ハイエンド3次元CADの2000年度の出荷本数は2万2500本,出荷金額は656億円。主なユーザーは自動車メーカー,金型メーカー,電機メーカーだ。低価格ソフトに一部市場を食われているものの,安定成長が続く。

図1●ハイエンド3次元CADシステムの出荷本数
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図2●ハイエンド3次元CADシステムの出荷金額
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 2000年度のハイエンド3次元CAD(コンピュータによる設計)システムの市場規模は,主要5製品の合計で出荷本数が2万2500本,出荷金額は656億円となった(日経システムプロバイダ推定,以下推定値には*)。ハイエンド3次元CADシステムは,価格が百数十万円以上で,3次元CAD機能のほかCAE(コンピュータによる解析),CAM(コンピュータによる生産)など多数のオプション・モジュールが用意された製造業向けソフト。

 3次元CADとしては,100万円前後でハイエンドよりも安い「ミッドレンジ3次元CAD」も急速に普及しつつあるが「大手企業を中心に設計・開発・製造プロセス全体を支援するツールとしてハイエンド3次元CADの需要は底堅い」(Unigraphicsを販売している伊藤忠テクノサイエンスの熊崎伸二営業第4本部長)。2001年度も本数が19%増の2万6700本*,金額は16%増の763億円*となる見込みだ。

攻勢に出る日本IBM

 2000年度の売り上げが最も多かったのは仏ダッソー・システムズのCATIA。出荷本数は6500本*,出荷金額は180億円*。販売元の日本IBMによれば,2001年度の第1四半期の出荷は「絶好調」で,2001年度通年では3割程度の伸びになるようだ。日本IBMは,2次元CADソフトMICROCADAMの開発元であるキャダムシステムを2000年6月に完全子会社化した。これに伴い,MICROCADAMユーザーに低価格でCATIAを販売する移行キャンペーンを実施している。この移行ユーザーも2000年度,2001年度の本数増に貢献している。

 CATIAは自動車業界で最もよく使われているCAD。欧州ではほとんどの自動車メーカーが導入しており,日本でも本田技研工業と三菱自動車工業がユーザー。トヨタ自動車も導入を検討しており,本格導入が始まればさらに大きな伸びが見込まれる。

 CATIAには,従来製品のバージョン4(V4)と99年に発売したバージョン5(V5)の2製品があるが,V4は追加購入がほとんど。新規ユーザーの大部分はV5を購入しており,2001年度はV5の出荷本数が7割程度を占めるようだ。V4は自動車業界のユーザーが圧倒的に多かったが,V5を新規に購入するユーザーは電機メーカーなど多岐に渡る。

 7月からはV5の試用版の無償配布を開始した。他社製3次元CADからの移行キャンペーンも検討中だ。販売方法は,18社あるCATIAビジネスパートナーによる間接販売。パートナ数は増やしていく計画。

マツダ,日産向けが牽引したI-DEAS

 米SDRCのI-DEASは2000年度に本数で6200本*,金額で180億円*を出荷。CATIAに匹敵する売り上げを達成した。2000年度の出荷が多かったのは,メインのCADとしてI-DEASを採用している日産自動車とマツダへの販売が伸びたことと,電機メーカーのユーザーが順調に増えたこと。販売方法は電通国際情報サービス(ISID),デジタルプロセスなど4社による間接販売。デジタルプロセスが日産向けに販売している分を除けば,多くをISIDが販売している。I-DEASは他国と比べて日本でのシェアが高い。ISIDの技術サポート力が評価されているからのようだ。

 米ユニグラフィックス・ソリューションズが開発するUnigraphicsの2000年度の出荷本数は2700本*,出荷金額は90億円*。Unigraphicsも,デンソーなどの自動車業界向けと電機メーカー向けの出荷が多い。

 ユニグラフィックス・ソリューションズとSDRCは5月に合併し米EDSの事業部となった。この合併を受けて,両社の日本法人が来年には統合される。製品も2年後には統合される計画(開発コード名UGMS21)。両社の販売代理店は,I-DEASとUnigraphicsの両方の製品を扱えるようになる模様だ。

 米パラメトリック・テクノロジー(PTC)のPro/ENGINEERは,2000年度5700本*,126億円*を売り上げた。数年前は毎年倍増の勢いだったが,99年からは「平均成長率が十数%の安定成長期に入ってきた」(日本PTC)。主なユーザーは電機メーカーだが,最近は重工業や自動車業界のユーザーが増えている。

 日本PTCは,会社設立以来Pro/ENGINEERを直販してきたが,2000年春からは間接販売も開始した。基本的には,大企業は直販,中堅・中小企業は販売代理店とすみ分けている。販売代理店は14社だが,増やす予定。その一方,2000年から大手ユーザーごとの担当チームを設置してサポート体制を強化するなど直販も強化している。現在約15社の大手ユーザーに担当チームを割り当てている。

 日本ユニシスのCADCEUSは他の製品と異なり,ユーザーの7割以上が金型メーカーおよび自動車メーカーの金型製造部門。2000年度の出荷本数は1400本,出荷金額は80億円だ。

 金型製造は海外の金型メーカーに発注するケースが増えており,海外でのCAD/CAMシステムの需要も多いことから,同社はアジア,米国,欧州でもCADCEUSを販売している。2001年度は,国内販売は横ばいと見ているが,海外での販売に力を入れることで約15%増の1600本の販売を見込む。

   
(平田 昌信)

製品名 開発/販売
*1
価格 2000年度
出荷実績
*3
2001年度
出荷見込み
*3
販売強化策
CATIA 仏ダッソー・システムズ
/日本IBM
CATIA Version 4が
約250万円~,
Version 5が
約150万円~
6500本
*4,
180億円
*4
8400本
*4,
230億円
*4
Version 5 の機能が充実してきたことで,これまでの圧倒的ユーザー層だった自動車業界以外のユーザーも増えている。ほとんどが,18社のパートナによる間接販売で,年内には20社程度になる。今後は,他社製CADユーザーのリプレースを積極的に狙っていく
I-DEAS 米EDS/
日本SDRC
*2
約120万円~ 6200本
*4,
180億円
*4
7100本
*4,
200億円
*4
マツダ,日産自動車など自動車メーカー向けが出荷増を牽引。電機メーカーのユーザーも多い。100%間接販売で,代理店は電通国際情報サービス(ISID),富士通,デジタルプロセス,丸紅ソリューションの4社。米ユニグラフィックス・ソリューションズと米SDRCの合併による相乗効果を訴求していく
Pro/
ENGINEER
米パラメトリック・テクノロジー/
日本パラメトリック・テクノロジー
125万
9000円~
5700本
*4,
126億円
*4
6500本
*4,
140億円
*4
ユーザー層は電機メーカー中心。2000年春から間接販売を開始し,現在の間接販売比率は2割未満。今後は,14社ある代理店の数を増やし,間接販売比率を高める。。特に全国展開できる代理店を獲得し,業界別ソリューション・パッケージを共同で開発していく
Unigraphics 米EDS/
ユニグラフィックス・ソリューションズ・ジャパン
*2
約200万円~ 2700本
*4,
90億円
*4
3100本
*4,
103億円
*4
ユーザーは自動車業界が最も多い。最近は,プラント設計,重工分野も増えている。販売方法は100%間接販売。代理店は伊藤忠テクノサイエンス,富士通,セイコーインスツルメンツの3社。米ユニグラフィックス・ソリューションズと米SDRCの合併によるシナジー効果を訴求していく
CADCEUS 日本ユニシス/同 390万円~ 1400本,
80億円
1600本,
83億円
金型メーカーや自動車メーカーの金型部門が全ユーザーの7割以上を占める。代理店は9社あり,今後はパートナ支援要員を増やす。アルゴ21など金型向け国産ソフト・ベンダーと共同プロモーションや共同開発を手掛けるC-Meister(シー・マイスター)アライアンスによる拡販も期待する
表●ハイエンド3次元CADシステムの出荷状況と販売強化策
*1 日本パラメトリック・テクノロジーは9月期,ユニグラフィックス・ソリューションズ・ジャパンと日本SDRC,日本IBMは12月期,日本ユニシスは3月期
*2 ユニグラフィックス・ソリューションズ・ジャパンと日本SDRCは2002年に統合。米EDSの事業部になるのか,新たに日本法人を設立するのかは未定
*3 本数は3次元CADの基本モジュールの数。金額はオプションを含むユーザー向けライセンス販売価格
*4 日経システムプロバイダ推定