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 都内近郊で予備校・早稲田塾を運営するサマデイは、2006年8月に社内SNSを本格導入した。すでに社員や大学生アルバイトの約500人が参加している。アクティブユーザー数は3日間で5割。導入の目的や現状を担当者に聞いた。(※インタビューにご回答いただいた各氏――早稲田塾の広報担当赤坂俊輔氏、同 倉部史記氏、ヒューマンデザインのスタジオガンプ システムソリューション責任者 工藤英幸氏――の発言を編集部がまとめた)

■社内SNSの導入を考えた理由は

 主な目的は大学生アルバイトも含めたスタッフの経験値や知識の向上・共有だ。そもそもの背景には大学入試の変化がある。そのひとつは「AO入試(アドミッションズオフィス入試)」導入校の増加。いまや私立大学の入学者の半数はAO入試で受験している。AO入試の場合、高校の授業科目を一通り勉強しても合格できるとは限らない。会社の入社試験と同様、面接や論文などで自分をどれだけ大学にアピールできるかが大切になってくる。

 そういったときに、予備校は何をしなくてはいけないか。生徒一人ひとりに向き合い「何をしたいか」「どんな夢があるのか」などを一緒に見つけてあげないといけない。つまり、すべての生徒に等しく同じ科目を教えるのではなく、それぞれにあったコンサルティングを提供する必要が出てきた。

 それを実現するためには、スタッフ全員が同じような情報・知識を持っていることが大前提になる。早稲田塾は首都圏近郊に14校あるが、どの学校のどのスタッフに相談しても、生徒が同じような「質」でコンサルティングを受けられるようにしたかった。

■導入後、どのような効果が出ているのか

 前述した目的は果たせている。特に、大学生アルバイトのスタッフの場合、学業とアルバイトとで、あまり時間がない。SNSに情報が蓄積されていると、限られた時間の中でもマイページを見るだけで、より多くの情報を俯瞰できるメリットは大きい。

 物理的に離れたメンバーの打ち合わせにも役立っている。生徒向けのイベントはスタッフ同士で作り上げていくことが多く、その構想や台本作りをSNSで行うようになった。今までは直接集まるか電話で連絡し合っていたようなことだ。スタッフは複数のイベントやプロジェクトを掛け持っている場合が多いが、プロジェクト単位で、誰が何をやっているか、作業がどこまで進んでいるかなどを、一目でチェックできる。

 「Know-Who」(社内の誰がどのような業務や技術に精通しているのかといった人材情報)の共有も実現できた。例えば、キャリアのある社員よりも、現役の大学生アルバイトのほうが、特定の大学の現状に詳しいという意味で、知識が上ということもある。SNSで特定の大学や学部に所属している大学生アルバイトを探せるので、必要に応じて質問をするといったことも可能だ。

■スタッフの仕事に対するモチベーションで変化は

 仕事に対する意欲は変わったと思う。SNSで情報を共有したり、何かを質問したりするハードルが下がったため、何か疑問が生じた場合でも「解決しよう」という気持ちが強くなっているようだ。

 日記やコミュニティの中でスタッフ同士がコミュニケーションをすることで、お互いを鼓舞し、仕事に対する原動力になっている。