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3270エミュレータの市場はWeb/サーバー導入型へのシフトがさらに進展し操作性を改善したベンダーが出荷数を伸ばしている。今後は,携帯電話やPDA(携帯情報端末)といったモバイル対応が課題として浮上してきた。

図1●主なISV製Web/サーバー導入型3270エミュレータの出荷本数 (クライアント数換算)
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図2●主なISV製クライアント導入型3270エミュレータの出荷本数
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表●国内で販売されている主なISV製エミュレータの販売実績(数値は日経システムプロバイダ推定を含む)
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 ISV(独立系ソフト・ベンダー)が開発・販売する3270エミュレータ市場は2000年度に,主要ベンダー9社の合計で前年度比13%増の20万9000本弱(日経システムプロバイダ推定,以下同様),金額は同9%増の60億7000万円強を出荷した。

 このうち,従来の主力であるクライアント導入型製品は前年度比12%減の12万6000本強,金額は同10%減の40億3000万円弱の出荷にとどまった。逆に,ゲートウエイ・サーバーを経由したり,Active XコントロールやJavaアプレットを用いるWeb対応型製品は,クライアント数換算で前年度約2倍の8万2000本強,金額は同86%増の20億5000万円弱にまで急成長した。

 販売会社の声を総合すると,クライアント導入型は2000年度,Windows 2000へのクライアントOSの移行が需要をけん引すると期待していたが,それほどの動きが出ず,市場の縮小に歯止めがかからなかった。既に,新規需要の中心はクライアント導入型製品よりも割安で,かつ操作性の改善も進んでいるWeb対応版にシフトしている。蝶理情報システムの岡本康システム営業本部営業部販売促進チームリーダーによれば「Web対応型は当初,HTML(ハイパーテキスト・マークアップ言語)画面に対応さえすれば良いと考えていたが,実際は『マウス操作などしたくない。DOS画面のようにキー操作だけて伝票入力したい』というニーズが強かった。画面をDOS画面に似せる仕組みにして性能を改善したことが市場に受け入れられた」という。中には,数千本から1万本規模の大型案件も登場している模様だ。

 こうした背景から,2001年度はWeb対応型の出荷本数がクライアント導入型に肩を並べる可能性が出てきた。2001年度にクライアント導入型は,前年度比9%増の13万7000本強,金額は同13%増の45億4000万円強へと巻き返す見込みだが,Web対応版は前年度比61%増の13万2000本,金額は同74%増の35億5000万円の出荷を目論んでいるからだ。

 3270エミュレータ市場全体では,前年度比29%増の26万9000本強,金額は同33%増の81億円弱の出荷になりそうだ。

蝶理,インターソフトの2強変わらず

 Web対応型市場をけん引するのは,クライアント導入型市場でも競り合ってきた蝶理情報システムとインターソフトの2社。両社だけで,Web導入型市場の7割強を占める。

 2000年度は,蝶理情報システムがTCPLink Enterprise Serverを当初目標の2万3000本を上回る3万3000本弱を出荷した。うち7割程度が1本3万円のActive Xコントロール製品を同時購入しているという。

 同社の武器は技術サポート力。「細かい機能追加などの要望に試験導入段階から細かく技術対応したことが認められている」(同社)と見る。IBM製品と競合して1万台規模の案件を獲得できたこともあるという。

 こうした成功例を踏まえ,約20社ある販売パートナへの技術支援体制を強化している。2001年4月から,パートナとの同行営業などに当たっていた約20人の営業部隊に,6人の技術者を加えることでカスタマイズ要望に積極的に対応できるようにした。これにより2001年度は,前年度比50%増の5万本弱,金額は同46%増の11億円強の出荷を目標にする。

 一方のインターソフトは2000年度に,FALCON Component/X 2001を当初目標(2万5000本)を若干上回る2万8000本を出荷。Web対応型の同時使用ライセンスの出荷数が,クライアント導入型のそれを上回った。

 2001年度は,2000年度に新たに獲得した20社の販売パートナの底上げに注力する作戦で,前年度比25%増の3万5000本,金額は同28%増の9億円を出荷したい考え。同社の販売パートナは99年まで都市部に集中。2000年度は地方チャネルを重点的に獲得した。今後は,講師派遣や,提案用資料の提供など注力する。

モバイル関連市場の開拓目指す

 2001年度に大幅増を期すのが,伊藤忠テクノサイエンス(CTC)が販売するEnterpriseLink(開発は英メラント)。2001年度は金融や官公庁の大型商談などを中心に前年15倍の1万2000本の出荷を目標に掲げる。CTCによれば「2000年度は見込んでいた金融関連市場が渋く苦戦した。2001年度は金融商品の営業窓口用など最大5000本規模の見込み案件が既に10件ある」としている。

 2001年度以降に,エミュレータの新たな市場として期待されるのが,携帯電話やPDAからメインフレームにアクセスするためのモバイル対応と,メインフレームと新規システムを結合するためのEAI(エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーション)ツールとしての提案である。

 モバイル対応は,携帯端末からのアクセスを容易にするためのセッション管理機能の追加が必要になる。そのためCTCは2000年8月から,携帯電話画面への自動変換機能やセッション管理機能を持つソフト「クロスサーブレット」(フレックス・ファーム製)を組み合わせた提案を開始した。「本格的なモバイル市場の立ち上がりは2002年以降と見ているが,2001年度に先行事例を作りたい」(CTC)考え。

 2001年4月にカシオ計算機製PDA(PocketPC)用製品を発売した情報技術開発は「既に案件が10件程度ある」という。同社はカシオの法人営業部隊との営業協力を開始しており,2001年度にWeb対応型を前年度2.5倍の5000本を出荷する目標のうち6~7割をPocketPC端末関連で見込んでいる。

 このほかインターソフトが6月にセッション管理機能を持つWeb Integration Serverを発売。ビーコンITは7月から,ForeSite EXTES SIMの携帯情報端末対応を開始する。

 一方,EAI用途では,サーバー導入型製品をXML(エクステンシブル・マークアップ言語)変換ツールやWebアプリケーション(Web-AP)サーバーと組み合わせて参入する。前者では,ビーコンITが2001年秋に,ForeSite EXTES SIMにXML機能の追加を予定。後者では,ネットマネージ ジャパンが2002年に現行製品の上位版としてWeb-AP サーバーの出荷を計画している。

 だがEAI用途はシステム構築力のあるパートナの獲得と,技術支援体制の確立が今以上に重要になる。チャネル政策の見直しも課題になるだけに,本格的な取り組みは2002年度からになりそうだ。

(井上 健太郎)