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 11月17日,スウェーデンMySQL ABは,MaxDB 7.5をリリースした。独SAP AGが開発した,高機能な,もう一つのオープンソースDBMSである。

独SAPの全パッケージに対応し,約6800台で採用

 ご存知のとおり,SAPは世界および国内で多くの実績を持つERPパッケージR/3を提供している企業だ。あまり知られていないが,SAPは,同社のすべてのパッケージに対応するデータベースSAP DBを,オープンソース・ソフトウエアとして提供してきた。日本での知名度は低いが,実はSAP DBは企業の基幹業務を担うことができる高機能なDBMSである。

 SAPによれば,SAP DBは全世界で約6800台で利用されている。日本国内でも大手企業数社がSAP R/3のデータベースとして採用しているという。

 SAPとMySQL ABは,2003年5月27日にクロスライセンス提携を発表し,SAP DBとMySQLの統合をアナウンスした。これまで,SAPが行っていたSAP DBの技術開発をMySQL ABに集約し,MySQLへの統合によって強力なオープンソースのDBMSを作り上げることを目指す。

 MaxDB 7.5は,SAP DB 7.4との互換性を保証し,MySQLから提供始される。将来的には,MySQLとMaxDBは,MySQL Enterpriseに統合する計画だ。

オープンソースと商用のデュアル・ライセンス

 MaxDBは,MySQLと同様にオープンソースのライセンスと商用ライセンス2つのライセンス形態で提供される。

 オープンソース・ライセンスは,無償だが,自己責任の世界だ。

 一方,商用ライセンスは,MySQL ABのライセンシとなる。商用ライセンスは,他のソフトウエアのセット販売などMaxDBを製品として自由に活用することが可能になる。

ビュー,カーソル,ストアド・プロシージャなどを備える

 MaxDB 7.5は,本格的なデータベースには欠かせない機能を提供している。特に現在のMySQL 4.Xではサポートされていない,以下の機能を持っている。

  • ビュー
  • カーソル(MySQLでもODBC接続ではサポートされている)
  • ストアド・プロシージャおよびトリガー
  • スタンバイ・サーバーによるフェール・オーバー
  • スナップ・ショット
  • シノニム

     MySQLでもこれらの機能は,何らかの形で代用できるものある。しかし,MaxDBではこれらが正式にサポートされている。

    MySQLクライアントから利用可能に

    図1●MySQL Proxyの仕組み
     MaxDBは,以下のインタフーイスを提供している
  • C/C++
  • ODBC driver
  • JDBC driver
  • Perl および Python

     これを見ると少ないと思われるだろう。特にPHPでのサポートがないのは,Web開発者には不満に思われる。しかし,MySQL ABからMySQL proxyと呼ぶツールが提供されており,これを利用すれば,MaxDBをMySQLクライアントから利用できる。MySQL proxyは,現在Alpha版がリリースされており,間もなく正式リリースされる予定だ(図1[拡大表示])。

    管理者向けGUIツールを備える

    写真1●Database Manager
    写真2●SQL Studio
     大規模なデータベースでは,管理者の負担も大きなものとなる。特にバックアップ/リストアなどの運用に欠かせない機能は,複雑な設定や操作が必要である。MaxDBは,管理者向けのGUIツールの完成度が高い。ネイティブ環境ではWindows版のみとなるが,Webブラウザからも利用できる。Database ManagerとSQL Studioという,2つのツールを紹介しよう。

     Database Managerは,6種類の機能(Information, Backup, Recovery, Tuning(Optimizer), Check, Configuration)を提供している。

     また,4つのウィザード(Register Instance, Installation Wizard, Backup Wizard, Recovery Wizard)を提供し,簡単に操作できるようにしている。Register Instanceを利用すれば,インスタンスやデータベース作成に必要なパラメータを順次設定できる。写真1[拡大表示]では,1つのデータベースがオンライン状態なのが確認できる。

     SQL Studioは,データベース管理者およびアプリケーション管理者が重宝する機能だ。データベースオブジェクト(Table,Index,Sequence,Favorite,Owned User,Procedure,Trigger)の管理をGUIで行える。ここまで,GUIで操作するのは,いかがかと思う向きもあるだろう。しかし,前回のMySQL Control Centerの紹介でも述べたが,セキュリティ関係の設定には非常に重宝する。写真2[拡大表示]は,テーブルのデザイン画面が表示されている。

    将来的にMySQLと統合へ

    MaxDB UserMySQL User
    SAP DB 7.4MySQL 4.0
    技術交換
    MaxDB 7.5
    MySQL proxy
    ←MySQLコンポーネント←
    MySQL 4.1
    MySQL 5.0
    →SAPコンポーネント→
    MySQL Enterprise
    図2●今後のリリース予定
     今回のMaxDB 7.5は,SAP DB 7.4と完全互換である。今後,MaxDBは,細かい機能追加を行う予定だ。一方,MySQLは,今後4.1および5.0のリリースを予定している。その後,MySQLとMaxDBは,MySQL Enterpriseに統合される予定だ(図2)。

     Max DBは,MySQLの公式ホームページからダウンロードできる。現在のリリースバージョンは,7.5.0.5である。Alpha版として7.5.0.8が公開されている。このバージョンでは,MySQL proxy 1.0 Alpha版が利用でき,動作を確認することが可能だ。興味を持たれた方は,試用してみてはいかがだろうか。今後,このコラムでも,詳細な使用方法などを解説していく予定である。

    佐藤栄一(Satoh Eiichi)

    ■著者紹介 佐藤栄一(さとうえいいち)
    ゼンド・オープンソースシステムズ株式会社 アーキテクト MySQL担当。ゼンド・オープンソースシステムズは,オープンソースによるシステム構築を提案し,情報化投資削減の実現を目指して平成14年12月に設立。PHPのコア技術者が設立したイスラエルZend Technologiesと提携関係にあり,Zend製品の販売,サポートおよびLAMPおよびLAPPによるシステム構築を推進している。平成15年8月より,MySQL ABのリセーラとしてライセンス,サポート,コンサルティングの提供を行っている。