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 最大伝送速度300Mbpsの無線LANの新規格IEEE802.11n。現在は規格の草案に当たる「ドラフト2.0」が承認された段階だ。無線LANの業界団体Wi-Fiアライアンスは、2007年6月25日からこのドラフト2.0に基づいて製品の認証作業を実施する。各メーカーの無線LAN機器の相互接続性を検証し、認証した機器には「Wi-Fi CERTIFIED 802.11n draft 2.0」のロゴを付与する。

 Wi-Fiアライアンスのボードメンバーでテクニカルアドバイザーを務めるスティーブン・パーム氏に、IEEE802.11nの最新状況と、標準化作業の完了を待たずに認証作業を開始するに至った経緯などを聞いた。

■まずはIEEE802.11nの最新状況について教えてほしい。


 IEEE802.11nは2006年1月にドラフト1.0が、2007年3月にドラフト2.0が承認された。現在は正式版の策定に向けた議論が進んでいる。予定では、標準化作業の完了および正式版の策定は2008年の9月ごろとされていた。ただ、これはもう少し伸びるかもしれない。2009年になる可能性もある。

■正式な規格の承認を待たずして、認証作業開始を始めた理由は何か。


 Wi-Fiアライアンスが認証作業開始を決めたのは、コアの技術についてはほぼ固まったと見たからだ。現在はオプション項目をどう整理するか、そしてそれをどのように定義し、規格に記載するかの検討が長引いている。オプションについては変更されてもファームウエアのアップデートで対応できるレベルで済むのではないか。

 また、既にIEEE802.11nのドラフト版への対応をうたった製品が多数発売されていることも大きい。認証作業をしないまま製品が増えていくと、ユーザーの混乱を引き起こすことになるだろう。相互接続性を保証するWi-Fiアライアンスの存在意義も薄れてしまう。こういった判断もあって認証開始に踏み切った。

■ドラフト段階での認証だと、正式版が出たときに対応できるのか、不安になるユーザーもいるだろう。


 それについては安心してもらっていい。ドラフト1.0の段階では業界として相互接続検証をしていなかったので、同じようにドラフト1.0準拠をうたっている製品でもメーカーが違うとつながらないことがあった。今後、「Wi-Fi CERTIFIED 802.11n draft 2.0」のロゴが付いている製品は確実につながる。正式版が出た際は、ドラフト2.0のファームウエアをアップデートすれば対応できるようになるだろう。

■IEEE802.11nの登場で無線LANの活用シーンはどう変わるのか。


 IEEE802.11nは、既存のIEEE802.11a/gに比べ、伝送速度は5倍以上、通信距離は2倍以上に伸びる。家庭内の無線LANを介して、家族それぞれがインターネットに接続するというような場合にも、各人に十分な伝送速度を確保できる。

 また、最近はパソコンだけでなく、家電製品やゲーム機などにも無線LANが搭載されている。複数のパソコンで大容量のデータを共有したり、ネットワークメディアプレーヤーからテレビなどの機器に高画質の映像を転送して見るといったこともできるようになる。2~3年後にはIEEE802.11nの通信モジュールがもっと小型化するだろう。そうすれば携帯電話にも搭載される可能性が高い。

■変更履歴
2つめの質問への回答にある「オプションについては…」の発言について、取材先の要請により表現を一部変更しました。 [2007/6/14 13:48]