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 バッファローは、電力線通信(PLC)のアダプター2製品を2007年3月28日に発売する。2台以上を1組としてコンセントに挿して使用することで、家庭内の離れた場所でパソコンなどのネットワーク回線を確保できる。ブロードバンド回線やルーターなどと併用することで、インターネット接続を家庭内の複数の部屋で整備することが可能だ。価格は初期設定済みの2台セット「PL-HDP-L1/S」が2万2800円、増設用子機「PL-HDP-L1」が1万3600円(発表資料)。

 バッファロー ブロードバンドソリューションズ事業部 マーケティンググループの佐藤恒多氏に、PLC参入の狙いや、無線LANと組み合わせたネットワーク機器の今後などについて聞いた。

■バッファローはかねてから「AirStation」ブランドで無線LAN関連機器を幅広く販売し、家庭向けのネットワーク機器市場で大手の一角を占めている。こうしたラインアップを持ちつつ、今回PLC関連機器にも参入したのはなぜか。

 家庭によっては、どうしても無線LANの電波が届かないところがある。例えば鉄筋コンクリート造の一戸建て住宅や、地下室などだ。このような場所でのネットワーク利用を提案する際の一手段として出荷する。メインはあくまで無線LANで、その補完的なソリューションとしてPLCを考えている。

 補完的とは言っても、先行メーカーの製品の販売状況などから判断して一定の需要はあると見ており、月2000台程度の出荷を見込んでいる。

■PLCの利点として一般に言われている接続の簡便さや通信速度について、どう考えているか。

 同一系統のコンセントでACアダプターを併用している場合や、配電盤をまたぎ位相の異なる2系統のコンセント間で通信する場合など、家庭内の電力線の使われている環境によってはデータ転送速度速度が低下したり、通信できなかったりするおそれがある(関連記事)。ACアダプターと併用する場合にはノイズフィルター付きテーブルタップの使用を薦めるなど、他のネットワーク機器より注意書きを多く記している。

 接続の簡便さは何もPLCに限った話ではない。当社は無線LAN関連機器でも、ブリッジモードにしたルーターと子機をセットにして接続設定やセキュリティ設定を出荷時に済ませたセット製品を発売している。また、簡単なボタン操作で初期設定を自動化できる「AOSS機能」も強化し、「Wi-Fi Protected Setup(WPS)」に準拠した他社製品との間でも自動初期設定を可能にする。4~5月以降に発売となるAirStationに、順次WPS機能を実装していく予定だ(関連記事)。

■複数あるPLCの通信方式のうち、松下電器産業の提唱する「HD-PLC」を採用したのはなぜか。

 HD-PLC方式は既に国内で製品化の実績があり、当社にとって最も早く製品化できる方式だった。だが今後は「HomePlug」や「UPA」など他方式も検討していく(関連記事)。HomePlugは主に欧州で、UPAは主に北米で、それぞれ商用化された実績がある。また、HD-PLCは現在のところ組み込み用のLSIが市販されておらず、複数の部品を実装したモジュールを調達する必要がある。これに対しHomePlugやUPAは必要な回路を1チップに集積したLSIがあるため、製造コストの低減が見込める。

■IEEEで議論が進められているPLCの通信方式の標準化作業をどう見るか。

 ネットワーク機器なのに、他メーカーの製品と互いにつながらないような製品を市販して良いのか、社内で議論はあった。しかし実際に、ユーザーのネットワーク環境構築の助けになる技術があるのに、それを出さないで良いのかということで製品化に踏み切った。

 現時点でIEEEで話し合われているのは、各方式の電波の干渉を防ぐための規約作りにとどまっている。現在の各方式の仕様では、異なる方式のPLC関連機器が混在するとお互いに通信を妨害してしまう。せめて通信中でないときは帯域の占有を止め、他方式の通信を妨害しないようにと規約を決めているわけだ。そこからさらに進展してPLCの通信方式の完全な一本化が実現すれば、さまざまなAV機器へのPLC組み込みも今以上にしやすくなるだろう。