PR

Web-APサーバー市場が急拡大している。2000年度の出荷実績は前年度の2.5倍。中でもIBMのWebSphereが前年度比10倍と大幅に売り上げを伸ばした。
市場全体では2001年度も金額,本数とも倍増が見込まれる。

図●主なWebアプリケーション・サーバーの出荷実績
[図をクリックすると拡大表示]
 Web対応の業務システムやEC(電子商取引)サイトを実行・開発するためのミドルウエア・ソフトWebアプリケーション(Web-AP)サーバーの2000年度の出荷実績は,主要ベンダー13社の合計で金額が約330億円(以下は日経システムプロバイダ推定),本数が約4万3000本(実行環境の本数)となった。日経システムプロバイダが昨年行った調査では133億円,1万6000本だったので金額・本数ともに約2.5倍の大幅な伸びだ。各ベンダーとも2001年度も強気の見通しを立てており,金額で約730億円,本数で約10万本と2000年度の2倍以上の出荷を見込んでいる。

 売れ行きが大幅に伸びた理由は三つある。第1は2000年にユーザー企業でWeb-APサーバーの認知度が格段に向上したこと。第2に,既存システムをWebブラウザから使えるように改修するWeb化が加速,ことにWeb-APサーバーが多数売れたことだ。これは特にメインフレーム・メーカーのWeb-APサーバー製品の伸びにつながった。富士通,NEC,日立製作所の製品は,ECサイト構築用よりも企業内システムのWeb化案件での実績が多い。第3が日本IBMのWebSphere Application Serverの驚異的な伸び。実に金額で99年度の10倍増となり,市場全体を引っぱった。

 Web-APサーバーが最もよく売れた業種は証券,銀行などの金融分野。オンライン・トレーディングや営業店システムなどで,Webシステムへの投資が積極的に行われた。ECサイトの需要では「電子調達などのBtoB(企業間)型がBtoC(企業対個人)を上回る伸びだった」というのがおおかたの見方だ。

 機能面では,サン・マイクロシステムズのJ2EE(Java2エンタープライズ・エディション)認定を受けた製品が増えた。J2EEは部品やスクリプト処理などサーバー・サイドのJava技術の標準。J2EE準拠の製品が増えたことで,基本機能では各社差がなくなってきた。そこで,各社とも分散トランザクション,性能など独自の特色を出すのに懸命だ。さらに,各社はECサイトやBtoB,企業内ポータル,EAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)ツールなど自社のWeb-APサーバー上で稼働するアプリケーションを品揃えし,Web-APサーバーを含めたトータルな提案に力を入れている。

 低価格版からエンタープライズ版まで,いくつかのラインアップを揃える製品が増えたことも最近の特徴。まずは低価格版でプロトタイプを開発してもらい,そこから高機能なエンタープライズ版に誘導する戦略だ。

IBM,富士通,BEAが上位に

表●主なWebアプリケーション(Web-AP)サーバーの出荷状況と販売戦略
[表をクリックすると拡大表示]
 2000年度出荷金額の上位3製品は日本IBMのWebSphare,富士通のINTERSTAGE Application Server,日本BEAシステムズのBEA WebLogic Server。

 中でもWebSphereの出荷実績は突出している。2000年度は本数で1万4000本,金額で90億円を出荷。出荷金額は99年度の10倍だ。昨年調査時の2000年度見込み1万本(40億円)も大幅に上回った。2001年に入っても好調で,第1四半期も前年同期比3倍だという。

 ソフトウエア事業部の大古俊輔e-ビジネスソフトウェア事業推進部長は「パートナと一緒にビジネスを進める姿勢が,多くのパートナに支持された結果」と売れ行きが伸びた理由を分析する。実際,Web上での開発者向け情報提供,パートナ向けの技術サポート,WebSphere認定技術者制度によるスキル育成の促進,技術トレーニングなど,同社のパートナ支援策は充実している。ユーザーは全業種にまたがっており,用途も企業内業務システムからECサイト構築まで幅広い。

 INTERSTAGEの販売も「絶好調」(ソフトウェア事業本部ビジネス統括部マーケティング推進部の清原俊也担当課長)。2000年度の実績は5000本(50億円)。昨年調査時の見込み通りの額だが,前年度比2倍以上の伸びだ。2001年度も本数で3倍増の1万5000本(120億円)の見込みと強気。「特に大企業の大規模な商談を多数獲得できた。ユーザーの業種は金融分野が多かったが,2000年度は流通,製造,官公庁へと広がった」(清原課長)。

 3番手となったWebLogic Serverも,昨年調査時の2000年度出荷見込みの900本(20億円)を大きく上回る2000本(40億円)を2000年度に売り上げた。前年度比2倍以上の伸びだ。2001年度も前年度比2倍以上の5000本(90億円)の出荷を見込む。最も多い用途はBtoB,BtoC型ECサイト構築。特に,マイクロソフトのASP(アクティブ・サーバー・ページ)などで構築したWebサイトを,ユーザー数の増加などでアップグレードする際に採用されることが多いという。

オラクルはやや苦戦

 日立製作所のCosminexus,NECのWebOTXは既存システムのWeb化需要で出荷実績を伸ばした。

 Cosminexusの2000年度実績は1100本(31億円)。昨年調査時見込みの27億円を上回り,前年度比50%以上の伸び。2001年度見込みは70%増の1600本(54億円)。売れ行きが伸びたのは「ここ1年セミナーや広告で知名度を上げたおかげ」(ソフトウエア事業部ネットワークソフトウェア本部の山田健雄eビジネス推進部長)。

 WebOTXの2000年度実績は2500本(30億円)。昨年調査時見込みの26億円を上回り,前年度比で70%の増加。2001年度も5割以上の増加を見込む。NECはWebLogic Serverも販売しており,EC向けの短期開発案件はWebLogic,大規模案件と官公庁向けはWebOTXという位置付けだ。

 Oracleデータベース・ユーザー向けのWeb-APサーバーOracle9i Application Serverは,2000年度はやや苦戦した。2000年度実績は昨年調査時の予想通りの4000本(20億円)だが,前年度比25%増は業界平均を下回る。その理由を西脇資哲製品マーケティング本部IA&アプリケーションサーバー・マーケティンググループ担当マネジャーは「1年前と比べると競合ベンダーの力が強くなったため」と見ている。

(平田 昌信)