk Attached Storage)製品である「iStrage」はLinuxを搭載しています。Linuxのファイル・システムの1つであるXFSに,ある時点でのデータを瞬時に保存するスナップ・ショット機能を付加し,そのソースコードも公開しました。

 また日本Sambaユーザ会や,Debian JP ProjectWebDAV日本語版開発日本analogユーザ会などにNECの社員が参加しています。